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履歴書・職務経歴書の書き方:短期間の職歴でも記載しないリスクは大きい

「1ヶ月未満などの短期間で退職した経歴は履歴書に記載しなくても良い」と支援スタッフに言われたので書いていません、と20代の精神障害者保健福祉手帳をお持ちのAさんから就職相談を受けている時に聞きました。

試用期間中に退職した会社の経歴を最初は書いていたけれど、面接に呼ばれた会社で「使用期間で辞めているなら、大した経験はしてないですね」と言われたことを就労移行支援のスタッフさんに相談したら「試用期間で辞めたところや、1ヶ月未満の短期間で辞めた会社のこと、パートやアルバイトの経歴は評価されないから省略しても良い」と言われたそうです。

若いAさんは専門学校を卒業した後、学生時代から週末だけ働いていたアルバイト先に、働く時間を週4日ぐらいに伸ばして1年以上就業していたのですが、ずっとアルバイトの扱いだったとのことで、この経歴は履歴書に記載がなく、このアルバイトの後に契約社員として入社した会社で半年働いた経歴が履歴書に記載された最初の経歴でした。その契約社員を辞めた後に1年のブランクが有ったので、「学校卒業後のブランク期間と、契約社員を辞めた後のブランク期間は、何をしていたのですか?」と質問をしたら、「短期間の派遣と、試用期間で辞めたけど契約社員で働いた経歴があります」との回答がありました。

20代前半の若いAさんは、「転職回数が多いから、少しでも転職回数が少なく見えるようにしたい」などとは全く思ってなく、正しく経歴を記載した履歴書を見た面接官から心無い言葉を投げ掛けられたことや、そんな嫌な思いをするぐらいなら短い経歴のところは省いても良いのでは?と言う支援者がいたことで、リスクを考えることなく学校卒業後に半年ほど契約社員として働いた経歴が一つあるだけの履歴書で就活をしていました。

どんな理由や事情があっても、働いた経歴の一部を省略した履歴書で就職活動をすることは大きなリスクが伴います。一番あり得るリスクは、新たな会社に就職できた時、その会社で雇用保険や社会保険の加入手続きを行いますが、その際に過去の勤務先の保険加入記録が新しい会社も知ることができ、履歴書に記載されてない経歴が発覚したことで内定取り消しになることです。

つまり、1ヶ月未満とか試用期間で辞めた等の期間が短い経歴であっても、雇用保険や社会保険に加入すべき雇用条件で入社していれば、入社から2週間以内に会社が保険加入の事務手続きを済ませているので、公的な記録が必ず残ります。そして働いた期間とは関係なく、パートでもアルバイトでも、働き方の呼び名が何であれ、雇用保険や社会保険に加入する条件は正社員と全て同じなので、「パートだから」「バイトだから」という理由で省略してもバレた時には「経歴詐称」と見做されて、最悪の場合には内定取り消しとなることは同じです。

40代、50代と年齢が高くなり、転職回数が多くなる人に中には「少しでも転職回数を少なく見せたい」と思う人もいます。しかしAさんは、心無い面接官の言葉と、多分リスクを理解してない支援スタッフさんの言葉を信じて、悪気なく経歴を省いていました。

転職回数が多い人でも、Aさんのような若い人でも、省略したい…けど省略してはいけない経歴を、どうやって履歴書や職務経歴書に記述すると、少しでも見た感じが良くなるのか?それは次回のコラムで説明します。それにしても、面接官が応募者の経歴や学歴について心無い言葉を発するのは、その面接官の会社全体のモラルというか常識が歪んでいる可能性・リスクを思うと、Aさんはそんな会社と縁が結ばれずに良かった!と思った相談でもありました。

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