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MINI 偏愛

自分の人生において、偏愛していると胸を張って言えるものがある。MINIだ。

車やモータースポーツが好きなこと考えると、偏愛とはいえないかもしれない。しかし、このMINIを売っちゃって他のクルマに乗ることなんか考えられないという点から、偏愛しているといえると思う。

MINIに乗り始めたのは、19歳。そう、免許をとってはじめに乗り始めた車がすでにMINIだった。免許を取って、さあお年玉貯金とバイト代をはたいてどんな車に乗ろうかと悩んでいる僕に、親父が一言、「お前、MINI乗らんか。」とささやいた。

僕がまだ幼稚園児だった頃、かつて親父はMINIに乗っていた。イギリスからやってきた、かっこかわいいイカした車に僕はすっかり夢中だった。しかしエアコンの不調にはじまり、そのあまりの小ささから成長期の僕や姉を乗せきれなくなったカリビアンブルーのMINIは、泣く泣く手放してしまった。

あの、親父が乗っていた憧れのMINIに、自分が乗る…最高に魅力的な選択肢だった。

そして、このMINIは僕の元へやって来た。MINI Mayfair '89 アトランティックブルー。

ここで皆様にぜひご承知おきいただきたい。MINI、と聞くと「ああ、ミニクーパー!」と皆さんが口を揃えておっしゃる。間違ってはいない。間違ってはいないんですが、「Cooper」とはMINIのいちモデルであって、MINIにはCooper以外にも僕が乗っているMayfair、Clubman、Countryman、Mokeなどのモデルが有るのだ!Cooperが一番メジャーで人気があってもうミニクーパーという一つの単語として成り立ってしまっていることも認めるけれども、それ以外にもモデルが有るということはぜひ知っていただきたい!これは結構Mayfairに乗っている方なら解っていただける話だと思う。

MINIの魅力は、やはりなんといってもそのミニマムなデザイン。自動車として最小限の大きさに最大限必要な機能を詰め込んだ、そのデザインは今でも目を引くくらい、特徴的かつ革命的。そして、僕がお世話になっているMINIショップの店長曰く、「世界一単純で、世界一丈夫」な、Aシリーズと呼ばれるエンジン。こいつがMINIの心臓として鎮座しているからこそ、MINIは50年という現代の車には破れない長寿命を獲得した。僕のMINIも、僕が生きている間は動くと保証された。

と、なにやらうんちくめいたことを言ったが、このへんは本当にMINI好きな人がうんうんと頷いていただければいい。これらを含めつつ、MINIの最大の魅力はやはり、その個性!

オーナーの希望・需要や趣味によって、MINIは様々な個性を与えられて、オーナーに可愛がられるのです。それは、MINIのそのサイズ感と驚くほどシンプルな構造によってこそ実現可能というものです。他の車にはない、それぞれのMINIが放つ、強烈な個性こそこの車の魅力!

(指が入っているのはご愛嬌)

僕のMINIの最大の特徴はやはりこのウッドパネルとセンターメーター!パネル中央部にスピードメーター、右にタコメーター、油温計、左にはハンドルで隠れてますが油圧計がついてる。このメーターたちがレトロ感を醸し出していて、なんとも言えない。クラシカル。把手部分を引けばちゃんと収納スペースもあったりして便利。

ステアリングは、イタリアのNARDI社製。エンリコ・ナルディのサイン刻印が特別感出してる。でもこの刻印が入ってるステアは普通に出回ってると知ってちょいテンションダウン。ネットでなんでも調べりゃいいってもんじゃない…。


車体側面には、British Motor Corporationのロゴステッカー。これがかなりお気に入り。親父がこだわった車庫がうちにあるお陰で屋根下保管してきたおかげで、いまだこの鮮やかな色彩を保っていて、インパクト大。

洗車後のお姿。車体後方にはガソリンコック。むき出し。ガソリンが垂れないようによだれかけがしてある。このユニオンジャックのよだれかけは一度ガソリンがたれたら表面の塗料が溶けてユニオンジャックが崩れたのですぐ替えた。今では革製のイカした奴がついてる。

僕が一度アイルランドへ留学へ言っている間に車検が切れ、その間すったもんだしていた我が家ではMINIの車検のことはすっかり忘れられ、帰ってきた時にはナンバーが外れていたこいつも、2年越しにはなったけど、社会人になって復活のために貯金したおかげで、いまでは見事に生き返って元気に走っている。復活の時には泣いたなぁ。

不便なこともたくさんある。エンジンかけてしばらくは暖機運転が必要ですぐには走り出せないとか、メンテしないといけなかったり、金銭面では税金高かったりガソリンもハイオクだからレギュラーより割高だったり。でもその不便さだってこの車に乗れる喜びを味わうためだったら、全然構わない。

街中で、MINIを見かけたら手を降って挨拶しあうなんて、他の車に乗っていたら経験できないことだったろうし、MINI自慢で盛り上がる知り合いができたり。この車に乗らないと味わえない喜び、楽しさが詰まってる。

これを読んで、MINIに興味がわいた方がもしいたら。学生の僕でも維持できて、楽しめる車だったって経験から、ぜひ恐れずにMINI乗りになってほしい。生産が終了した車なので、新車に乗ることはまず不可能になってしまいましたが、先述の通り様々な個性を持ったMINIたちが、ショップにはいます。きっとあなたの趣味にあう1台が見つかるはず。そしてそんなショップはきっとひとつの街にひとつはあるはずです(うちの近くには二つある)。ショップの方に、まずは気軽にお話しに行ってみるのがいいと思います。MINI愛強い方々があなたをやさしく丁寧に、そして確実にMINI偏愛へと導いてくれることでしょう。

ああ、MINIの魅力に気づき、MINIに乗る方が増えることを祈ります。そしてもっと多くの方々とMINI自慢を語らい会えるようになりますよう。

(全編を通してクラシックミニについて語りました。BMW社製のNEW MINIもMINIの遺伝子を受け継いだ良い車ですがもはやMINIとは呼べないサイズ感。どうせならクラシックミニのデザインをそのままに再現して欲しかったと思わざるをえない…)


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