ガチにピュアなアンチテーゼ「トゥモローランド」@ブラッド・バード

過去になった「未来」へ、おっさんになった少年が叫ぶ「来てんだろ、未来!」なファンタジー。

劇中、おそらくこれ山場、というシーンで思わず「おいおいおいおい」と声がもれた。なんつーガチな映画作ってんすか、バード監督。ちょっとガチすぎてヒリヒリしてくる。ていうか言いたいこと以外全部取っ払っちゃってるから、結構これ恥ずかしいくらいストレートになっちゃってる。

ほんとに、わりと(陰謀論っぽいノリの)エンターテイメントかと思ってたんですけど、コンセプトからマジだった。ちょっと前に聴いた「ディズニーランドの本当の初期コンセプト」みたいなのもちょっと思い出したり。ほんともう、これ以上ないよってくらいどシンプルに今のハリウッドアンチな話とかしちゃってるし。好きなもん詰め込みまくっちゃってるし。映画って、オレの考える映画ってこういうもんだったはずなんすけど?っていうバードたんの顔まじちらちらする勢い。

そんで相変わらずの、バカ一切出てこないストーリー運び。登場人物同士のディスコミュニケーションってあんましない。そこテーマじゃない。どうすんのかなって思ったら、なんか最後、スクリーン外にはみ出してきて、なんだこれ、4D映画じゃないすかっていう。やばい。ざわざわする系のやばい感。作らせた今のディズニーも結構すごいこれ、と思ったり。そこのれるか、真正面からいけるかどうかで、この映画の評価ってだいぶ変わる気がする。

インクレディブルもそうだったけど、手垢のついたアイディアをもいっかい料理しなおして、何周か回ったアイディア畳み掛けてくる手法がバード流なんだけど、今回は黄金期ハリウッド手法を骨からダシとるレベルで来てる。まえはそこがメインだったところを「もうそれ当たり前」って大盛りしたりする感じなんだけど、今回はその一つ一つに郷愁のソースがたっぷりかかってるというか、もう滴ってる。(それでバードファンには嬉しいリピートが一個あって、「じゃあ助走だったの?」っていうのはあれ。I・Gからひっぱりまくってるあれ。ホントはここがこの映画のオチかもしれん、ってちょっと思った(笑)

ドクターハウス、アンダー・ザ・ドームユーザー的にはキャスティングがたまんなくて、あとラフィー・キャシディちゃんはまじすごいです。ジョージ・クルーニーはもういいからキャシディちゃんでいいから。この子がいるからけっこう実写にした意味があるかもって思うくらい。もしアニメで描いちゃうと、こういう感じにならないだろうし。クルーニーはちょっと細かい毛が生えすぎな気がするし。

一番すごいのは、このテーマを作りきったことだなあ…と最後に誇らしげに画面に浮かぶ「A BRAD BIRD FILM」の文字に心のなかで拍手を送りました(日本でも拍手するようになればいいと思う)。商業バリバリディズニーランド映画の中で、ディズニーランドそのものの存在意義をガチ映画にしちゃうのはバードたんしかいねえよ!と全幅の親愛をこめて…Great Job!(あとロケット好きすぎ!)