ザスパの設営撤収応援隊
はじめに
2021年、今年で14年目のシーズンとなるのですね。
群馬県のプロサッカーチーム ザスパクサツ群馬 の試合興行時に試合会場の設営/撤収をお手伝いするヴォランティアをクラブでは「設営撤収応援隊」と呼んでいます。
自己紹介
設営撤収応援隊に参加者の1人です。
ただ、2008年から始まったこの ヴォランティア におそらく一番多く参加していると思います。また、試合会場の設営/撤収に携わった時間は、クラブスタッフを含めても多い方になるかと思います。
そんな立場を実感しているので、僭越ながら歴史みたいなものを振り返っておこうと思います。ただの昔話で終わるかもしれませんw
【非公式】ザスパクサツ群馬 設営撤収応援隊 @unofficial932stの中の人です。
14年...はっ!始まったときは30代だったのか...おそろしや
2008年から始まった
クラブ、サポーターが協力して試合運営に取り組むことで、経費を抑えて選手強化費に充てる
引用できるソースがあると良かったのですが見当たらず。概ね、こんな目的だったと思います。
当時のクラブの状況は、J昇格4年目、数字上は黒字になった年もありましたが、財務状況は一向に好転せず、Jリーグから役員を受け入れ、公式試合安定開催基金のお世話になったこともありました。ライセンス剥奪の危機に債務超過解消は待った無しの年だったと思います。
薄い知識でとても雑に言うと、債務超過解消には大きく2つ、減資か増資か、あるいは両方か。どちらも出資者にとても大きな痛みを従うもので、経営が何もせずというわけにはいきません。
大ナタを振るう必要があった経費節減ですが、クラブの経営目標は一貫して「J1昇格」。現実離れしていますが経営目標です。チーム経費を大きく落とすわけにはいきません。試合興行費の削れるところ...設営/撤収の一部となったのではと思います。
報道では、当時、業者委託していた試合運営費は2400万円/年とされていました。初年度は、運営担当の方が資料を作ってくれて、そこには、数百万(四捨五入だと桁上がりする! 口止めされてました)の額がありました。盛られていたと思いますが、モチベーションは上がりました。
このような取り組みを公に行っていたJクラブは他に無く、追随するクラブもあり先進的な取り組みでした。
ちょっと色々有って、試合での応援やクラブの事業に疑問を持ち始め、「どうすれば良いのだろう?」と漠然と思っていた時期で、「これは!協力しなければ!」という謎の使命感がありました。
ただし、蓋を開けてみたら参加者は少人数。自分も、おそらくそれ以上にクラブは「あれ?」と思ったのだと思います。実際にはクラブスタッフの負担大幅増という状況でした。
ここでまた、謎の使命感「今年は全部出よう」。会社を休んで設営に行き、法事で試合は観れなかったけど撤収には間に合いました。と、いうこともありましたが、なんとか初年度設営撤収皆勤達成!今でもちょっと自慢ですw
「なにか出来ることは?」と思いつつ「運営ヴォランティアは試合観れなくなっちゃうしな」という器の小さい葛藤に「試合は観れるヴォランティア」が出てきて飛びついたというのもあります。お恥ずかしながら...
翌年も継続することとなり今に至るわけですが、初年度こそ「強化費」と謳われていましたが、以降は、試合運営費の予算に組み込まれた形となりました。当時の運営スタッフが「すみません。全て強化費には回りません」と謝られていた記憶があります。これについては、当時から不満はありません。もともと、もっと経営に資源を使うべきと思っていたので。
ぜんぜん的外れで憶測でしかないのですが、同期昇格の徳島さんは、3年連続最下位でした。この間に「自力」の差がつくことがあったのかなと思うこともあります。
概ね楽しかったからですきっと
なぜ14年も続いているのか。
看板を立てるお手伝いで、土砂降りの雨の中から、真夏の白昼、12月の0時過ぎまで、なかなかハードなことも多かったです。
それでも続いているのは、やっぱり「楽しい」からなのだと思います。「サポートしている」感が直接感じられることもそこに繋がっているのでしょう。
試合観戦は全く別の場所でそれぞれのスタイル、でも試合終了後にはピッチレベルで一緒に作業する。そんな不思議な関係の仲間がたくさんできました。いつものように「おつかれさま~」と挨拶すると「仕事で試合は観れなかったけど撤収だけ!」というのは設営撤収隊あるあるw 「ザスパクサツ群馬」への関わりの幅も広がりました。
スタッフのご苦労が感じられるのも良いところです。
ご存じのように決して充分な人員がいるわけではないので、みなさん色々掛け持ち。設営中もたびたび電話でいろいろ調整。試合後は、トラブル対応が長引くと撤収作業にほとんどスタッフ出てこれないこともあります。ナイトゲームの撤収が天辺回って終わった後、「これから事務所で残務です」なんてこともありました。正直、スタッフの状態をみて(会社としてあまり良い状態ではないなぁ)と感じることもありました。あ、今は大丈夫ですよ。
シーズンが変わると、サポーターがヴォランティアに参加している意義が出てくることもあります。クラブ内での運営担当交代はまだ良いですが、スタッフの個人昇格などで前任者が居ないこともありました。もちろん申し送りはしてくれているのですが、やはり現場作業、しかも、いくつもの作業が同時進行なのでうまく回せてないことも。そんな時に設営撤収応援隊です。「これはあっち」「次はあれ」「スロープやった?」など、もちろんスタッフマターですがさりげなく手助けできます。
看板が増えると仕事が増えるのですがとにかく嬉しいのです。減ると寂しいのと共に県内経済の縮図の一端を垣間見る思いです。
看板が一番多かったのは2017年でしょうか。 いや、去年も多かったか。ともかく暗黒の2017年でしたが、おや?と思ってしまう業種からスポンサーが入ってそこから残っていてくれるところもあるので悪かったことばかりではないのですよ。
看板一枚一枚になにか「ドラマがある」と思って設営撤収しています。ぶっちゃけ広告効果などほとんどないであろうザスパのサポートをしているのはなぜなのか? それぞれの「思い」を是非、伺ってみたいものです。どなたかライターの方、お願いします!
スタッフからは、「この看板、自分が取ってきたんですよ」なんてお話を伺うこともあります。
熱中症警戒アラート(赤)危険の中、さっきまで汗だくで一緒に作業していたスタッフの方がスーツに着替えていて「これから営業行ってきます!」なんてこともありました(いや、シャワーくらい浴びていこうよ)。
設営撤収には営業職の方ももちろん参加です。営業が営業以外のことに時間を割くというのは業務としては非効率ですが背に腹は代えられないですね。
そんな炎天下の休憩中に飲む、経口補水液 OS-1 がめちゃくちゃ美味しい時がありました。あとで、看護師の方に聞くと「それ、もう脱水」だそうです。み、みなさん、ご安全に~
サッカーの見方の幅も広がります。アウェーに遠征したり、当時はスカパー、今は DAZN の中継で他のスタジアムを観る機会に、「看板うちの方が多いな(単価が違うだろうけどw)」「配置が曲がってる!」「なるほど、この配置は良いな」と、試合以外に楽しめることが一つ増えます。
最後に
歌い跳ぶ。遠方から正田スタに思いを馳せる。お酒を飲みながら。運営ヴォランティアでお客様をお迎えする。
地方でのサッカークラブは、エンターテインメントであり、地域貢献でもありと思っています。小さなクラブでしか体験できないこととして、いろいろな関わり方の中で、自分に一番合っていたのが設営撤収応援隊でした。
ザスパクサツ群馬を通した「楽しい」非日常体験は、実はこんなところにもあるよ!
少しでも伝われば幸いです。
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