No,14 『半分の月がのぼる空』
あと少し、振り返り。
橋本紡によるライトノベルが原作のラブストーリー。
【あらすじ】
肝炎を患って入院した主人公・戎崎裕一は、入院生活に耐えかねて、度々夜中に脱走を繰り返していた。
抜け出した時は毎回看護師の谷崎亜希子に見つかり、怒られていたのだが、そんなある日、同じ病院に入院していた同い年の少女・秋庭里香の話し相手になる代わりに夜中の抜け出しを黙認するという取引を持ちかけられる。
最初はぎこちないながらも次第に近づいていく2人。
ある日、里香から自身が心臓の病で先が長くないこと、砲台山が亡き父との思い出の場所であることを聞いた裕一は、里香を砲台山へと連れ出す決心をする。
2人で行った砲台山。そこで祐一は里香の病気に対する決意を知る。
直後、悪化した肝炎でその場に倒れ込む裕一の言葉から、里香も裕一の想いを知ることになるが、その後には隔たるいくつもの壁が…。
【鑑賞記録】
初めてこの作品を知ったのは中学生の頃。
小学生高学年の頃から徐々にアニメ等に興味を持ち、その頃はライトノベルなどにも多感だった自分がその本を手に取った理由は安直で、ただ表紙のイラストが可愛かったからでした。
電撃文庫から出版され、ライトノベルとして置かれてはいたものの、病気に囚われる生活や様々な文学の引用、今思えば中学生が読むにはとてもライトとは言い難い作品だったものの、2人の「生」に対する強い姿勢にはすごく心を打たれた記憶があります。
最近は近頃のアニメばっか見てたこともあり、アニメの絵のタッチなどに最初は時代感を感じましたが、この作品に関しては近頃のあの鮮明なタッチよりも引き込まれるような感じがしました…。
中学生の時、紙でこの作品に触れた時は、作中の引用に感化されてただただ芥川の作品を読み耽ったりした時期もありました。
齢21歳となった今、10年弱の時を経て見直したこの作品には、「生命」、「時間」、「愛」、改めて考えさせられるようなテーマが詰まっていて、裕一たちの生き方にもまた考えさせられることが多かったように感じます。
「誰かのために生きる」ということと、「誰かのために死ぬ」ということ、ともに「誰かのために命をかける」という重みについては、中学生の頃も、そして今も、まだ完答できるには至ってないような気がして、日々についてもまた考える機会をもらえた作品です。
ライトノベルは謂わゆる純文学と対比して軽視されることも少なくはないジャンルです。
その中で敢えて作者がこのジャンルでの出版を決めた本意はわかりませんが、重い話題と敬遠されがちなこういった内容のことに関して、今この世の中だからこそもう一度見直せるようなきっかけになるのではないかなと思います。
【おススメ度】
爆笑 ★☆☆☆☆
恋愛 ★★★★★
友情 ★★★☆☆
感動 ★★★★★
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