#pixivfactory さんで個人向けの薄い本を作ってみた(本当の薄い本①ver.) 〜備忘録を兼ねて〜
コミケとか文フリとか出すつもりないのですが、久しぶりに書きたい意欲が高まっていたのと、せっかくならば自分のお気に入り作品を紙で作っておきたい!という欲が出てしまい、せっせと拵えておりました
まあ、内容は諸事情で明かせないませんが、創作一次、某サイトにも載っけてる作品です
その作品の本編はまだまだ全編改稿中なので、終わって紙媒体として届くのはいつになるかわかりませんが、それ以上に前から書いてみたかった成人向けSS(アフターストーリー、公式二次ともいう)がスルンと書けてしまい、せっかくならばこの内容で本を作ってみるかぁぁとなったため、今回、この内容オンリーで薄い本を作ってみることにしました
さて、内容は……一切口外NGですが、せっかく作ってみた薄い本のpixiv factoryで作った〝設定〟をざっと備忘録代わりに垂れ流そうかなと思います
というのも、100ページ以上の文庫本を作る際の設定は皆さん載せていらっしゃるのですが、なかなか50ページ以下の文庫本の作成手引きが見つからないんですよね。なので、もし私と同じように(物理的に)薄い本を作ろうと思ってもこういう設定がわからないって困ったときには、参考にできる部分は参考にしていただければ幸いです
(もしここがわからない!という場合には、コメントしてください)
なお、薄い本の内容は成人向けですが、このnoteの内容は全年齢向けです
※実際に作ったブツの写真は、モザイク掛けて載せてあります
0.物事を決めた順番
どうしてこうなったのかは後述しますが、今回はじめて紙の本を作るにあたり、こういった順番で決めていきました。
ページ設定(原稿サイズ)とフォント、フォントサイズ
(本文を書く、表紙作る)
余白と行間決め
印刷所決め
用紙決め
(背幅計算)
…いや、コミケとか文フリとかで頒布するならば先に印刷所とか決めておくべきなんだけれどね、本当に
1.印刷所決め
実はこれが最初から最後まで1番悩んだものです
というのも、べつにコミケとか文フリで配りたいから刷るわけじゃなく、個人で記念?に一冊欲しいから刷るという形なので、一冊でいいんですよ
なにが言いたいかというと、当たり前ですが、基本的に一冊の印刷を引き受けてくださるところは僅少、そしてかなり割高なんですよ
なので「一冊から刷ってくれる印刷所」と検索して出てきたサイトを片っ端から見て、実際の印刷所さんのサイトへアクセスし、見積もり金額や支払い方法、発送方法、仕様などで比較検討し、二社で悩みぬきました
(いずれも2023年6月23日現在の仕様を掲載)
①pixiv factory
言わずもながなイラスト掲載サイトpixivが運営するオタ活マーケット
(適当な言い方してごめんなさい)
○メリット
・大手で超安心
・カバーと本文でそれぞれ紙を選ぶことができ、十人十色の紙の本が届く
・郵便局留めや佐川さんの営業所止めが可能
・「このページ数で発刊するんだい!」と作者が先に言うシステムなので、違ったサイズ(ページ数)の原稿を入稿すると「君、その原稿サイズ(ページ数)ちゃうで。こっちが正しい原稿サイズ(ページ数)やで!」とちゃんとした正しい原稿サイズ(ページ数)を教えてくれるんですよね。
・pixivに投稿した小説だけ、同人誌を作れるわけじゃない
→正直言うと、pixivってなろうやカクヨムみたいに簡単にルビが振れないんですよ(真っ青な顔)
なので、pixivに投稿しようと思うと一回一回ルビを振る手間があるのですが、Wordに直接打ちこむと自分自身のタイミングでルビを振れるので、すごくラクですし、なによりカスタマイズ可能なのがめちゃくちゃいい
○デメリット
・オプションが少なく、カバーや遊び紙がつけられない
・背幅計算ツールがないので、ちょっとした賭けになる
→今回は使いたかった紙を使わずに外部サイトを利用や、上記メリットであげた正しい表紙サイズを教えてくれたことで解決
なお、使った外部サイトとpixiv factoryさんとでは同じ紙があまりないので、違う紙を選ぶ場合、賭けになる
②製本直送.com
○メリット
・カバーや遊び紙がオプションで選べる
・背幅計算ツールがあるので、簡単に背幅が決められる
◯デメリット
・どこの配送業者さんで届くかわからない
・カバーと表紙がどのような紙なのかわからないので、細かい部分までこだわりたいという人には不向き
今回は値段もほぼ同じだったため、大手で超安心なpixiv factoryさんにお願いすることにいたしました
2.本文原稿決め
あくまでも内容ではなく体裁の話です、はい
基本的なページ設定(原稿サイズ)以外はあくまで好みになりますが、今回は利用させていただいた2つのサイトを、お礼を兼ねて掲載させていただきます
・ざっくりまとめ 「皆さんの文庫本設定を教えてください」(最近のはまとめられてないので、リンク先のタグからTwitterたどったほうがトレンド?がわかるかも)
・文庫同人誌をWordでつくる設定の6手順【初心者でも簡単】
①ページ設定(原稿サイズ)とフォント、フォントサイズ
1.ページ設定(原稿サイズ)
印刷所によるのかもしれませんが、今回、悩みぬいた2か所とも塗り足しが必要な印刷所さんでした(正確に言うと製本直送.comさんはどうしても必要というわけではなかったのですが、まあ、表紙を作るときには必要になったので、原稿を作るときには塗り足しを作っておく、という習慣にしておくつもりで塗り足しを入れておきました
さて、文庫サイズなので、A6+塗り足し上下左右3mm、すなわち幅148mm×長さ154mmは文庫本入稿時の全日本人共通サイズになります
(レイアウト>サイズ>最下部「その他の用紙サイズ」)
文庫を意識するので「縦書き」「用紙の向き:横」もお忘れなきように
2.フォント
超個人の好みですが、MS明朝や游明朝よりもフリーフォントの源暎こぶり明朝がおすすめです
3.フォントサイズ
Wordで作ったのでpt(ポイント)で話を進めますが、個人的にはそれなりに細かいほうが好きで、中高生向きのライトノベルだとちょっと大きくて読みづらいなと思うときがあるため、オレンジ文庫~文芸系の文庫(新潮など)ぐらいを意識して8ptにしました。
②余白と行間
さて、今回私の薄い本の設定はこんな感じ
わりと皆さん塗り足しこみで20mmぐらい取ってらっしゃるので、余白が狭かったかなと思いましたが、まあ世に出回らない個人本だし失敗は成功のもと、ということで、今回はこんな感じにしました
上:16mm、下:15mm、左右:13mm
綴じ代:5mm、印刷の形式:見開きページ
上記二つのサイトを見ていると、綴じ代についてもっと分厚くなるときは10mmぐらい取ったほうがよさげな雰囲気ですね
そして、この本文設定で一番悩みに悩んだのが、行数と文字数
本当は上記2番目のリンクと同じ設定にしたかったのですが、自分のWordちゃんではなぜか設定できなったんですよね
ということで、下の写真のような設定にしました
(レイアウト>余白>最下部「ユーザー設定の余白」>文字数と行数)
文字数:36、行数:15
で、この行数の一番下にある「行送り」
この数値を行間隔「固定値」にしたうえで「行送り」と同じ数値を入れ込むと、あら不思議
ルビを振っても行間のバランスが崩れないんですよね
(ホーム>段落>段落の設定(右下の矢印)>インデントと行間隔)
行送り:15.05pt
③本文中のページ番号(ノンブル)とタイトル入れ
やり方は人それぞれだと思いますが、今回私は「Wordで扉や奥付を入れない状態で保存、PDF化→あとから扉や奥付を外部サイトにて結合」ということを行いました
なので、同じ方法で進められるかたには参考になると思いますが、そうでない場合には参考にならない可能性もあります
さて、ページ番号は下部、タイトルは上部に入れたかったのでヘッダーとフッターの設定から行いました
(挿入>ヘッダーとフッター>ページ番号>下部)
ヘッダー:10mm、フッター:8mm
ページ番号を入れたら、かならず最初に「ヘッダーとフッター」>ヘッダーとフッター>ページ番号>ページ番号の書式設定から、連続番号を「開始番号:2」にしておいてください
この段階で設定しておかないと、以下の作業ですごく手間がかかります(経験済み)
ただし、この場合、以下の写真のように見開き同じレイアウトになってしまいます
なので、商業誌と同じように開いた状態で「左右それぞれの外側にページ番号」「左ページの上にタイトル」が来るような、左右異なるレイアウトにしていきたいと思います
やり方は単純。ヘッダーとフッター>オプション>「奇数/偶数ページ別指定」というチェックボックスにチェックするだけ
そうすれば以下の写真のようになります
ちなみに掌編集やアンソロジーの場合にはわざわざファイルを変えずとも、レイアウト>ページ設定>区切り>セクション区切り>次のページから開始で本文を埋めこんだ後、ヘッダーとフッター>ナビゲーター>「前と同じヘッダー/フッター」をクリックし、以下の状態になっていれば違うタイトルを入れても前のセクションには影響されてません
…もちろん、きちんとご自身の目で確認してくださいね(やらかしかけた経験あり)
※セクション区切りを設定していないときや、最初のセクションのページを選択しているときにはアクティブになりません
ちなみにヘッダーフッターともに8ptにしました…が、たぶんフォントがデザイン系なので、ちょっと小さく感じるかもしれません
(下記にも記しましたが、小っちゃかったです)
④ルビ振り
うん、フォントサイズと同様、どの読者層に向けているのか、というところなんだよなぁと痛感したルビ振りでした
作品の本編自体は男性向けなのですが、SSの展開的には女性向けなので、作者である私がすごっくハマっている女性向けかつ成人向けの3レーベル(ティアラ、ソーニャ、シフォン)を読みかえした結果、ソーニャが一番読者層に近いかなと思い、こちらのルビの振り方にあわせて振っています
…まあ、お読みになったことがある方は知っていると思いますが、あのレーベル、ルビがほとんどないですね()
⑤隠しノンブル
さて、pixiv factoryさんの注意事項を読んだら「本文全ページに、1 または 3 より連番で、仕上がり線内(印刷面)に入れる必要があります」だそうです
なので、挿絵とか本扉、中扉、奥付まですべて必要なんですよ
ということで、本扉および奥付に、人生初隠しノンブルを付けました
付けた図は以下になります
(左下にノンブル。実際はグレー画像)
画像の中の黒い枠が仕上がり枠になります(本来は仕上がり枠は出力しないのですが、わかりやすく見せるためにあえて出力しています)。そして、画像は偶数ページ(開いた状態で右側)になるので、左側が綴じる側になります
なので、綴じ代ぎりぎりにノンブルを振ったことにより、製本されたときには綴じられて見えなくなっているはずです
(本当は縦組みにするとかあるらしいですが、まあ、いいかとなりました…)
3.表紙決め
さて、本文原稿終わりそうだし、表紙を作るか!
……いや、依頼はしないよ?
だって、個人で楽しむためだけだもん('◇')
また頒布する場合には考えますが、本編のほうを自分用に作るときも依頼するつもりはないですね。自炊します
フォトショとかイラレは持っていないので、フリーソフト様様でした
このコーナーでお世話になったのは、pixivにさまざまなデザイン制作例やフリー素材、そしてなんと無料でハウツーを載せていらっしゃるてんぱる1様
無料で学ばさせていただき、ありがとうございました
あと作り終わってから知ったのですが、書籍で「魅せる! 同人誌のデザイン講座――Before-Afterでわかる試したくなるアイデア&テクニック」
こちらもなかなか面白かったです
今回のテーマは【冬】【夜】【酒】なので、すべて詰めこんだ結果、下のような表紙になりました
【猫】【桜】要素は本文中にないのかよ!と思われるかもしれませんが、ちゃんと読む人が読めばわかります←
それも含めて遊び要素もあるのですが、まあいいんです。作者が楽しめれば、ええ
4.背幅決め
…あれ、表紙作成テンプレートはあるけれど、一部ページしかないじゃん
はい、そうなんですよ。
なので、計算しなければなりませんが…
結論から言うとpixiv factoryのページに記載されている「本文で使いたい紙の厚さ」×「本文ページ数」でいいです。ほとんど違わないので、よっぽど分厚くならなければズレは少ないと思います…が、やっぱり不安なんですよねぇ
「背幅の計算ツール」なるサイトを使って計算してもいいですが、残念なことに、あまりpixiv factoryと共通している紙が少ないんですよ
なので、個人的に一番いいと思ったのは「pixiv factoryにお試し入稿すること」
というのも、最初に書いたとおり「自分はこのサイズ、ページ数で作るんだい!」と宣言してから入稿するので、勝手に判断してくれるんですよ
なので、あきらかにサイズが違う適当な画像を突っ込んでみると、弾かれはするのですが、下の図のように正しいサイズを教えてくれます
そしたら次の工程「pxからmmに変換しよう」
まあ、しなくてもいいんですが、なじみある単位のほうが間違いが少ないんでね
ということでお世話になったのが、こちら
「【みんなの知識 ちょこっと便利帳】ミリでのサイズを解像度に合わせてピクセル値に変換」まんまのサイトですね
ここに先ほどの数値を入力します
このとき解像度はかならず350dpiにしてください(pixiv factoryのおすすめ解像度なので、入稿時のサイズもこれで計算されてます)
そして、上の図でオレンジ色になってい部分を押せば…
瞬時に計算してくれます
ということで、今回表紙と裏表紙がそれぞれ105mm×148mm、上下左右の塗り足しが3mmなので、下の図のようになります
表紙、裏表紙:105×148mm
背表紙:2.5×148mm
(図中の青い線は仕上がり枠)
5.用紙決め
現在、pixiv factoryさんで表紙として使用されているのは5種類3加工
今回は【泡沫の夢】【大人らしいシック】な感じを出したかったので「マーメイド スノーホワイト」に「マットPP」を施してもらいました
※「アートポスト以外の表紙用紙を使用する場合は、特殊紙の質感を活かすために、表紙加工は加工なしをお選びいただくのがおすすめです」と書かれていたのは承知ですが、Twitterの口コミでは見た目が残っていそうだったので、今回は施してもらいました
そして本文は「上質紙 70kg/90kg、淡クリームキンマリ 72.5kg/90kg、コート 110kg、マットコート 110kg、モンテルキア 81.5kg」の7種類から選べるのですが、今回は【単行本やDVD/BDのおまけについてくるような冊子】をイメージしたかったので「マットコート110kg」にしました…それでもちょっと分厚かったかな苦笑(届いて触ってみたら、ちょうどよかったです)
※「小説の本文では淡クリームキンマリ(72.5kg)をお選びいただくことをおすすめします」とありましたが、薄っぺらい冊子であることなどから集めの紙で製本しております
6.いざ、入稿!
くどいようですが「自分はこのサイズ、ページ数で作るんだい!」と宣言するので、入稿間違いが少ないんですよね
ただ気をつけなければならないのが、Wordに本扉や奥付などをくっつけてからPDF化すると、モノクロ2階調出力なのか入稿時のエラーとして「〇ページ目はグレースケールでの入稿をおすすめします」と出ます
なので、Wordを使われている方は本扉、奥付それぞれグレースケールでPDF化したあとに本文をサンドイッチしてオンライン上で結合するのがいいと思います
7.届いてみた結果
中身は成人向けですし、内容は一切非公開なので大部分にぼかしを掛けてますが、こんな感じになりました。うん、素敵
参考にした某公式SS本と一緒にパシャリ
やっぱりちょっと字が小さかったかな?
とりあえず余白と綴じ代が問題ないので、ヨシ
素敵ポイント①仕様
この表紙加工、最&高
ちゃんと手触りも残ってました( *´艸`)
素敵ポイント②色味
RGBがCMYKに変換されるとは聞いてましたので、どこまでくすむか不安でしたが、うん、こだわりポイントの雪とロゴが綺麗に発色したので、無問題
とはいえ、桜がちょっと薄かったかな…
素敵ポイント③隠しノンブル
無事に隠れました(^^
素敵ポイント④ルビ
うーん、ちょうどいい(ホッコリ顔
反省点①本文中タイトル
ちっちぇえ…
どうにかならんかったかな…
反省点②背表紙が表紙にかかっている
これねぇ…入稿完了(支払い)してから気づいたんよ
0.5mm太かったのと、中央寄せしてないっていうのを…
反省点③背表紙が地味!
そのまんま、ちょー地味でした
反省点なのですが、ちゃんと理由があってこの色味にしたので、ヨシ←
次回に向けて
懲りてません、ハイ
しばらくは薄い本を量産する予定ですし、本来の第一弾である厚い薄い本(第二弾)も作りますし、第三弾も作る予定ができあがっております
うん、楽しい
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