初めて、現代アートを買いました。
はじめに。
僕は、初めて現代アートを買いました。
最近、ビジネスの世界で「アート」というワードを頻繁に見るようになりました。
でも、アートって「よくわからない。」「お金持ちの趣味。」っていうイメージが強い気がします。
なので、僕もこのブログを一文字一文字、気をつけながら書いています…腫れ物に触るように…
これから、僕が現代アート作品を買って気付いたことについて書いていこうと思います。
最後に綺麗に着地する自信がないので、初めに僕の伝えたいメッセージを岡本太郎さんの言葉をお借りして載せさせていただきます。
「芸術はすべての人間の生まれながらもっている情熱であり、欲求であって、ただそれが幾重にも、厚く目かくしされているだけなのです。力になることができるのは、それをはずすこと、そのキッカケ、方法をいっしょに考えることなのです。はずしたあとは、それぞれの実力で、自由に芸術を判断すればよい。きっと、「芸術がわからない」などというのが、どんなにバカげたことだったか、すぐに気がつかれるでしょう。そして、芸術こそ他人ごとでなく、自分自身の問題であり、生活自体だということがわかってきます。」
—『今日の芸術~時代を創造するものは誰か~ (光文社知恵の森文庫)』岡本 太郎著
https://a.co/gaVU7mI
僕の買った作品
桜井 孝身 Takami Sakuraiという方の作品です。
桜井孝身は、戦後、日本の現代芸術の大きな潮流をつくった前衛美術集団「九州派」のリーダーとして、福岡から全国へ、フランス・アメリカなど海外にも発信した芸術家です。
ギャラリーモリタ桜井 孝身
ヒッピー文化などに影響を受け、その中でもこの作品は「人類」「宇宙」がテーマの作品です。
本当は、他の作品が欲しかった
実は、違う作品を狙ってたんです。
作家は同じ桜井さん。
この髭の男を見た時、「自分だ。」と思いました。
約半年前、人生の大きな決断をするときに、すごく孤独を感じました。
その時の、自分を見ているようで「近くに置いておきたい。」と強く感じました。
金額も、頑張れば手の届きそうな金額だったので「欲しいなー。でも、高いよなー。」なんて思いながらその日は帰りました。
すると、次の日
その作品が、売れてたんです。
関係者に話を聞くと「台湾のコレクターが買った見たいよー。」っと。
そこで、「あ、これが絵を買うことの楽しさか。」と思いました。
自分の所有したいものは、この世に一つしかない。
「近くに置いておきたい」と思ったものが、「高いしな…買っても意味をなさないしな…」と思ってると誰かに買われてしまう。
安くない買い物だから、ゆっくり考えた方がいい。でも、それは世界に一つで誰かに取られるかもしれない。
だから自分のものにしたくなるのか。と…
ただ、悔しさに加え嬉しさも感じました。
「台湾のコレクター」その人の、名前も職業も何も知らないけど、「きっと、アートをよく知っている人で、目利きなのだろう。自分の目は間違ってなかった。」そんな気持ちになりました。
「ああ、僕はそんな人と同じ土俵に立てるのか。」とも感じました。
最初に目を引かれなかった、作品を買った訳
この作品が展示されてたのは、博多阪急で開催された現代アートの展覧会「THE ART STATION」
これは、美術館と違って作品を買うことができる場です。
そんな場所には、沢山のコレクターが集まります。
目をぎらつかせて作品を狙ってる人達です。
そんな人たちと話せるのは面白いです。
「この作品は、作家のこんな人生が反映されたんだ。」
「この作家は、東京で〇〇が取り上げたからもう時期、評価が上がるよ。」
など、コアな情報を持ってる人達に沢山教えてもらいました。
そんな情報を持つと、作品の見え方がガラッと変わってきます。
作品自体は何も変わらないけど
背景に沢山の意味ができる。その作品の歴史や扱われた展覧会によって。
これがアートの面白さだと思います。
そんなこともあり、ちょっと金額が高かったけど僕の一番欲しかった作品に似ている作品が展覧会終了後も気になってきました。
その後、この作品を僕は買うことになるのですが、決め手はこの作品を扱っていた画廊の方との会話です。
桜井孝身は、作家の中では絵が上手ではなかった。でも、岡本太郎に『上手になるな。上手ではないから伝えられることがある。』と言われ、それを大事に活動していた。
この言葉を聞いた時、「自分に似ている。自分の理想であり。忘れてはいけないことだ。」と感じました。
それが、この作品を買う決め手になりました。
投資としてのアート
とはいえ、直感だけで買ったわけではありません。
「九州派」の作家の作品の価値が上がる可能性が高い。ところも作品の購入に踏み切れた理由です。
僕は、人生で初めて購入した作品を手放すかは分かりませんが、「金額が上がる」ということは僕の心をこれからワクワクさせてくれます。
作品を買って、変わったこと
実は、まだ僕の作品は届いてないです。
今は、東京の画廊に展示されていて多くの人の目に触れていることと思います。
自分の買った作品が、沢山の人に見られることも嬉しいことです。
今は、作品について会話できたり意見をもったりすることができるようになりました。
不思議と「この作品はいいよね。」「この作品はあの施設に合うよね。」とか…そこに定量的な判断材料は何もないのに、会話できちゃいます。不思議です。
最後に
一年前、あるアート雑誌に携わる方に
「アートって何ですか?」と質問しました。
答えは、
中学生の頃、席替えしたでしょ?
「好きな女の子の横になりたいな。」とか考えなかった?
隣になれて嬉しかったり、離れて悲しかったりしたでしょ?
それが、アートだよ。
と。
「席替え」という一言で表せる出来事の中に、一言では表せない沢山の学生の感情が蠢いている。そこには沢山のドラマがある。
アートも同じ、一つの作品に沢山の背景がありそこに価値を感じる。
「アートを理解しよう」という感情は置いておいて、
「好きなもの」「心動くもの」「素晴らしいと思ったもの」
を判断する。それが、第一歩なのかなと思いました。
アートを分かろうとせず、純粋に感じて自分の中で判断する。
そして、背景を汲み取る。
正しいかは分からないけど。そうやってアートと向き合っていきます。
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