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本当に生きてて良かったねっていうことを伝えていきたい人

 夕暮れ時、カフェのテラス席に座っていると、ふと隣のテーブルから聞こえてくる声に耳を傾けてしまった。
「本当に生きてて良かったね」
その言葉が、穏やかな風に乗って私の耳に届く。振り返ると、年配の女性が若い男性と向かい合って座っていた。彼女の目は、優しさと深い思いやりで満ちていて、まるで長年の経験から紡ぎ出された言葉のようだった。
彼女は、きっと人生の苦しみも喜びも、すべてを受け入れてきた人なんだろう。でも、ただ受け入れるだけじゃない。その経験を、やわらかな言葉に変えて、誰かに届けようとしている。
「生きていて良かった」
その言葉には重みがある。きっと彼女自身も、生きることの苦しさを知っているのだろう。でも、それでも生きていることの尊さを感じている。そして、その気持ちを誰かに伝えたいと思っている。
彼女は、きっと日々の小さな幸せを大切にする人なんだと思う。朝のコーヒーの香り、散歩で出会う野良猫、電車で見かける赤ちゃんの笑顔。そんな何気ない瞬間に、生きる喜びを見出す人。
そして、その喜びを独り占めにしない。誰かと分かち合いたいと思う。だから、彼女は話しかけるのだろう。見知らぬ人にも、優しく語りかける。「あなたの存在が、この世界を少し明るくしているんだよ」と。
彼女の周りには、きっといつも人が集まってくるんだろう。温かい言葉に引き寄せられて、心を開く人たち。そして彼女は、一人一人の話に耳を傾ける。その人の人生の物語を、大切に受け止める。
夕日が沈みかける頃、彼女たちは立ち上がった。「また会えるといいね」という言葉を残して、別々の道を歩き始める。私は、なぜかほっとした気持ちになった。
この世界には、こんな風に誰かの心に寄り添う人がいる。それだけで、少し生きる勇気をもらえた気がした。
と思う2024年7月25日12時43分に書く無名人インタビュー841回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

今回ご参加いただいたのは 高橋桐矢 さんです!

年齢:50代後半
性別:女
職業:占い師兼児童書作家

現在:私はどんなふうに言われても、泣くどころか欠点を指摘してくれることがすごく嬉しいんですよ。

ポンプ:
今何されてる方ですか。

高橋桐矢:
占い師と、児童書の作家をしています。

ポンプ:
それ以外は何かされてますか。

高橋桐矢:
アルバイトとかいろいろしてた時期もありましたけど、今は、この2つです。

ポンプ:
それぞれどういう経緯で、現在に至ったのか教えていただければ。
まず占い師になられた流れみたいなのから。

高橋桐矢:
プロ占い師になったのは、新聞の求人チラシを見てです。

ポンプ:
どんな占いをされるんですか。

高橋桐矢:
いわゆる12星座占い……西洋占星術もしますし、タロットカードでも占いますし、ルノルマンっていう占いカード、ジオマンシールーン占い。結構いろいろやっています。

ポンプ:
どれが一番得意な占術になるんですか。

高橋桐矢:
ルノルマンカードとジオマンシーかな……。

ルノルマンっていうのは、かわいらしい絵が書かれたカードを使う占いなんですけども。20年ぐらい前かな、初めて知ったのは。

その頃はまだあまり日本では知られていなくて。このかわいい占いカードをどうしても使いたくて自分でいろいろ調べ始めて。
それで今、ルノルマンカードで占う人ってすごく増えているんですけれども、自分自身で占い方を調べたり研究してきたっていうところからやっぱり思い入れは強いです。

思い入れ強すぎて、ルノルマンカード占いの解説書を書きました

ポンプ:
どのくらいの人数の方を占ってこられたんですか。

高橋桐矢:
最近は、鑑定はしてないんですよ。ほぼ執筆が占いの仕事のメインになっています。

ポンプ:
もう一つの肩書きの作家活動とは別に、占いの執筆をしているんですね。

高橋桐矢:
はい。雑誌やWEBで今月の運勢っていう占いページがあったりしますよね。
今は、月刊ムーの占いや、大丸・松坂屋デパコスサイトの今月の運勢を書いたりしています。あとは占いの本を書いたり……占いの講座をしたり。

ポンプ:
占い師と児童書の作家さんを掛け持ちされている方って、外にいらっしゃるんですか。

高橋桐矢:
作家さんで占いをされる方って意外といたりします……占い好きな方も。
それこそプロになれるくらい占いができる方もいます。

ポンプ:
児童書は具体的にどんなものを書かれているのか教えていただけますか。

高橋桐矢:
例えばこれ、親が占い師をしている子のお話(「占いのオシゴト」偕成社)なんですけど。

それからこれは、いじめで学校に行けなくなった子がフリースクールで、自分を取り戻していく話(「イジメサバイバルシリーズ」ポプラ社)。

最近はホラーで、怖い話のアンソロジーを(「この世で一番残酷な答え」あかね書房)。

占いに関する子どもの話も書いてますし、占いとは全然関係のない話も書いています。

ポンプ:
児童書の作家さんになったのは、どういう経緯ですか。

高橋桐矢:
持ち込みでした。
結構ずっと長いこと公募生活をしてたんですけど。児童書だけではなくSFとか、純文学とか、いろんな小説を書いて公募に出すっていう生活を、……本が出るまでだから、10年以上してて、その過程で……児童文学者協会っていう団体がありまして、そこで勉強させていただくようになって。
そういう中で編集さんと知り合って、持ち込んで読んでもらって。

ポンプ:
児童に関する作家さんになろうっていうきっかけは、どんなところにあるんですか。

高橋桐矢:
小説を書きたいって思ったのは10代ぐらいからなんですけども。
SFとかファンタジーが書きたくて、ずっと公募に出してたんですが、なかなか難しくて、芽が出なくて。
なんていうか、原点に戻ったときに自分がやっぱり、小さい頃から読書が好きだったので、自分が子どもだったときに読みたい本を書きたいって思ったっていうことですかね。

ポンプ:
今はどういった本を読んでらっしゃるんですか。

高橋桐矢:
仕事が忙しくてなかなか自分の趣味の読書ができない状況ではあるんですけど。
ノンフィクションを読んだりしてますね。こないだ読んで面白かったのは統合失調症の一族という本です。すさまじかったです。

私が書いてるのはフィクションで、つまりお話ですよね。
でもノンフィクションって事実じゃないですか。そういうノンフィクションの強さにフィクションは、勝てるんだろうかとか考えたりします。

ポンプ:
逆にそのノンフィクションを書いてみようというふうにはならないんですか。

高橋桐矢:
すごく大変なんですよ、ノンフィクションを書くっていうのは。
取材をものすごくしなくちゃいけないですし、生半可な気持ちでできるジャンルではないと思います。

ポンプ:
一方で、フィクションの大変さってどんなところにあるんですか。

高橋桐矢:
お話自体は作り事なんですけれども、……例えば、作中で描かれている、登場人物の喜びとか悲しみとか感情とかそういうのって、やっぱりリアルなものじゃないと伝わらない部分があるんですね。
だから自分自身のものすごく悔しかったこととか、恥ずかしかったこととか、思い出すともうワーッてなっちゃうようなことも書く。
その自己開示というか。それは結構、しんどいですね。

ポンプ:
今書いている小説はオープンにされていたりするんですか。

高橋桐矢:
書き途中のですか?

ポンプ:
例えばnoteに上がっていたりとか、サイトなど。

高橋桐矢:
ああ、そっか、今ってそういうことができるんですね。私は長年書いてきて、本になったり同人誌になるまでは、他人の目に触れないという時代だったんですけど、今はそうやって、書き途中のものを発表できる時代なんですね、全然考えたことなかったです。

ポンプ:
他の方に見てもらったりすることはあるんですか

高橋桐矢:
あります。所属しているサークルの中で出版経験のある方や、これから本を出していこうっていう方もいて、そういう仲間に読んでもらって、切磋琢磨しつつ、作品を磨いていく作業を、今している途中です。

ポンプ:
切磋琢磨って、実際にどのぐらい糧になってるんですかね。

高橋桐矢:
物を書くって結構、孤独な作業なんですよね。
今はそういうふうにnoteとかブログとかで、リアルタイムで反応もらうこともできると思うんですけども。書いてるリアルタイムは、自分1人なわけですから、やっぱり基本的に孤独な作業であることは変わりなくて。

だからこそ、読み手としてちゃんとした見る目を持っている仲間に読んでもらえることが作品を磨き上げていくために、とても役に立っているし、自分も仲間の作品を読むときに、ただ楽しかった面白かったじゃなくて、この作品のどこをどうすればもっと良くなっていくんだろうと常に考えながら読んでいます。

ポンプ:
切磋琢磨している中で印象に残っている感想だったり、ご自身の気づきってありますか。

高橋桐矢:
昔の話なんですけど。ある同人のグループに入っていたことがありまして。
そこで結構泣いてる人がいたんですよ。きつい感想を言われて。
作品ってやっぱり書き手にとって自分自身の分身みたいなものでしょう……多分ね。
だから、駄目だって言われたときに、自分自身が駄目だって言われたような気がして泣いちゃうと思うんですけど。

私は、どんなふうに言われても、泣くどころか欠点を指摘してくれることがすごく嬉しいんですよ。
作品を良くしていくために削ったり叩いたり磨いたり……もちろん自分でも何度も何度も推敲していくんですけども、その作品を磨く作業を手伝ってくれる人がいるっていうことがすごく嬉しくて。ありがたくて、泣くどころか喜んで叩いてもらってるんです。

私自身も、同人仲間の作品に対してはそれこそ遠慮なく厳しく言うし、逆に、無責任な褒め方「すご〜い!」とかは失礼なわけですよ。真剣勝負で読んでいるんです。

でも例えば同人じゃない一般の人の作品を読んだら、やっぱりなかなか欠点とか指摘できないかも。ものを書く人って繊細というか感受性豊かなので。
お互いに読み手として信頼関係があるから、書き手として意見を聞きたいっていう仲間だからこそ、できることだと思います。

過去:学校辞めたいんだって言ったら、いいよって言ってくれて。

ポンプ:
高橋桐矢さんの幼少期は?

高橋桐矢:
どこから語ればいいのかな……。

ポンプ:
例えば最初のご自身の記憶で覚えてらっしゃることありますか。

高橋桐矢:
小さい頃のことですか……あんまり覚えてないんですよね。
どのあたりの話したらいいかなっていうのはちょっと迷っています。
あの……、ドブに落ちたこととかね、いろいろあるんですけどね。
そんな話でいいのかしら?

うちの近くに側溝があって、学校に行くときも遊びに行くときも、空想しながら歩いてるような子どもだったんですよ。
弟と妹が3人いて、私は長女で。
妖精さんごっこっていうのを。
精霊とか妖精とか、そういうのになったつもりで。

そんな遊びをしたり、何かしらボーっと空想しながら歩いてることが多かったので、うちの近くにあった側溝に落ちまして。
怪我とかはしなかったんですけどそれで着替えに帰ったっていうことがありましたね。
小学校1年くらいだったのかな。

ポンプ:
他に空想してたことを何か思い出せますか。

高橋桐矢:
イルカになったりとかね。イルカになって、海の中を泳いでる空想しながら歩いたり……
あとは秘密基地を作ってましたね。兄弟で作ったこともあるけど、1人で作ることが多かったかな。1人遊びも好きでしたね。

福島県で生まれたんですけど、空き地とか山とか田んぼとか畑とかいっぱいあって。
そういう空き地の草がボーボー生えてるところに、草を縛っておうちみたいにして秘密基地を作って。敷物をしいて、本とかノートとかメモとか自分の好きなものを置いて。そこで別に何をするってわけでもないんですけど、作るのが楽しいんですね。

家は、妹と一緒の部屋だったので。
やっぱりそういう1人だけの誰も知らない場所、みたいなのを作るのが楽しかったですね。

ポンプ:
虫とかそういったものは平気だったんですか。

高橋桐矢:
子どもの頃はね……ポンプさんは都会生まれですか?
それとも田舎の田んぼとか畑がある辺りですか?

ポンプ:
田舎です。

高橋桐矢:
虫いますよね。

ポンプ:
います。

高橋桐矢:
私も田んぼが近くにあったのでカエル取ったり、カタツムリ取ったり、あとイナゴをゆでて食べたりとかしてましたね。
そのイナゴではすごく印象に残ってることがあって。

実家近くのたんぼ……きっとイナゴがたくさんいる!

イナゴって田んぼにね、たくさんいるんですよ。
ビニール袋持ってイナゴを捕まえて。たくさん取れるんですね。それを袋に入れたまま生きたまま家に持って帰って、お鍋でゆでるんですよ。ゆでてから、羽とかを取って味付けをするんですけども。

袋の中に、葉っぱなんかも一緒にね、入れといたんです。食べるかなと思って。
それで、イナゴがゆで上がったときに、袋の中を見たら、葉っぱが、ちょっと食べられてたんですね。

なんかその捕まえられて死ぬまでの間に、あげた葉っぱを食べてたんだっていうのがなんかちょっとすごく切なく申し訳なく、かわいそうだなって。
命を食べるってそういうことなんですけども、ちょっとそれ以来イナゴは食べてないです。

ポンプ:
イナゴを食べていないっていう以外に、その後の影響を与えていることってありますか。

高橋桐矢:
アウトドアの遊びだけじゃなくって、家で絵を書いたり、詩を書いたり……何かしら書いたりするのはすごく好きでしたね。

父が高校の教師をしていたので藁半紙……テストのいらなくなった紙みたいのがたくさんあったんですね。その裏に漫画やイラストを描いたりできる環境があったので。

ポンプ:
どんなものを具体的に描いたりされてたんですか。

高橋桐矢:
兄妹で漫画雑誌を作ってました。
来週までに何ページ書いてね、みたいな感じで。

よく漫画家さんとかで、昔の子どものときに書いた漫画とかめちゃめちゃ上手だったりしますけど私の場合、今見るとめちゃめちゃ下手くそなんですけど。
でもとにかく物語を作るのが好きで。
中学校ぐらいのときに流行ってた漫画で、伊賀のカバ丸っていう漫画とか、すごい好きだったんですよね。・・似たような絵柄で書いたりしてました。

藁半紙を折って、本の形にして、ホチキスで留めて。
4人兄弟の漫画雑誌っていうのを……13号ぐらいまで出したのかな。

ポンプ:
よく覚えてらっしゃいますね。
今も手元にお持ちになってるんですか。

高橋桐矢:
とってあります。はい。

今見ると私よりも、妹の絵の方が上手いんですよ。
当時は私の絵が世界一うまいって自分で思ってたんですけど。
妹は、大人になって税理士になりました。漫画とも創作とも全く関係の無い……将来性のない不安定な職業には興味がなかったようで。

ポンプ:
それって、お姉さんという立場でどういった気分なんですか。

高橋桐矢:
お姉さんという立場でも、あるいは今の若い人に対しても、例えばちょっと絵がうまいから漫画家に……とか、ちょっと小説書けるから小説家に……っていう人に対しては、厳しいよとか難しいよっていうふうには思うかなと。

私自身はこの道を選んだことに全然後悔はないんですけども。
妹が堅実な職業を選んだのも全然、それはそれでいいと思います。だって本書きたい人とか漫画家、イラストレーターやりたい人、たくさんいますもの。

本が毎月200冊出てるってのは何年前ぐらいだったのかな……今もっと多いのか少ないのか(補足・なんと1ヶ月ではなく、1日に200冊出版されているの間違いでした!)。
出版物だけでもたくさん出てますし。同人誌とかブログとかノート的なものでも、膨大な量の作品が日々生まれてるんですよ。

それをお金にして食べていくのって、ものすごく大変なことだと思うんですね。だから結果的に私はそれしかできなかった……いろんなバイトもしましたって言いましたけど、……お蕎麦屋さんとかお花屋さんとか工場勤務とか。どれも続かず。
でも占いはずっと続けてたし、書くことも。
税理士でも、占い師でも、自分が続けられる仕事があったら幸せなことだと思います。

ポンプ:
10代の頃ってどんな感じの子だったんですか。

高橋桐矢:
今いじめとか不登校とかに悩む子の本も書いてるんですけども、やっぱり私自身が学校に馴染めない子どもで。高校中退してるんですね。1年の3学期ぐらいかな。

その頃ってまだ不登校っていう言葉もなくて。具合が悪くなって学校へ行けなくなったんです。お腹が痛かったり気持ちが悪くなったりしてしばらく休んで。ちょうどその頃、大学入学資格検定っていうのができて。(現在の「高校卒業程度認定試験」)
学校行かなくても資格が取れるんだったらそれでいいじゃんって思って。

で、うちの父は高校の教師だったんですけど、高校の教師にしてはだいぶ物分かりの良い、今考えると心配もしたろうし、内心いろいろ思うところもあったと思うんですけど。
学校辞めたいって言ったら、いいよって言ってくれて。

辞めてから高卒資格を取ったんです。
中学はとりあえず行きましたけど、友達とうまくいかなかったりとかありましたし。結構、ぼっちでね……。林間学校とか、みんなでご飯食べたりするじゃないですか。そういうとき1人で食べたりとか。
なんかやっぱりみんなと同じことを……例えば当時流行ってたのは何だったかな、アイドルとか好きな子多くて、そういう話も全然興味なかったし。

なんだろな……だからその妖精さんとか、イルカになったりとか、そういうような話をできる人って、やっぱり田舎にはなかなかいなかったんですね。
東京に来て本当に良かったなと。ムーもそうですけど、宇宙人の話とか、占いの話とか。
頭がおかしいと思われそうな変な話でも、面白がって聞いてくれる人、あるいは私が話を聞きたいような人、そういう変わった人がたくさんいるってことですね、世の中には。

田舎にいたときはすごく狭い中で、身の回りの人の噂話とか、本当に狭い範囲内での話題が面白いと思えなかったし。
また私も、今だったらもうちょっとうまくできると思うんですけど……例えば面白くなくても、失礼にならないように話を合わせたりとか、大人になってから何とかできるようになってきたんですけど。子どもの頃はできなくて。不器用な子どもだったので。

ポンプ:
20代以降から現在までの高橋桐矢さんの印象的な出来事は何かありましたか。

高橋桐矢:
これはいろんなとこで書いたり言ったりしてることなんですけども。

公募生活をずっと続けていたときに父に作品を読んでもらってたんですね。
父は英語の教師なんですけど。うちに本とかいっぱいあって。読書好きな父だったので。
ファンタジーやSFを公募に出す前に読んでもらってアドバイスもらったりして。
高校辞めたときもいろいろ言われなかったし、創作活動とかも応援してくれて。。

全然公募に受からなくて、出しても出しても落選続きで。
ある程度、面白いものは書けてるって思ってたし父も面白いって言ってくれてたのに。
なんで落ちちゃうんだろうと愚痴ったときに。

自分が楽しくてやってることに、なぜ他の人がお金を払わなくちゃいけないのか、そこをもうちょっと考えてみたら?って言われて。

父は、親だから読んでくれていたんですけど。お客さんとしてお金を払う価値があるかどうかっていうことは、お客さんが決めるわけで、その作品にお金を払う価値があるかどうかってところじゃないのかなっていうふうに言われて、すごくショックというか。

それまで甘く考えてたんですね。私はすごい作品を書けるんだって。
だけどすごい作品かどうかを決めるのは私じゃなくって読み手であり、読者であり。公募に出すときは公募の選考委員で。
お金を払うのは私じゃなくて、私は読んでもらう側で。

そのとき私は20代後半ぐらいだったかな、すごく遅いんですけど。
それまではただ自分が楽しくて書いてて。
でもお金を払う価値があるかどうか決めるのは、読者=お客さんだっていう。
それはちょっと価値観が転換するぐらいの大きな気づきでしたね。

それから、すぐ変わったってわけではないんですけど、例えば占いをする時も、昔は自分が好きでやってたんですけど。

でも今は、占いの鑑定するときも、イベント、あるいは占いの講座でも、お金を払って来てくださってるお客様に、お金以上の何かを持って帰ってもらえるように……っていうことを一番に意識してます。
それはやっぱり父のその言葉から、意識が変わったところですね。

ポンプ:
先ほどインタビューの中で、指摘をされることに対して喜びを感じるとおっしゃっていましたが、そのお父さんのエピソードとは何か繋がっているんですか

高橋桐矢:
私は絵も好きで描くんですけど。絵でも小説でも詩でも、何かしらの創作物で自分が納得のいくものを作れたら、それだけでいいんじゃないかって考えることもあるんですね。

たま〜にいますよね、そういう人。全然誰にも知られないまま黙々と作品を作って……山奥とかでね……。
で、その人が亡くなってから、すごい作品が発見されて、……みたいな。

なんかそういう生き方もね、いいんじゃないかって昔は思ってたんですよ。書くのが好きなら、好きなだけ書いて、誰にも認められなくてもいいじゃないかって。

でもやっぱり嫌なんですよ。なんていうのかな。やっぱり私の作品……それは書いたものでも、あるいは占いもそうかもしれないし。ハンドメイドとか作ったりもするんですけど……。
そういう何かしらの作品っていうのは、誰かの元に届いて、読んでもらったり見てもらったり、心に響いたり、そうやって完成するのかなって。誰にも認められなくても、自分の作品を作りたいって純粋な気持ちだったら、賞なんか取らなくたって、売れなくたっていいじゃないっていうふうに考えてたこともあったんですけど。

そうじゃなくて今は本にして……あるいは何かしらの形で誰かに届けるってことがしたいのかなって自分では思ってます。

それは、切磋琢磨していい作品にしたいっていうのにも繋がってるし。やっぱり父の言ってた、誰かがお金を払う価値があるのかっていうところにも繋がってるかなって。
だから自己満足で終わるんじゃなくて、誰かに何かを届けるところまで、がんばりたいって思います。

未来:これからも生きていこうよっていう。命ってすごいねっていう。

ポンプ:
そういったものが叶えられたら、その先はどうなってらっしゃると思いますか。

高橋桐矢:
もうすでに出来てるかなっていう気はします。今も作品を書き途中なので、これを世に出すまでは死にたくないとは思うんですけども。既に今の時点で、もう十分いい人生だったなって。

ポンプ:
これ聞いていいのか分からないんですが。
書く中で一番伝えたいメッセージっていうのがきっとあると思うんですけれど、それはもう文章になってるんですか。それとも、これからなる予定なんですか。

高橋桐矢:
いつも同じです。SFを書いてもファンタジーを書いても、いじめの話を書いてもやっぱり、生きていこうよっていうことですね。
私が手を変え品を変え、あるいはいろんなシチュエーションでいろんな登場人物で、言いたいことは一つ。
「本当に生きてて良かったね」っていう。
これからも生きていこうよっていう。命ってすごいねっていう。

10年間運営している子ども向けイジメ対策サイト

ポンプ:
そこまで大きいテーマになっているのは、ご自身でなぜだと思いますか。

高橋桐矢:
なんでだろう……んー……わかんないですね。なんでかな……。
生きててもつまんないなとか、命ってつまらないもんだなって思ってる人もいると思うんですけど。
私自身は自分の人生でいろんな人に助けてもらって、いい人生を送ってこれたって思ってるので。さっきも言ったんですけど昔の自分に届けたいっていうのもありまして。

小説とか書いてる人は、……自分の読みたいものを書くっていう部分があると思うんです。子どもだったとき……学校は楽しくなかったけど、ファンタジーとか本を読むことが私にとってはすごく救いになっていたので。
だから今子どもの本を書くことで、生きててもつまらないとか、生きていたくないって思ってる子どもさんに、……もちろんこれだけで生きていく力になるなんて、そんな大きな力はないんですけど、ほんのちょっとだけでも、読んで楽しかったなっていう気持ちを届けられたらいいかなって。
私自身がそうやって本に助けてもらったように

占いも同じですね。
私自身、占いを知ったことで現実世界とは違う、面白い楽しい不思議な世界があるってことを知ったので。
例えば今、現実世界で苦しい中、耐えてるような子どもさん、あるいは大人の方にも。しんどい現実とは違う不思議な面白い、楽しい、あるいは自分が生きてきた理由とかも占いでみたりするので、そういったものを教えてくれる世界があるよって。
やっぱり創作と占いってそこで繋がってるかなって。

ポンプ:
もしその一番伝えたいことがいろんな人に伝わったとすると、その次に何かやってあげたいことみたいなのはありますか。

高橋桐矢:
そしたらもう満足ですね。生まれてきた甲斐があったかなって思います。

ポンプ:
これから先、小説とはまったく違うことで、これやりたいなとか、全然些細なことでもいいんですけど何かありますか。

高橋桐矢:
そうですね、占いの面白さを伝えていきたいっていうのも、自分に課した重要なミッションというか。
占いってやっぱり、うさんくさい危ないものと思われている部分があるので。
文学は別に私が声高に言わなくても素晴らしいものだって皆さんに伝わってると思うんですけど、占いに関しては、良くないものっていう見方を変えていきたいなと思ってます。

ポンプ:最後に言い残したことはありますか。

高橋桐矢:
感謝の言葉です。ありがとうございました。

あとがき

インタビュー後ありがたいことに、占ってもらいました。
コーヒーカード占い。昔は飲み干したコーヒーカップに残った「かす」で占っていたとか。

初めて占いをしてもらったんですが、僕の置かれている状況が見事に当たっていることにびっくりしました。
(占う準備として現状整理をするんですけど、僕が自身の情報を伝えなくても、高橋桐矢さんがなぜか知ってる風に言い当てるっていう不思議な時間)

で僕はいま、分水嶺に直面しているそうです。
人生の分かれ道にいる、と。

んー……確かに。。

なんの前触れもなくそんな状況を言い当てられて、すっかり動揺しちゃいました。
どうしよう、そんなこと言われても……。
できることならどっちの道が良いか教えてほしいけど、それを言ってしまうと良くないんでしょうね。

でも、そういうふうに狼狽えつつも一方で、占いが当たっていることに安心もしました。
信じる者は救われる、と似たようなことかもしれませんが、信じようと思って占いに臨んだので、その対価を得られたということになるのでしょうか。

結果はどうあれども。

【インタビュー・編集・あとがき:ポンプ】

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