フィギュアスケートを見て、初めて「生きたい」と思った話 【前編】

小さいころから、母の影響でフィギュアスケートを見ることが当たり前の環境にあった。
クリスマスは祖父の家で全日本フィギュアを見て、当時ジュニアながら大注目だった浅田真央さんのトリプルアクセル成功を、子どもながらに必死になって応援していた。

本格的に見るようになったのは、2012-13シーズンからだったと思う。当時最強だと思っていたカナダのパトリック・チャンを猛追していく羽生結弦。その傍らで着実に成績を残していく町田樹。バンクーバー五輪から変わらず日本三強の印象が強かった高橋大輔・小塚崇彦・織田信成。
女子ではロシアのソトニコワやトクタミシュワ、リプニツカヤ、ラジオノアなど若い選手がどんどん出てきていた。

はじめてスケートを見に行ったのは、STARS ON ICEだった。高校生の時だった。羽生結弦が世界一になっていて、4回転を複数飛ぶことが当たり前になっていた。
学生割引で買った、一番後ろの一番安い席からでもリンクは良く見えた。一番印象に残っているのは、小塚崇彦、パトリック・チャン、ジェフリー・バトルの3人が円になってイーグルを披露したときのこと。今にも倒れてしまうのではないかと思うくらい深いエッジで、いつまでもどこまでも伸びやかに滑っていて、スケーティングの美しさというものが何なのかが初めて分かった。
確か、その時のアイスショーにはキャンデロロがいて、胡坐をかいて回るキャンデロロスピンやバックフリップも披露していた。

それから、世界選手権、NHK杯、全日本選手権、国別対抗戦、ジャパンオープンと、大学生の懐の限界までフィギュアスケート観戦をした。

テレビで見ているとジャンプに目が行ってしまうが、生で観戦するとスケーティングの綺麗な選手のことが好きになる。
アイスダンスのガブリエラ・パパダギス&ギヨーム・シゼロン組のスケーティングの美しさは、いつ見ても何度見てもうっとりするほどで、彼らが出ているアイスショーは何度でも行きたいと思ってしまう。

好きな選手をあげだしたらキリがない。
どの選手もそれぞれの美しさと力強さがあって、アップテンポなショーナンバーが似合う選手もいれば、やさしいピアノの旋律に乗ってゆったりと滑る美しさが映える選手もいる。
バンクーバー五輪より少し前くらいに世界一を争っていた選手たちの、コンパルソリーで磨かれた美しいスケーティングや、スピンステップで魅せるプログラムが好きで、日本のアイスショーへの出演率の高いステファン・ランビエールの虜にもなった。

フィギュアスケートの魅力を語るには時間も文字数も全く足りない。気が付けばもう10年近くフィギュアスケートが好きで、年下の選手が活躍するようになっていった。


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