【小説】弥勒奇譚 第七話
山田寺を辞すと来た道を戻り松阪方面に曲がり初瀬街道に入る。
このまま行けば夜遅くには室生に着けそうだが不案内な山道を夜中に一人歩くのは気が進まなかった。まだ日暮れまでには少しあったが初瀬で一泊する事にした。
明日の今頃は室生の里にいるのかと思うとなかなか
寝付けなかった。
あの夢の景色を見ることになるのだろうかそれとも全く関係の無い話なのだろうか。
翌朝は山道もあるので足ごしらえを十分にして出発した。
まずは長谷寺に参拝することにして街道を挟んで南側の山に向かった。
さすがに