【小説】弥勒奇譚 第十四話
「ときに弥勒殿の数珠はあまり見かけないものだが
どちらのご宗旨かな」
「この数珠は以前お話しましたが、寺に預けられた折に私が持っていたそうです。出自の手がかりになるのではないかと肌身離さず持っておりますがどこの物かはいまだに良く分からないのです」
「前から気にはなっておってどこかで同じものを見た記憶があるのじゃがどうしても思い出せんのだ。まったく歳は取りたくないものじゃて」
「数珠のほかには何か手がかりはないのですかな」
「ほかには何もありません。ただ住職の話では
私には随分