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【用語解説】#3.医療圏

本日は「医療圏」について用語解説します。


1.医療圏の定義

二次医療圏とは、医療法第30条の4第2項第14号に規定される区域であり、「主として病院の病床(次号に規定する病床並びに精神病床、感染症病床及び結核病床を除く。)及び診療所の病床の整備を図るべき地域的単位として区分する区域の設定に関する事項」と定義されています。

また、三次医療圏とは、医療法第30条の4第2項第15号に規定される区域であり、「二以上の前号に規定する区域を併せた区域であつて、主として厚生労働省令で定める特殊な医療を提供する病院の療養病床又は一般病床であつて当該医療に係るものの整備を図るべき地域的単位としての区域の設定に関する事項」と定義されています。

ここでいう「特殊な医療」とは、医療法施行規則第30条28の7に、
一 先進的な技術を必要とするもの
二 特殊な医療機器の使用を必要とするもの
三 発生頻度が低い疾病に関するもの
四 救急医療であつて特に専門性の高いもの
と定義されています。

注)全国には二次医療圏(令和3年10月)が335の医療圏があり、三次医療圏(令和3年10月)は52の医療圏があります※1

出典:※1 第8回第8次医療計画等に関する検討会(資料1)

2.医療圏設定の趣旨

大分県医療計画※2では、県民に適切な医療サービスを効率的に提供するため、 地理的条件、 交通事情、日常生活の需要の充足状況、 行政の区域等を総合的に考慮しながら、 日常的な医療から一般的な入院医療、 特殊な医療に至る医療サービスを提供する地域的単位として段階的に設定するものとしています。大分県医療計画において、医療圏はそれぞれ以下のように設定されています。

一次医療圏:日常の健康相談や健康管理等の保健サービスの需要及び一般的な疾病の診断・治療の医療需要に対応するために設定する区域であり、原則として市町村を単位としています。

二次医療圏:二次医療圏の設定に当たっては、特に人口規模が20万人未満であり、かつ、二次医療圏内の病院の療養病床及び一般病床の推計流入入院患者割合が20%未満かつ推計流出入院患者割合が20%以上の医療圏については、入院に係る医療を提供する一体の区域として成り立っていないと考えられるため、設定の見直しについて検討することが必要とされています。

第8次医療計画において、大分県では、4つの圏域(南部・豊肥・西部・北部)が該当しますが、流出入割合が大きく変化していないことや、地理的条件といった自然的条件、日常生活の需要の充足状態や交通事情等の社会的条件などを総合的に考慮し、従前の二次医療圏どおりに設定されております。

三次医療圏:医療法に規定される区域であり、県全域を単位とするものとしております。

3.医療圏を巡る議論と外部環境の変化

二次医療圏の設定は、地理的・社会的条件を考慮して各都道府県で行われていますが、人口減少に伴い見直しが必要とされています。第8次医療計画策定においても、人口規模や患者の流出入状況、医師確保計画などを踏まえ、二次医療圏の設定の見直しが求められています。また、隣接する都道府県を含めた広域的な医療圏の設定や地方自治体間の役割分担の明確化を図るための対応についても議論がなされています。

二次医療圏の設定の見直しを踏まえ、病院の統廃合を含めた再編も検討されています。病院の統廃合が起こると、その医療提供環境を前提に生活している人々(患者、家族、医療従事者 等)は、医療サービスへのアクセシビリティの変化や、労働環境の変化などの影響も生じる可能性があります。

これまで、私たちは医療現場での原体験だけに留まらず、政府や自治体からの公開情報も参照して、多面的に全体像を理解しようと努めてきました。そうした全体像を理解した上で、私たちにもできるアクションは無いかと考え、情報発信も行なってきました。このnote記事もその一つです。

今回の記事のような用語解説を通じて、自身の地域や職場も変化の只中にあることをご理解頂いて、全ての人が変化に正しく向き合う助けになれればと考えています。変化は怖いものですが、拒否することはできません。時代の移り変わりと共に外部環境の変化は今まさに起きているのです。

最近の話題から「変化」に関するお話をすると、「新たな地域医療構想等に関する検討会」等でも多様な意見が挙げられており、地域ごとの人口動態や医療需要の変化が大きく異なることへの対応が重要な課題として指摘されています。2025年までに65歳以上高齢者のピークを迎える市町村が全国の60%を超える一方、2040年度以降にピークを迎える市町村は35%と二極化が進むという意見もあるようです※3。他にも様々な要因で地域事情と医療需要が多様化する中で、生産年齢人口減による労働力の不足も顕著となり、従来の医療提供体制から大きく転換することが求められています。これは、危機であるとともに地域にとっては、情報共有の先進事例などの好事例を示し、変革を促していくチャンスでもあります。

出典:第6回新たな地域医療構想等に関する検討会(資料1)

4.まとめ

誰ひとり取り残さない医療DXを実現するためには、各組織のトップなどの意思決定者層だけではなく、最前線の医療現場で働く医療従事者ひとりひとりの当事者意識が重要です。そのためUniTreatでは、今の段階から情報発信や医療情報連携の推進などを通して、医療DXの啓発活動に貢献していければと考えています。今回は医療圏の定義を皆さんとおさらいして、”医療圏を巡る議論”として、第6回新たな地域医療構想等に関する検討会資料も参考に情報を共有させてもらいました。

ここまでお読みくださり誠にありがとうございます。
引き続き、医療DXに関連した用語をチェックしていきましょう。

※1  第8回第8次医療計画等に関する検討会(資料1)

※2 (第8次)大分県医療計画について 第3章 医療圏と基準病床数

※3 第6回新たな地域医療構想等に関する検討会(資料1)


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