経営者が相続を考えるときに対策しておきたい株式分散
こんにちは、ユナイトnote担当です。
私の家では、父が亡くなり母がすべて相続しました。主な資産は実家でした。今後母が亡くなったらどうするか?何も決まっていませんが、漠然と意識の端にはあります。経営者の方は、不動産以外に自社株も気がかりかと思います。今回は相続対策の一つ、自社株買いを取り上げます。
■自社株買いは相続対策の一つとして行われています。
非上場会社で自社株買いを行う場合、もっとも利用されるのは相続が発生した時と言われます。なぜなら①株式の分散を防ぐため②売り手側の税負担の違い③相続税の納税資金作りのためなどがあります。
①株式の分散を防ぐ
株式を誰がどれだけ保有しているかは、ときに経営の生死を分かちます。
分散してしまうと、いざという時に意思決定が滞る恐れがあります。一般には代表取締役の方が2/3以上保有することが望ましいとされていますし、少なくとも主要な役員で過半数の所有は必須です。金庫株(自社株買いした株)は議決権のない株式になりますので、それを分母から除いて割合を算出します。
相続が続くことによって会社とは関係がなく、誰が持っているのかもよくわからなくなる恐れもありますので、無意味な分散は早めに防ぐことが吉となります。
株式保有割合によってできる主だったものは以下のようなものです。
株主総会は議決権の過半数を有することで開くことができます。参加者には委任状も含まれます。
参加者のうちの50%以上賛成
・取締役の選任
・役員報酬の決定
参加者のうちの2/3以上の賛成
・自己株の買い取り
・定款の変更
・事業譲渡の承認
・吸収合併
・解散
②売り手側の税負担の違い
売り手側には、相続時の特例の税率が適用されます。全額が譲渡所得で15%の分離課税(住民税や復興所得税などのぞく。以下の税率も)です。
一方、通常時に非上場株式を発行会社に売ると、みなし配当課税になります。みなし配当課税は給与所得などと合算され最高税率は45%です。
③相続税の納税資金作り
相続税は原則現金での納付です。資産が自社株や不動産などが大半を占める場合に、納税資金が不足することが考えられます。株式を現金化することで納税資金にすることができます。
ところで自社株買いをするためには、会社に資金が必要です。どのように用意するのでしょうか?
■自社株買いの資金作りに法人保険を利用するなら。
法人保険を利用することが一般に行われています。保険金額は、条件にもよりますが、必要資金の約1.5倍ほどの保険金を用意しておくのが基本的な考え方です。法人受け取りの保険金には法人税がかかるためです。
貯めておければ良さそうですが、自社株買いのために貯めておくことは簡単ではありません。たとえ資金があったとしても資金繰りを悪化させてしまいます。特に事業承継直後であれば、会社にはなるべく資金は残したいものと考えられます。
■まとめ
自社株買いは、相続時の株式分散を防ぐために利用されています。しかし買取は簡単ではありません。資金については、生命保険を利用することも一般的です。
なお金庫株や税務を適用するには条件があります。条件を踏まえたうえで、経営者の相続対策の一つとして想定していただければと思います。
お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。
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■参考
▼国税庁
No.1477 相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合の課税の特例|国税庁 (nta.go.jp)
No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)|国税庁 (nta.go.jp)