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経営者の方へ。融資時の経営者保証のルールが変わります。

こんにちは、UCnote担当です。
中小企業では、金融機関から融資を受けていらっしゃる場合も多いと思います。その融資には経営者保証がついていることが多くあります。今回は融資時にほぼ必要であった経営者保証についてです。


■内容

  • 経営者保証は、融資時の信用を上げ、貸しやすく借りやすくする商習慣。

  • ほぼ確実だった経営者保証を、今後は選択できるかもしれない。


■経営者保証

▼経営者保証とは?

法人で融資を受ける際に経営者が連帯保証人になることです。現在は、さも当然のようについていることが多いかもしれません。
経営者保証がない場合は、企業が倒産した場合、限界まで返済して終わります。一方経営者保証がある場合には、経営者個人が債務を引き継ぎ返済義務を負います。また経営者が亡くなった場合には、遺族に債務が引き継がれます。相続人全員が相続放棄をしない限り、この債務は順に引き継がれていきます。

金融機関にとっては融資がしやすくなり、一方企業側も借りやすくなるというメリットがあります。ただ倒産時や相続時に債務が引き継がれる点は、融資を受けることをためらわせる要因にもなっていると考えられています。またこの点は、創業や事業承継の足かせになっているとも考えられているようです。

この経営者保証を付ける商習慣を改めたいというのが、金融庁の方向性のようです。

▼商習慣の是正

経営者保証に依存しない融資を受けるためには
①法人と経営者との関係の明確な区分・分離
法人と経営者の間の資金のやりとりを、社会通念上適切な範囲を超えないものに整備するなど。
②財務基盤の強化
財務状況及び経営成績の改善を通じて、法人のみの資産や収益力で返済が可能である。
③財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
金融機関の要請に対して、資産負債の状況や・事業計画やその見通しなどに関する情報開示・説明をし、経営の透明性を確保する。

上記3要件のすべて、または一部でも満たせば経営者保証なしで融資を受けられるおよび見直せる可能性があります。

実は2013年にガイドラインが策定され、経営者保証を付けることを前提とした商慣行を見直そうという流れにはすでになっています。実際についていないという方や外した方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回、そのガイドラインの前提となる「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」が改正されました。

▼現行からの変更点

外すために必要な要件は上記で変わりありません。ただ金融機関側に「なぜ経営者保証を付けるのか?」の明確な説明責任を課すことになりました。
上記3要件をベースとして

・どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか
・どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか

などを個別具体的に説明し、かつ記録を取っておくことが求められるようになります。

従来は、金融機関側にあくまで自主的に行って欲しいというスタンスだったようですが、望むべく改善がなされていないと判断し、態勢を作るように指針が改められました。態勢を整備しない場合には業務改善命令もありうるそうです。

▼金融庁の方針

今回の改正は説明と記録を目的としています。つまり経営者保証を完全に無くすことを意図しているわけではないとのことです。経営者保証によって、低い利息などの利点があるかもしれません。とはいえ希望すれば外せるかもしれない、という選択肢が生まれました。個人的には望ましいこと思います。

▼種類

通常時、廃業時、事業承継時などいくつかパターンがあるようです。ちょうど創業時の経営者保証不要融資が始まるそうです。


■まとめ

  • 金融機関側には、経営者保証を付ける理由と外すための方向性を説明する義務が生じます。

  • 方向性に則れば経営者の連帯保証を外せる可能性があります。


■担当の一言

この「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」のパブコメには41件の意見が寄せられたそうです。賛否の立場を交えながら、皆様の熱い意見が見られます。

それでは、良い週末をおすごしください。


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■参考

▼一般社団法人全国銀行協会

  • 経営者保証ガイドライン

▼金融庁

▼中小企業庁

▼事業承継・引継ぎ支援センター