鳥山明・三連

「SAND LAND(サンドランド)」
「COWA!(こわ!)」
「カジカ」
鳥山明・集英社ジャンプコミックス
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鳥山明といえば?

で、出てくる作品名、まあドラゴンボールですよね。多分ダントツですよね。
わかる。
次点でDr.スランプかな。その次は?って言ったら多分「ドラクエの絵の人」とかでしょう。
わかる。
わかるしそれでいい。私だってまずこの順番だし、だいたいそれを挙げるもの。いいのいいの。それでいいの。

でもね、鳥山明、短編漫画もめちゃくそ面白いんだよ!

先日「ゴーストアンドレディ」で、長編漫画を描かれる作家さんの短編てすごいんだから!て話をしたばっかりですけれど
https://note.com/unisindo/n/n47e5a1f96f7a
「そうだ、鳥山明でもいいのがあったじゃないか…!」
と急に思い出して書いてみるよ。

実は鳥山先生、短編を結構いっぱい出されてるんですよね。
セルフパロとかもしてるし、キャラクターもかわいい作品が多いので気楽に読めていいんですけれど、不意に出てくる残酷さもあるのでそこはちょっとだけ注意。ドラゴンボールでも結構人殺されてるからね。あんな感じ。

ドラゴンボール以外を知らないのよね、て人はこれから読めるじゃん!楽しみいっぱいだな!いいな!ってなもんなんですが、個人的な好みで言うと、鳥山先生の短編てこう…好みの差がすごい大きいんですよね…
さっきの残酷さのところもだし、主人公が根性悪いとかもあるからね!そこがまた魅力なんだろうけれど、一定以上前の作品だと結構最近のモラル感覚からすると
「た、楽しみきれないな…」
てのも正直あります。時代は変わっているんだな。
ただ、これも漫画ってジャンルの歴史かなと思って知っておくのはいいんじゃないかなと思ってます。

で、数ある短編の中から、好きなやつ三作を紹介してみようと思います。

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【SAND LAND(サンドランド)】
悪魔の王子とそのお供と元軍人のじいさんが、水を求めて戦車で一緒に旅をする、というわくわくシチュエーション作品。鳥山先生の作品て構造がすごくシンプルなんで、わかりやすく悪いやつがいて、最終的にはそいつをやっつける、勝利、ヤッター、で終わり!ってなります。シンプル!シンプルだけど面白い!
途中ももちろんバトルベースの展開ですが、一冊完結の作品なのにキャラクターは多様で数も出ますし、それらがしっかり筋に絡んで見事な展開です。
サイドのキャラにもドラマがあるのよね。その見せ方やセリフがさらっとしているんだけど、いやこのシーンのこれ結構重たいよな…?て2~3回目に読んだ時に改めて気がつく、て描かれ方なんですよね。
そして終わり方がすごくあっさり。全然後をひかない。なので
「はーおもしろかった!」
で終わる良作なんですね。映画で見たいこれ。
ジャンプコミックスではちょっと画面の密度がキッチキチなんで、老眼が出てきた人は電子でアイパッドとかで読む方がいいかもしれない…440円で買えちゃうよ…えっやすっ…サンドランド440円なの…?まじで…?
でもわたしの手元にあるコミックス390円だわ…なにそれお得…ぜひ読んで…

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【COWA!(こわ!)】
COWA!は550円だ…ちょっと高いけど全然安い…みんな買おう?おもしろいよ!これも一冊完結作品です。
おばけの村のやんちゃな子供が主人公。ある日村に「おばけ風邪」が出て、薬を手に入れるため魔女の谷に旅に出ることに。でも風邪にかかっておらずクルマを持っているのは怖い人間しかいなくて…という作品。
怖い人間(マコリン)がバトル担当なんですが、おばけっ子たちもそれぞれ特技があって活躍をするよ、っていう。これもわくわくのつまった移動もの。先のサンドランドの王子よりおばけたちのほうがちびっこで出来ないことも多いので、こちらのほうがわちゃわちゃした感じですね。おっさんとちびっこのロードムービーがお好きな人は楽しいんじゃないでしょうか。
おばけたちは道中で子供らしい失敗やらもたくさんあって、ツンツンしていたマコリンもだんだんと打ち解けて…と、安心して読める中身ですね。お子様に読ませても安心のやつ。キャラクターも人間以外のものがたくさん出るので、鳥山先生のデザイン力炸裂って感じです。
コミカル度も強く、全体的に平和だけど退屈しないのはさすがの鳥山先生ですよ。これCGアニメとかになったら面白いのになあ。

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【カジカ】
カジカも440円だ。Kindleていいね…読みたい時にすぐ買える…
先の2冊からすると画面のかわいらしさは少し減るかな、て作品ですが、展開が早いのですいすい読めます。
バトルとドラゴンと呪いと旅と…っていう「要素てんこ盛り」な作品。
平成10年の連載…ひえ…20年以上前…
キツネにかけられた呪いを解くために1000の命を助けないといけないというノルマのある少年・カジカが、ある日助けた命をきっかけにドラゴンの卵を預かることに。ところがその卵を悪いやつが奪おうと…という、これもとても構造がシンプルな作品。ドラゴンの血を飲むとすごい力を得られるのだけど、ドラゴンは全滅したと言われていてその卵が最後の一匹。
この一冊の中に、ライバルキャラも、サイドキャラのちょっと小狡いけど憎めないてキャラもいて、ホントお手本のような短編漫画ですね。女子と出会って旅が始まるというドラゴンボールの出だしも踏襲していて、ファンとしてはちょっとニヤニヤしちゃうやつ。
カジカは細かく感想書くとネタバレになってしまうことばかりだなあ…作品て初見の楽しみが味わいたくて読むようなものですからね。読んでいただけると幸いですよ。

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と、駆け足でおまとめ紹介になりましたが、夏休みにすごくいいんじゃないかと思って!日頃漫画を読まない人も、一冊完結ならちょうどいいと思うんですよね。
漫画読みの素人さんも玄人さんも楽しめる作品たちだと思います。冒険とバトルとちょっとした「やったぜ!」が好きな人はぜひ!

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