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私のFrozenⅡ⑧|真実を閉じ込める思念

気がついたら前回からずいぶん間が開いてしまいました。
アメリカではすでにディスクもデジタル配信も開始されていますが、日本はいつになるのでしょうか…。
では続きです!

アートハランが見た「真実」

森のなかで、エルサの魔法で水の記憶が形になったように、魔法でアートハランが知るすべての記憶を具現化してくれます。
エルサにまつわるすべての記憶のようです。
ここでアナとハンスの記憶をみかけて、ハンスをぽいってするところがいつも心配性で臆病なエルサとは違って堂々としていて好きです。

さあ、問題の記憶。
アレンデールの真実です。
ふたりの祖父であるルナード国王の姿があります。
ルナードは「ノーサンドラは魔法の力で自分たちが偉いと思っているに違いない!思い知らせてやらねば!」と発言し、それをみたエルサは
「それは恐怖心よ!恐怖心は危険だわ!」
と言います。
エルサはそのまま、記憶のルナード国王を追ってアートハランの奥へと進みます。
この記憶だけ動きが全く違うのは、アートハランがその記憶にアクセスするエルサへ「この先を知る勇気があるのか」を静かに問い続けるからでしょう。
そして、暗い洞窟のなか…おそらく確信の記憶のなかでルナード国王がセレモニーを行うことでアレンデール国の武力をみせつけ、その力を誇示するダムを建てたということを決定づけます。

そもそも「ダム」というのがいいですね。
流れを堰き止めるもの、コントロールするものです。
コントロールされている水はアートハランから来ているので真実をコントロールしている。
一見架け橋のようにもデザインされていて、より一層裏表の深さが見え隠れする気がしてわくわくします。

結局のところ、自分の理解できない相手に対して恐れを抱き、先に押さえつけようと決め、ルナード国王はノーサンドラを支配しようとした。いわゆる侵略ですね。
その決定打として、丸腰であったノーサンドラの当時の長を背後から斬りつけにかかります。
結局応戦され命を落としますが、精霊たちはその不誠実を清らかな土地を汚されたと怒ったのではないでしょうか。

このルナード国王の判断はむかしからよくある話ではありますよね。
大自然をコントロールするダムを建てる、というだけで自然の力を支配し封印することになります。ましてやアートハランから流れている氷河を堰き止めているので、自然の力(魔法)そのものを堰き止めたという意味合いが強くなります。
自分たちの宗教を布教させて、土着の信仰を塗り替えて国土を広げた歴史も、他所からやってきた民族がその土地の神様を名前を取り上げて封印した話もあるように、“よくある”手口です。

また、私はここで精霊がなぜ霧で森を覆い、人々を襲ったのかに立ち戻ったのですが、もしかすると精霊はあくまで命を脅かすつもりなどはなく(もちろん命なのでアレンデール人でさえ等しく)、ダムという支配:結界から解放して欲しいのではないかな…と感じました。

人の思念はとても大きな力を持っています。
それはエルサや精霊の魔法と同じものだと思います。ということはルナード国王が亡くなったとしても彼の思念と、彼の話を知っていた人たちの怯えた思念が精霊たちを閉じ込め、精霊たちが混乱を起こしたとしたら?
精霊にとっては怒りではなく、混乱だったのではないでしょうか。
森のなかで出会した火の精霊「ブルーニ」もエルサに落ち着けられるまで怯えた様子で、混乱して走り回っただけのようでした。
霧は、精霊たちのせいではなく「恐怖」もしくは「自由を奪う呪い」ではないでしょうか。

エルサは何故「死ぬ」必要があったのか

映画レビューをみていると、両極端な評価がついていて「なんで精霊は怒ったの?」「なんでエルサはあそこで死ぬの?」という
ハッキリ言われてないからわかんねーよ!
というコメントの人たちが一定数いて、とっても低評価です。
私も二度観て、二度目は「なぜ」というところに集中してみていたつもりでしたがエルサの死に関する理由は一切描かれていません。
え、見落としてますかね!?ここは私も他の人の意見がききたい!

まあまずあれが「死」かどうかです。
真実を知ったことで、突然エルサの体が凍りつきます。
まるで前作のアナがそうなったように。
そして彼女の魔法で存在を維持しているオラフも粉雪に変わります。
ここまでみても、死かどうかはわかりません。
個人的には死ではないと解釈しています。精霊であるブルーニが大して様子が変わることもなく、その場で眠ります。
まるで「待っていよう」とでもいうようななんとも言えない表情で。
オラフだった粉雪が一箇所にまとまって落ちる描写も「あ、あとで復活するねオッケオッケ」と安心させてくれます。

なのでエルサは死んではいない。ただ止められてしまったのは確かです。そう考えれば「真実が漏れてはこまる」力が働いたような気がしますね。
前項で霧となって森を閉ざし、精霊たちさえ脅かしたルナード国王の恐れという思念。
これが記憶を見たエルサに対して、決して真実は明るみには出すまいと力が働いたのではないでしょうか。
「すべてが還る場所」「母なる源」であるアートハランであれば、そんなルナードの思念さえも蓄えていることでしょうし。
なので彼女は最後に残された切り札として、アナへ最後の魔法でその真実を届けます。

アナが真実を知っても凍りついたり、命を止められることが起こらないのはアートハランのような直接的な恐怖の思念による影響を受けにくいからでしょうか。

最初は「怒り」のようなネガティブエネルギーは力ませて身体を固くしてしまうので、その影響を受けたのかと単純に思いましたが、書いているうちに上記のような解釈が湧いてきました。

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