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01 居待ち月 17 星月夜 月の出てない静かな夜だった。 その静寂を揺るがすかのように、…
01 居待ち月 16 星を見るひと この頃同じ夢をよく見る。 それは絵を描いている自分が人…
01 居待ち月 15 天狼星 星も凍るような寒い夜だった。 スパイスを入れたワインを暖めて…
01 居待ち月 14 月長石 「こんにちは、この宿を紹介されてやってきたのですが」 彼女がや…
01 居待ち月 13 月に群雲 花に風 いらっしゃいませ。 あら、ディーターさん今日は寒い…
01 居待ち月 12 星の紛れ 隣村に住むアーロイスという名の少年が村と村を隔てる川に落ち…
01 居待ち月 11 星のささやき 幕間 待降節 あの日のことは良く覚えている。 冬から春に変わる途中で、道端のフキノトウが顔を出していたこと。 星がにじんではっきり見えなかったこと。 そして、自分の魂を売ったこと……。 「爺ちゃん、一人で留守番してて大丈夫?」 クリスマスマーケットの日、モーリッツは椅子に座りながら木のおもちゃを作っていた。 元々モーリッツはトーマスのように木を切ったり加工したりして生計を立てていたのだが歳を取ってからはその仕事をトーマスに譲
01 居待ち月 11 星のささやき それはクリスマスも近づいた、ある午後のことだった。 忙…
01 居待ち月 10 月に想ふ 広い広い野原で、風の声を聞く。 『リーザは、今、幸せ?』 …
01 居待ち月 09 月に磨く 「日が暮れるのが早くなったな」 ヴァルターはレジーナの店を出…
01 居待ち月 08 幻月 「レジーナおばちゃん、オットーさんの所からパン買ってきたの」 赤…
01 居待ち月 07 月待ち月 私がその村を訪ねようと思ったのは、アルビンという行商人…
01 居待ち月 06 月の剣 さあさあ皆様お立ち会い、今日はいい物が揃ってますよ。どうです…
01 居待ち月 05 星の船 月光の下、木を彫り続ける。そうすると自分の気持ちが落ち着いてくるのが分かる。 辛いこと、苦しいこと、それを総て研ぎ澄ますと、真ん中に本当の自分が現れる。 だがそれを誰かに見せてはいけない。見せたところで何が起こるわけでもない。 だからこのまま押し殺していこう。そのために木を彫り続ける……。 冬も押し迫ったある日のことだった。トーマスの住んでいる山小屋に、ジムゾンとディーターがやってきた。 ジムゾンはこの村に派遣されてきた神父である