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愛した人の為の敵討ち

タイトル:(仮)愛した人の為の敵討ち

▼登場人物
●新浦 誠(にうら まこと):男性。27歳。独身サラリーマン。
●森田奈穂美(もりた なおみ):女性。26歳。誠の彼女。
●川崎裕子(かわさき ゆうこ):女性。26歳。誠と奈緒美の共通の友達。
●湯上宏樹(ゆがみ ひろき):男性。30歳。ストーカー。

▼場所設定
●某IT企業:誠、奈緒美、裕子が働いている。一般的なイメージで。
●誠のアパート:都内から同じく都内のアパートへ引っ越しする。
●街中:デート帰りの道や奈緒美の実家など一般的なイメージで。

NAは新浦 誠でよろしくお願い致します。
(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3680字)

イントロ〜

皆さんこんにちは。
皆さんは自分の愛する人が
誰かに殺されたらどうしますか?
その人を許せますか?
それとも敵討ち?
今回はそんな事件に見舞われて
どん底の人生を味わう事になってしまった、
ある男性にまつわる意味怖のお話。

メインシナリオ〜

俺の名前は新浦 誠(にうら まこと)。
今年27歳になる独身サラリーマンだ。

俺には今付き合ってる彼女の奈穂美がいて、
俺達はもうすぐ結婚の約束をしていた。

でも今、俺達にはトラブルが舞い込んでいる。

ト書き〈会社〉

裕子「またなの?」

奈穂美「うん…」

裕子「ねぇ新浦君、どうするの?警察にはもう行ったの?」

誠「いや…」

裕子「でもどうするのよホントに!奈穂美が本当に襲われちゃったら新浦君、もう取り返しつかないんだよ!」

誠「わかってるよそんな事…!でも相手がどこの誰だかわかんないし、未だに付いて来てるだけで奈穂美が実際何かされた訳でもないし、この段階で警察に言ったって見回り強化とか事情聴取受けるだけで、本格的な解決になんかなんないんだよ!」

裕子「…!ま、まぁそれは…。でも何か手を打っとかないと!」

奈穂美「もうやめて!怖いのよ!…大丈夫よ、何とかなるわ…」

裕子「奈穂美…」

俺達は同じ会社で働いている。
奈穂美とは社内恋愛で付き合った。

その奈穂美は今、ストーカー被害に遭っていたのだ。
俺が居ない所で奈穂美を付け回していたのもあり、
実際、俺はそいつの顔を見ていない。

奈穂美にしたってその時は逃げるのに必死で、
相手の顔をはっきり見たわけでもない。

本当にどこの誰だか分からない、
そんな奴が俺達の周りをずっとウロついていたのだ。

裕子にはこう言ったが、
奈穂美がストーカー被害に遭ってる気配を知った時点で
俺はとっくに警察には言っていた。

その時に警察がしてくれたのが見回り強化と事情聴取。

結局、警察に全部言った上でこのザマなのだ。

(ロビーで奈穂美と2人きり)

誠「奈穂美、安心しろ。警察が動かないなら、俺が必ずそいつを捕まえて、2度とお前に近づかないようにしてやるから…!」

奈穂美「誠…」

警察が何もしてくれないなら俺がそいつを捕まえて、
もしこれ以上の事を奈穂美にしたら必ず八つ裂きにしてやる…
そう自分に誓ったのも本当だった。

ト書き〈数日後〉

それから数日後。
奈穂美は次第に会社を休みがちになり、
昼間はずっと実家に帰り親と一緒に過ごすようになっていた。

そして夜は俺が住むアパートの部屋に来て
そこで一緒に一夜を明かす。
そして朝になればまた奈穂美は実家に帰り同じようにする。

つまり、常に誰かと一緒に居るようにして、
外を出歩かず、危険と思われる状況を悉く
避けていたのだ。

もちろん会社にもその事情は話してあったので
今更そういう事についてどうこう言わない。

と言うのも、奈穂美はもうすぐ会社を辞める準備もしていた。

それは俺も勧めていた事で、奈穂美と結婚する以上
彼女には専業主婦になって貰おうとした夢もあり、
どうせなら早い内にその状況を作り上げておくのも良い
と思ったからだ。

偶に会社に来ている時も、奈穂美はずっと電話をしており、
おそらく実家の母親と話でもしているのだろう。

でも俺はその奈穂美の携帯から
新たな真実を知ってしまった。

ト書き〈数日後〉

それからまた数日後。
ついに俺は奈穂美に付いたストーカーと鉢合わせした。

奈穂美といつものようにデートしていたその帰り、
今日も近道して帰ろうと奈穂美を誘ったその道で
男が急に物陰から飛び出て奈穂美に向かって走り、
俺を横にはねのけて抱きつこうとしたのだ。

誠「な、なんて奴だ!おい待てえ!!」

男「クッソ!」

俺は思いきりそいつを殴り倒し、そのまま捕まえようとした。
そいつは隙をついて逃げ、カドを曲がった道から全力疾走。
俺もすぐさまそいつを追いかけた。

誠「クッソ!足の速ぇ野郎だ!待てえ!」

やはりあんな大胆な行動を取るだけあったのか。
そいつは逃げ足がかなり速く、見る見る差を付けられて
逃げ切られた。

暗闇に奈穂美を残し余り追い駆け回してる訳にもいかない。

奈穂美「誠ぉ…!」

誠「ハァハァ、クッソ!逃げられちまったよ…」

とは言えかなり長い時間、
奈穂美を暗い道の真ん中で待たせてしまっていた。

ト書き〈数週間後〉

そして、それから数週間後の事だった。
ついに1番恐れていた事件が起きてしまったのだ。

その事件が起きる前日に、俺はアパートを引っ越していた。
そして奈穂美は予定通りに会社を既に辞めていた。

そして昼間は実家にいて、
夕方頃に俺のアパートへ来ていた奈穂美。

その日、俺は少し仕事が長引いていたので、
奈穂美はその間、1人ぽつんと俺の部屋に居る事になる。

その時間を狙われたのだ。

(部屋の奈穂美の遺体を前に)

誠「奈穂美ィ!奈穂美ィ!!」

でもそんな最大の不幸の中、
俺にとって1つだけ運の良い事があった。

それは、ギリギリ俺のその部屋で、
その犯人の男と鉢合わせした事だ。

そうして殺害した後、
奈穂美の体をもう少し弄ぼうとでも考えていたのか。

それでおそらく逃げ遅れ、いつものように
アパートに戻った俺と鉢合わせしたそいつ。

これがそいつの運の尽きだ。

誠「てめえ!!絶対許さねぇ!!最低100回は殺してやる!!」

男「ちょ、ちょっと待ってくれ…!ぐあぁ!」

俺は包丁で奴を滅多刺しにした。
事を全て終えた後、俺は暫く放心状態。

誠「奈穂美…奈穂美…」

目の前に奈穂美の死体とその男の死体が並んでる。

その時、俺の携帯が鳴った。裕子からだ。
アパートの住所を教え、裕子はすぐに来てくれた。
それから俺達は警察を呼んだ。

ト書き〈捜査〉

警察はストーカー容疑と殺人の2つの事件で捜査を開始。

奈穂美を襲った男の名前は湯上宏樹(ゆがみ ひろき)と言った。

奈穂美の携帯は紛失していた。
おそらく湯上が盗み、
どこかに紛失したか隠しているのだろうと推定。

湯上はつい先日、携帯を買ったばかりだったらしいが
その携帯も見つからなかった。

俺は殺人容疑で捕まり警察に連行。

裕子「に…新浦君…」

もうどうでもよかった。
俺は人生を諦めたのだ。

1番愛する人がこの世から居なくなってしまった以上
もうこの世に生きてたって何もない。

俺は全てを失い、抜け殻のようになり、
入れられた牢獄の中でも1点を見つめて
ただ時が過ぎていくのをじっと眺めているだけ。

(裁判)

やがて裁判になり、俺は情状酌量のもと、
刑期何年かが科され、どうやら極刑は免れたらしい。
別に極刑でも何でもよかったのに。

ある日、裕子が面会に来てくれた。

裕子「…新浦君、こんな事こんな時に言うのは無神経かもしれないけど、こう言うしか出来ないから言うわね。…何とか元気出して。お願いだから、奈穂美の為にも何とか生きて…」

解説〜

最愛の人が殺され、その敵討ちを果たした誠。
でもそれは本当に敵討ちだったのでしょうか?

奈穂美をストーカーしていた湯上と鉢合わせした誠は
湯上を殴り倒し、逃げた湯上を追い駆けます。

この時「カドを曲がった」とある事から、
追い駆けた先の一部始終は奈穂美から見えず、
奈穂美の知らない所で
その先の物事が展開していた事が窺えます。

初めのヒントはここにあり、誠はこのとき湯上を捕まえ
連絡交換をしていました。
「逃げられた」というのはその後の計画の為についた誠の嘘。

ストーリー前半で誠は…
「奈穂美の携帯から新たな真実を知ってしまった」
とありました。

この「新たな真実」とは
奈穂美が浮気していた事です。

奈穂美はストーカー被害を恐れる余り、
実家に身を寄せ、夜には誠のアパートで一緒に過ごしていました。

でもそのあいだ奈穂美は自由の身となり、
誠に隠れて自分の欲求を満たしていました。

殺害計画を思いつく事から、その浮気の内容は
とても許せない程ひどいものだったのでしょう。

事件が起きたのは、誠がアパートを引っ越した翌日。

もし本当に湯上が単独犯のストーカーだったなら、
友達の裕子さえ知らなかった
その引っ越し先のアパートを
既に知っていたというのも不自然な事。

そう、その時自分の部屋に奈穂美が1人でいる事を
誠が前もって湯上に電話で教えたから
そのアパートに乗り込み、奈穂美を襲った後
殺害する事ができたのです。

つまり誠が湯上を利用した上、
奈穂美を殺していたという事。

理由は自分の知らない所でずっと続けられていた浮気。

奈穂美をどうにも許せず、
ストーカー被害を利用した上での殺人…
という所だったのでしょう。

更に口封じの為、湯上をどうでも殺さなければならなかった為、
その通りにします。

そして情状酌量も視野に入れていました。

まぁ敵討ちなら罪がそんなに重くなる事もないだろう
としたその後の裁定まで視野に入れた犯行で
その為の生贄として湯上を利用し、
自分の保身を隠れた所で図っていた訳です。

悲壮ぶっていたその仮面も全て嘘。

奈穂美と湯上の携帯が無くなってたのは連絡履歴を消す為。

奈穂美の携帯には浮気の証拠。
これが警察にバレたら
浮気に憤慨して湯上を殺したんじゃないか?
と疑われる。

湯上の携帯には自分と連絡交換した記録が残っている。
これは絶対隠さなきゃならない。

と言う事で、2つの携帯は誠が処分していました。

情状酌量を狙った犯行。
これも結構昔から繰り返されてきた事かもしれませんね。

動画はこちら(^^♪
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