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オムライス。(かあかの認知症のはなし)

自分が認知症だってことに母はいつ頃気がついたのかな。

とふと思ったついさっき。

わたしたちがこれはもうちょっとやばいかもしれぬ。と思ったのは
「オムライス」でした。

かあかのつくってくれるご飯はどれも美味しかった。
料理が嫌いと言いながら、ご飯とても美味しかったんです。
手のこんだご飯とかよくつくってくれたし、仕事をしていたわたしにしたら
とても助かっていました。
高校へ行っていた長女のお弁当もほとんどかあかが作ってくれていて。

わたしは働いていればよかった。

母子家庭だったけど、手助けがあるのとないのでは天と地の差くらい
あると思っています。感謝をたくさんしなくちゃいけなかったと思っています。
それを言葉にするべきだったと思います。

いつもの通り晩御飯をつくってくれていた母が、ある日から
わたしたちに大量の質問をしてくるようになりました。

「お肉って何センチに切ったらいいの?」

???

何センチ?ところで何をおつくりで?

「人参ってどうやって切ったらいいの?」

相手は人参。できましたらいつものように。

「これだと1cmになっちゃうよ。さっきは2cmって言ったのに。」

いや、結構適当でいいと思うんだけど。。

最初はこのくらいだったかもしれません。
これが日に日に増えてきた。大量に。もうほぼ全て。

「これは何センチに?」がその年の我が家の流行語大賞になるくらい。

おかしい。

普通はそう思ってもよかったと思っています。
でも、なぜかわたしたちは頑なに年齢のせい?年だから気難しいのが増した?
いや、年をとったから性格がかわったのか?と勝手にいろんな理由をつけて
そのままにしていました。

そんなある日。決定打が。

「今日何食べたい?」

「久しぶりにオムライス!」

「わかった」

この後すぐに、「鶏肉は何センチに?」という質問がとびますが、
もう毎日のことになってしまっていたので、そのままスルーすらしていました。

「できたよ!」

子どもたちと一緒にテーブルを片付け、オムライスを迎えに行くと。

「??????????????????????」

目の前にあったのは、母がオムライスだと思っている
白飯に卵をちょこっとだけ炒めたものがのっている何かでした。

「なにこれ。。。」

確かに。なんだろうね、これは。
わたしたちが思っているオムライスってのはもっとこう違うフォルムで
ケチャップとかかけてあるあれのはず。
しかも「何センチ?」と聞かれたはずの鶏肉ないし。見当たらないし。
白飯に気持ち炒めた溶き卵のっているだけだし。

「かあか。。これは。。」

この質問がもうダメなんですよね。今ならわかるわたしたち。
しかし当時は何もわからなかったわたしたち。

「オムライスでしょ!?そもそもオムライスなんてお母さん知らないし!」

はい。速攻ガチギレ。早いんだよね、同線がないの、もう。
でもさ、これも症状なんてわからないわけですよ、当時のわたしたちは。

せっかく作ってもらって文句を言うなんて。とお思いになるでしょう。
ええ。本当ひどい話です。
でもね、認知症VS更年期VS思春期なわけです。
そりゃあすごいもんです。

私「いや、これオムライスじゃないし!」

母「じゃあ、なによ!」

知らんがな。

長女「いや、これは白飯にたまご炒めのせただけ。。」

母「知らないわよ!何よ!オムライスって!」

いや、母さん、あなたオムライス先週もつくってくれましたよ。その時は普通においしかったんですよ。

私「まぁ、なんとか他にもおかずあるし。食べよう。」

この頃にはもう毎日が大げんかだったりしていたので、わたしも疲れていたんだね。すぐ喧嘩はやめたんですが。

この日を境に、母を一度病院へ連れて行こうという話が本格的になりました。

かあかのオムライス。
本当においしかったんだよなぁ。
レシピ、聞いておけばよかったよね。

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