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「お笑いの話ができるBAR」に行った話

先週、Twitterで偶然見かけた、お笑いライターのラリー遠田さんが主催する「お笑いの話ができるBAR」に参加してきた。

場所は新宿ゴールデン街の「月に吠える」という、カウンター8席のみの小さなバー。

新宿ゴールデン街のことを魔界だと思っていた僕は楽しめるかというより、そもそも生きて帰って来られるかという不安があった。

店内に入った時には運よくカウンターの奥にひと席空いており、隣で同世代の男性2人がラリーさんと話をしているところだった。

初対面では人見知りしない僕の長所を存分に発揮して、多少前のめりになって会話に参加する。普段の友人との会話では注釈が必要になるようなお笑い番組やコンビ名を挙げてもポンポンと話が繋がっていくのは快感だった。

隣の男性2人のうち1人は、ライブシーンには疎いがバラエティ番組は異常に詳しい眼鏡の青年。もう1人は、舞台に出る側として「タービランス」というコンビを組んでいるスーツ姿の男性だった。もちろん、お笑いに相当詳しい。

2人とも初対面とのことだったが僕が来る1時間も前から話し込んでおり、すでに空気が出来上がっていて元々飲み仲間のように見えた。2人の話し方や話題からしてお笑いに対して熱いリスペクトを抱いていることが伝わってきた。

またカウンターに立つラリーさんは、過剰に相槌することもなく、僕らの話に入り込み過ぎず絶妙な距離感で耳を傾けてくれていた。とても居心地がいい空間だった。

途中、ソロ参戦してきたオジサンが隣に来たのだが、正直言ってお笑いに関してかなり浅い知識の持ち主だとすぐに分かった。「誰々は面白くない」とか「あのコンビの面白さが理解できない」というネガキャンを始めるので、上手くかわしながら周りを巻き込んで皆で話をした。

お笑いが好きって幅があるんだよな、とここで改めて思った。でも、この人は知らないだけで何も悪気はない。テレビのお笑いの世界からラジオやライブなど外に足を踏み入れられるかが大きな境目のような気がした。

もちろん、テレビだけでお笑いを楽しむ層が大多数だろうし、それはそれでお笑いの楽しみ方の1つではある。ただ、ラジオやライブを知っている僕からするともっと楽しいことがあるよと言いたい気持ちになってしまう。そういうことがあのオジサンに伝わっているといいな。

深い時間に入ってからは、テレビのバラエティ番組を担当するプロデューサーの方と出版社の編集者の方がやってきた。より裏側の業界の深い話を聞くことができて、おもしろかった。

そこでも前述の男性2人の立ち振る舞いの妙が遺憾無く発揮されていた。盛り上げ方というかリアクションが上手だなと隣で感嘆していた。そりゃ真剣にバラエティ番組というプロの芸人たちが交わす高等技術を毎日浴びているだけのことはあるよなぁと俯瞰している自分がいた。

ラリーさんには「いつかお笑いのことが書いてみたい」「ライターに興味がある」と相談していたので、知人だというその編集者の方とその場で名刺交換することができた。

今夜は何かきっといい出会いがあるだろうと思っていたので、とても大きな収穫だった。

気づいたら終電が近かったので、足早に店を出て新宿駅に向かった。時計を見て3時間もあの場所でお笑いの話に興じていたという事実を知り、自分でも驚いた。好きな話ならそれをアテに何時間でも話ができることを学んだ。

もっとお笑いのことを発信して、語りたいという思いがより一層強くなった夜だった。


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