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インドの列車はやっぱりカオス


ここはインドだが、パ~っとビールでも飲みたい気分だった。iPhoneが見つかったことで心配事から解放された。
今夜、コルカタからバラナシまで列車で向かう。ハウラー駅出発なので、少し早いけど友人と駅に向かい、近くのバーに入ることにした。インドは表だってお酒が飲める国ではないので、あちこちにこういう店があるわけではない。
店内は相変わらず薄暗い。何か悪いことでもしているような気になってくる。わたしたちはビールと食事を頼んだ。
良心的な店だ。お酒の料金も酒屋で売られているのに毛が生えた程度。食事もしっかりしていて大満足だった。普段ひとりではこういう遊びをしない。友人と一緒だからだ。いつも思うけど食事はひとりで取っても美味しくない。


乗車

列車に乗るのも久しぶりだったので早めに駅へ行った。ホームは相変わらず人でごった返していた。

列車は予想外にオンタイムで出発。コルカタからバラナシまで14時間の旅の始まりだ。
わたしたちが取ったのは「SL」という庶民的なスリーパーシート。エアコン、寝具なしの三段ベッドだ。もっといい席に乗ってもいいのだが、オーソドックスな移動手段を友人に知ってもらいたいというのが本音だ。
最初はゆっくりだった列車も快速に走りだした。
えらく早い……。インドの列車こんなにも早かっただろうか? わたしの記憶では自転車並みに遅いイメージだった。今は……70~80キロくらい出ているのではないか? この分なら14時間なんてかかりそうにない。
これまた記憶違いだろうか? 食事はついてくるものだと思っていたが、有料のようだ。注文を訊きにきた男は、ベジかノンベジか訊いて去っていった。友人はノンベジを注文した。わたしは何も頼まなかった。料金は後払いのようだった。
紛らわしいことに、その後また別の弁当売りがやって来て、さっきの弁当売りが届けにきたと思い、友人はそれを買った。ノンベジと頼んだはずなのに、見たところベジのビリヤニのようだった。
しばらくしてさっき注文を取りにきた男が食事を持ってやってきた。友人は弁当をふたつ手にいれた。


地獄絵図

三段のベッドが向かい合い並んでいる。コルカタを出た直後は空いていた。過去に見たことないほど平和だった。しかし、ときが経つとそれはいつものように地獄絵図になっていった。
寝具はないので、わたしも友人も寝袋を敷いて寝た。エアコンはないが窓を開けているので暑いことはない。しかしもちろん熟睡できるはずもなく、夜中なんどとなく目を覚ました。14時間の列車旅は短くはない。

寝ているとアンモニア臭が鼻をかすめる。それで目を覚ましているのではないかと思うほど何度も気になった。トイレからはまあまあ離れているはずだが、いったいどうなっているのだ。
友人が持っていたインドの列車のイメージは、床にまで人が寝ている、というものだった。わたしは、ここは指定席だからそれはないよ、と一蹴したのだったが、早朝目を覚ますとベッドとベッドの間、つまり床に人が寝ていた。
今回わたしは一番下の段のベッドだった。友人は二段目。盗難防止から過去には一番上しか取ったことがなかったのだが、今回空きがなかったためこの配置になった。だから気がつかなかっただけかも知れないが、「最終的にはこうなるんだな」と思った。

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