うにがしらのこの選手に注目 ー2024 J2大卒ルーキー前編(東北・関東地方)ー

早いものでJリーグの開幕まで、あと2週間となりました。
1月に配信した記事で、ファジアーノに入団した大卒ルーキー3名を紹介してきました。
うにがしらは政田で実際にプレーを観ることができないのですが、メディアに出てくる本人のコメントや記事の内容から、とりあえず読者の皆様には嘘にならない範囲で情報をお届けできているのではないかと、胸をなでおろしているところです。太田選手が、ちょっと出遅れているのが残念ですが、川上選手は、うにがしらが思っていた以上にシュートストップがよさそうですし、吉尾選手は、大学時代のポジションとも違うところで使われそうな話もあり、現状のイメージとは違ったプレーが観られそうで、今から楽しみです。

大学リーグの選手を追っていると、そこでプレーしている選手たちはそれぞれ輝きを持っており、「俺が強化担当なら、はい、全員採用。」という雑なことを考えたくなるものですが、実際に採用できるのは年に数名。大半は別のチームでの活躍を観ることになります。そして所属先がJ2のチームであれば、ライバルとして立ちはだかることに。

・・・というわけで、今回は、昨年からはじめたJ2のライバルチームの大卒ルーキーのご紹介です。
あくまでも、うにがしらが大学リーグなどの試合を見る中で「この選手いいなぁ」と思った人達なので、所属チームやポジション、紹介できる・できないが偏りますが、ご容赦ください。

今回は、全員で総勢16名。
結構な人数になったので「東北・関東地方(9名)」と「中部地方以西(7名)」の2回に分けてお届けします。

それでは、行ってみましょう!


01.工藤 真人(びわこ成蹊スポーツ大学→ベガルタ仙台)

身長:172㎝/体重:66kg 左利き
主戦場はボランチで中盤のマエストロと形容したいプレイヤー。
高い技術力と視野の広いパスで、びわこ大の攻撃の組み立てを担っていました。2022は、元ファジU-18の佐々木啓太選手とダブルボランチでコンビを組んでいましたが、華麗に相手のタックルをかわし、前後左右にパスを配給する様子は見事でした。デンチャレの関西選抜のメンバーとして2022と2023に選ばれており、関西大学リーグを代表するボランチの一人と言ってよいでしょう。
仙台ユース出身(2018、2019は2種登録)で、トップチームに帰還した存在でもあり、活躍すればチームを盛り上げる存在になるでしょう。

02.坂岸 寛大(新潟医療福祉大学→いわきFC)

身長:168㎝/体重:64kg 左利き
大学2年までは、新潟医療福祉大学でも出番が得られなかった無銘の存在だったようですが、2023のデンチャレで全国区に。
うにがしらが観たPO選抜の試合では、ゴールも決めており、そこから大学選抜のメンバーに選ばれました。
主戦場は、左サイド。華麗なドリブラーというよりは、泥臭いプレーと勢いをもってゴールに入ることができるタイプであり、ファジサポが好きそうなプレイヤーだなと思って観ていました。
デンチャレでは、左SHでしたが、その後に書かれた記事や大学選抜では左SBにもチャレンジしていたようです。
いわきでさらにブレイクして、シンデレラストーリーを描くことになるのか、楽しみです。

03.大西 悠介(国士館大学→いわきFC)

身長:174㎝/体重:67kg 右利き
2023シーズンの国士館大学の10番。
関東大学リーグのチームの中でも、国士館大学はフィジカル強化に力を入れている大学ではないかと思います。大西選手もその例に漏れず、見た目は屈強な印象を受ける身体つきをしています(身長と体重の数値からは、どちらかと言えば細身にも思えるのですが)。
国士館大学は、パスをつなぐより放り込みがメインのチームなので、ボランチでプレーする大西選手は、どちらかと言えば地味な存在ですが、ボールを持った際に見せるテクニックが秀逸であり、ゴール前に迫るドリブルは迫力があります。
もともと高校では攻撃的なポジションでプレーしていたこともあり、いわきでさらにフィジカルを磨き、タイトな守備技術が加わってくると大化けしそうな雰囲気があります。

04.牛澤 健(中央大学→水戸ホーリーホック)

身長:178㎝/体重:73kg 右利き
2019年度日本クラブユース選手権(U-18)のMVPを獲得した選手で、主戦場はCBです。
2023のデンチャレでは、関東選抜Aで3CBの真ん中としてプレー。CBとしては上背がありませんが、足元の高い技術での配給、ラインコントロール、カバーリングは見事なものがあります。
2023年9月の日韓定期戦にも、大学選抜として出場。この時は、左SBにチャレンジして先発出場したようです。基本的には真ん中の選手だと思いますが、高い技術力と適応性を期待されている選手と言えそうです。
後述の長尾選手、久保選手と形成されるセンターラインが、水戸にどんなものをもたらすのか。とても楽しみです。

05.長尾 優斗(関西学院大学→水戸ホーリーホック)

身長:178㎝/体重:72kg 右利き
2023シーズンの大学サッカー界屈指のボランチと言って良いと思います。日本大学選抜メンバー。
大学リーグでのプレーは、ボールキープ、ドリブルでの持ち運び、長短・左右のパス、中盤での刈り取り、ゴール前での守備、ゴール前への侵入といった、およそ素人が「ボランチ」に持っていてほしいと思うもの全てを備えています。
2月10日の茨城サッカーフェスティバルでは、早速先発で出場。チームのパスワークの中心としてプレーしています。怪我がなければ、2023の水戸の中心になるでしょう。

うにがしらは、「何とかファジに来てくれないだろうか」と、この人を一昨年からずっと追っていました。本山遥選手のプレーを確認するために、関学大の試合を観ていて、必ず視界に入ってくるので、目が離せなくなったのです。
ガンバ大阪ユース出身なので、ガンバさんが獲得するのが既定路線と思っていたのですが、そのガンバさんは、長尾選手の関学大の同期であり、ダブルボランチの相方でもある美藤選手を、2023シーズンに特別指定選手として登録し、2024の内定を出したのでした。結果、他のチームにも獲得のチャンスがあるかな?と思ったところ、水戸さんが獲得。
ここからどんなストーリーを描いていくのか楽しみな選手です。

06.久保 征一郎(法政大学→水戸ホーリーホック)

身長:186㎝/体重:79kg 右利き
吉尾虹樹選手の同期で、屈強なフィジカルを持ったCF。
デンチャレでは2022はU-20全日本選抜で、2023は関東選抜AでNo.9を背負っており、大学サッカー界で認められた人材であることがわかります。
2023の関東選抜Aの試合では、そのフィジカルを活かしたポストプレーでボールを上手く収めており、前線の起点となることが期待されます。
一人でぶち抜いていくタイプではないと思うので、他の選手とのコンビネーションがカギになるでしょう。水戸には、安藤瑞季選手や寺沼星文選手という強力なFWがいますし、後述の得能選手や昨年ヴェルディで違いを作っていた甲田選手らサイドプレイヤーとの連携がうまくいけば、強力な前線の一員としてブレイクしそうです。
特に寺沼選手とのツインタワーは、終盤の放り込み戦術が必要になったときに猛威を振るうでしょう。

07.得能 草生(仙台大学→水戸ホーリーホック)

身長:165㎝/体重:67kg 左利き
おそらく2023の東北大学リーグNo.1ドリブラーでしょう。
昨年のちょうど今頃、2023年2月17月に加入内定が発表されており、水戸さんの期待の高さがうかがえます。
うにがしらは2023デンチャレの東北選抜の試合で、初めてプレーを観ましたが、得能選手の左SHは東北選抜の明確なストロングポイントで、他の選抜チームのドリブラーと比べても、惹かれるものがありました。
「ファジ、この選手獲得したらええやん!」と、ゲキサカの選手名鑑を調べると、すでに加入内定が決まっており、しょんぼりした記憶があります。
2月10に行われた茨城サッカーフェスティバルでは、後半途中から出場。鹿島の須貝選手から、あわやPKのファールを誘い、その後、ニアゾーンへの侵入からのあわや同点ゴールという見せ場を作っており、水戸の中でも印象が強く残る選手の一人でした。
同じドリブラーということで、広島に戻った小原基樹選手の穴をある程度埋められるのではと思っていましたが、それ以上の活躍をするかもしれません。2023のJ2で特別指定選手として既に7試合出場しており、その点も他の大卒選手にはないアドバンテージです。
右の甲田、左の得能という両サイドは、対戦相手にとって、非常に厄介な存在になるでしょう。

08.青島 太一(立正大学→栃木SC)

身長:170㎝/体重:63kg 右利き
2023デンチャレの関東大学選抜Aのメンバーであり、立正大学のNo.10のテクニシャンです。狭いところでのボールキープとドリブルでボールを運ぶプレーに特徴があり、前目のMFとしてのプレーが期待できます。
他の方がまとめられたデータによると、栃木さんは、2024のJ2チームの中で最も平均身長が高いチームのため、全体的にフィジカルを活かした戦い方になると思われます。
その上で、西谷優希選手が抜けた陣容の中で、青島選手には、持ち前のテクニックをもってチームのスパイスになる役割が期待されるでしょう。

09.田頭 亮太(東洋大学→ザスパ群馬)

身長:170㎝/体重:67kg 右利き
2023デンチャレの関東選抜Aに選出された右SB。川上選手の同期です。
大型化が進んでいるSBの中では、標準的な体型ですが、豊富な運動量や堅実なプレーでチームに安定をもたらすことができるプレイヤーです。
東洋大学では、右サイドの突破を許さない1対1の守備、そしてハイラインの裏を突かれた場合のカバーリング、そして相手プレスの回避の出口として、攻守の潤滑油でした。
従来からイメージされる「SBと言えば」というSBらしい選手ですが、大槻監督のもとで求められる強度の高いプレーに適応できる選手でしょう。

終わりに ー水戸さんといわきさんがとっても気になるのー

この記事では、東北地方と関東地方の大卒ルーキーを紹介してきました。
昨年から、この企画を始めてみて、ここ2年の傾向としては、うにがしらが気になる選手は、どうもいわきFCと水戸ホーリーホックと親和性が高いようです(もともと他のチームに比べて、大卒選手を採用する人数が多いということもあると思いますが)。
個人的には、今年の水戸さんの大卒の獲得状況はかなり驚きで、特に久保選手と長尾選手と牛澤選手の3人は、一昔前であれば、ほぼJ1に進路を選んだ選手でしょう。彼らが構築したセンターラインに、違いを作る存在として得能選手がどうかかわるのか。またプレーをちゃんと見れていないので紹介できませんでしたが、中央大から加入する山崎希一選手や質が高いと言われている高卒ルーキーたちが、どうかかわっていくのか、とても興味深いです。
「ステップアップができるチーム」としてのブランド化と、2023のデンチャレの開催地が茨城県であったことで、2023の水戸さんの採用戦略は花開いた感があります。
とはいえ、2月10日に開催された茨城サッカーフェスティバルを見る限り、チームとしての成熟度は、これからといった感じでもあり、「ピンときた」選手が集ったチームが、2024にどんな変化をしていくのか。その意味で、うにがしらとしては、水戸さんは注目したいチームです。
一方で、いわきFC。
こちらは、ちゃんと数えていないですが、大卒ルーキーが、昨年の特別指定選手を含めると10名を超えるのではないでしょうか。あらためて確認したいところですが、他に例を見ない採用戦略をとっていることは間違いありません・・・という中で、2024のデンチャレは、福島開催。
2023は水戸が、2024はいわきが、デンチャレにスカウトを貼り付けやすい構図になりました。
果たして、いわきさんの採用傾向にも変化が見られるのか。こちらも1年を通して追っていきたいと思います。

さて、後半は、ヴァンフォーレ甲府の井上 樹選手から、紹介していきたいと思います。
来週金曜日に公開予定。

それでは、また!

※後編、昨シーズンの記事はこちら。

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