選手の怪我は、ファジアーノの2020シーズンにどのような影響をあたえたのか

皆さん、こんにちは。うにがしらです。

本日は、2021シーズンの新加入会見がYoutubeで配信されましたね。
いよいよテンションが上がってきました。

そんな中で今更感がありますが、今回の記事も2020シーズンを振り返ります。前回の記事では、ファジアーノ岡山の2019-2020シーズンの変化について触れました。
ただ、元々うにがしらが意図していたことは「選手の怪我の影響を考える」ことでした。
今回は、この点に触れていきます。

まず、前回を簡単に振り返ると、

攻撃は進化はした。
しかし決定力と守備の部分が前年より悪化してしまった。
結果、スペシャルなキーパーの存在を活かせなかった

これがうにがしらの2020シーズンの評価です。
そこに加えて、2021シーズンの補強は、クロスやドリブルに強みがある選手を獲得しているが守備に問題はないのか?
という疑問を出しました。

ここまで書けば、ファジサポの読者の方は、うにがしらが何を言いたいか大体わかると思います。
結論を先に書くと、今回は
「2020シーズンは、喜山、廣木、増谷の不在とパウリーニョの稼働率の低さが痛かった」
「2021シーズンは、彼らの復帰と安定稼働が鍵になる」

ということを見ていきます。

それでは、今回も「Football LAB(https://www.football-lab.jp/)」のデータを元に考えていきましょう。
よろしくお願いします。

※今回、選手名が多いため、「選手」は省略させていただきます。

■本編を始める前にー数値の指標と3000分の換算についてー
今回は、各選手のChance Buillding Point(以下、CBP)をもとに考察を進めます。
このCBPですが、いきなり数字をお見せしても「どのくらいだったら高いのか。またリーグ内ではどのくらいの位置なのか」がよくわからないと思います。
そこで2019-2020シーズンの各項目のTOP30の選手の数値をもとに指標を作りました。

football LAB指標

こちらの指標ですが、絶対的なものではなく「取り上げた選手の数値が、この表に書かれているものを超えていたらJ2リーグの中で優秀なんだ」ぐらいにとらえてください。

また、これから選手の比較を行いますが、各選手が3000分出場したと仮定して換算したものを提示します。
CBPは「出場すればするほど高くなる」ので、1000分の選手Aと2000分の選手Bを比較すると、選手Bのほうが高くなるのが一般的だからです。
なお、換算を3000分とした理由は、
・一人の選手が、シーズンで出場できる時間は最大3,780分(ロスタイム除く)
・3000分以上出場した選手は、各チームに3名程度
のため、おおよそ「安定したパフォーマンスをシーズンを通して発揮して出場できた場合」が想定できると考えたためです。

■サイドバックー廣木と増谷の場合ー
こちらが2019の廣木と増谷、2020の椋原、徳元を比較した表です。

画像2

まず廣木から。
すごく意外だったのですが、この4名の中では、廣木のドリブルポイントが最も高いです。(実は2019ファジの中で、ドリブルNo.3なのです。)
2020の椋原は、攻撃が詰まった時に右サイドを単独でドリブル突破を試みて奮闘していましたが、それよりもポイントが高い。
実は、廣木は2019の攻撃の重要なアクセントで、2020もそうなる可能性がありました。
仲間が中に切り込めば、廣木はオーバーラップをかける。仲間がアウトサイドに逃げれば、廣木はインナーラップをかける。
2019の左サイドは、そんなユニット。2人がパス交換をした後に、実況が「仲間のドリブル!」と廣木を間違えることがちょくちょくありましたが、それを裏付ける数値とも言えそうです。
ドリブル以外については、徳元よりは低いものの、奪取と守備では椋原を上回っています。
徳元不在時に廣木がいれば、もっと守備は安定したはず。
うにがしらは、特に第7節の福岡戦と第8節の京都戦で、そう思って見ていましたが、それを裏付ける数値と言えそうです。

次に増谷
2019は、シーズンの2/3をFC琉球のセンターバックとしてプレーしているので単純比較が難しいのですが、奪取と守備のポイントの高さが目に付きます
この人の不在で、特に影響があったと考えられるシーンを想定すると、セットプレーが挙げられるでしょう。
2020は、椋原がセットプレーのマーカーとして奮闘していましたが、ミスマッチになっていたこともありました。
数値は、増谷なら「3人目のセンターバック」として、より強固な守備を構築できた可能性が高かったことを裏付けています。
また、パスポイントが徳元に匹敵する点も見逃せません。
増谷がいれば、パスワークはもっとスムーズになっていたと考えられます。

廣木と増谷の不在は、「守備力の低下を招いただけでなく、攻撃のアクセントも失わせた」と言えそうです。

■ボランチー喜山とパウリーニョの場合ー
続いてボランチ編です。

画像3

少し脱線しますが、やっぱり上田が、攻守にわたって重要な存在であることがわかりますね。

それでは喜山から。
表の中で、守備が最も高く、奪取も高め。この人の不在も、やはり守備力の低下を招いたと言えそうです。
増谷と同じく、センターバックの経験があり、上背もそこそこ高いので、セットプレーへの影響もあったと思います。
また、喜山はピッチ内でコミュニケーションを積極的にとるので、チームの引き締めや共通理解といった点でも影響が大きかったか。

次にパウリーニョ
奪取ポイントが、とにかく高いですね。このポイントは、J2リーグのTOP5に入れます。
また他の項目も、表の中では高めです。
ただ、これは「3000分出場できていたら」という仮の数値。
2020のパウリーニョの出場時間は「1651分」でした。

喜山の不在とパウリーニョの出場時間の短さは、「守備、特に中盤の奪い合いの力を低下させた」と言えそうです。

■まとめーあらためて2020シーズンの怪我の影響とはー
ここまでCBPから、各選手の離脱の影響を見てきましたが、皆さんいかがだったでしょうか。
サッカード素人のうにがしらでも、出場できなかったメンバーから、守備面での影響が大きかったことは、なんとなくわかります。
ただ実際に数値を追ってみると、特にサイドバックの2人の離脱が攻撃にも大きな影響を及ぼしていたことや、離脱した選手の穴は、そう簡単には埋まらないことが実感できました。
なお、徳元選手は今回取り上げた選手の不在の影響をかなり受けたと思われます。
これは2019-2020の徳元選手の比較です。

画像4

攻撃面が下がって、守備面が上がっています。
本来的には、攻撃やパスワークでアクセントをつける役割を担ってほしかったが守備に追われてしまった
そう評価するのが妥当ではないでしょうか。

また数値ではわからないことですが、今回取り上げた選手の離脱は、次のような影響を及ぼしたのではないかと思います。

2019の最も調子が良かった時の先発メンバーは、GKが一森。DFラインが増谷、濱田、田中、廣木。そこにボランチとして喜山が絡む形でした。
しかし一森が移籍し、両サイドバックと喜山が不在。さらに田中も調子が上がらず。
さすがにこの状態で「2019の守備」を継続していくのは無理があったでしょう。
代わりに出場した選手の能力的な問題というより、「経験者同士で何となく解り合っている」状態がほぼチャラになった
うにがしらは、その影響が大きかったと考えます。

おそらくチームとしては、次のように見込んでいたのでしょう。
仲間が移籍したことで、攻撃のスキームは組みなおす必要がある。一方で、守備は核となる選手がほぼ残った。
新たに上門をはじめ、特徴ある選手を獲得できた。
2019シーズンの守備をベースに、攻撃のスキームを新たに作り、全般的にクオリティを上げればJ1が見える…。

しかし実際は、故障者が守備側に集中したことで、攻撃も守備も作り直す必要があった。
別のチームをゼロから作る。それに近い取り組みをせざるを得なかった。
これが2020シーズンの本質だった
のではないでしょうか。

もし廣木、増谷、喜山のうち2人が、シーズンの1/4でもそろっていたら、濱田、田中を交えて、2019の守備も踏まえてトライできることが増えたのでは。
また、喜山とパウリーニョでボランチのコンビを組めたら、パウリーニョはもっとチームにフィットできたのでは。
パウリーニョ自身が出場時間を伸ばせていれば、もっとチームにフィットできたはず。
椋原と増谷が使い分けられれば、右サイドはもっと活性化したのではないか…。
考えても仕方のないことですが、うにがしらの頭の中では、そんな思いが渦巻いています。

■おわりにー2021シーズンと怪我について-
終わったことを引きずっても仕方がないので、ここまでで見えてきたことをもとに2021シーズンのポイントを考えてみます。

①核となる選手(上門、白井、徳元、濱田)に大きな怪我がない
②パウリーニョが出場時間を伸ばす
③廣木、増谷、喜山の復帰
④宮崎幾笑をはじめとする新戦力のフィット(右サイドの攻撃力アップ)
⑤若手を交えた競争
以上、①~⑤の順で重要だと考えます。

正直なところ、新加入の選手の活躍がとても楽しみです。
でも2020が、2019のベースを失ってうまくいかなかったのだとしたら。
まずは2020のベースを失わないことと、2019のベースを取り戻すこと。
その上で新しい力を積み上げていくこと。
そのためにも、怪我をいかに防ぐか。
今のファジアーノにとって大事なのは、スペシャルな選手の獲得ではなく、いかにより多くの選手がシーズンを走り切れるかではないか。
うにがしらはそう思うのです。

プロの選手は、
・一般人が経験しないレベルの負荷を身体にかける。
・試合に出場するためには、練習を人より多くする必要があるし、多少の怪我で休んでいてはチャンスがつかめない。
といった、そもそも怪我をしやすい状況にいます。
ですから、怪我を減らすこと自体は困難なことだと理解しているつもりです。でも怪我があると我々サポーターががっかりするだけでなく、本人の将来にも影響します。

選手が怪我をしたときや、チームの怪我への対策について、サポーターが具体的にできることはありませんが、それでもチームの成長にとって重要なポイントだと思うのです。
チームの取り組みに、注目したいと思います。

今回も重めの内容になってしまいました・・・。
記事の趣旨はともかく、選手の比較については、皆さんに「へぇ」とか「そう、それそれ」といった感想を持たれると嬉しいなと思っています。
皆さんも、記事内で取り上げられていない推しの選手がいましたら、FootBall LABのサイトを見てみると思わぬ発見があるかもしれません。
サッカーに限らずなのですが、一つの物事について色々な楽しみ方ができるといいですよね。


それでは、また次回の記事で。


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