ファジアーノ岡山の現在地を数値から考えてみる

皆様あけましておめでとうございます。うにがしらです。

ファジアーノ岡山(以下、ファジ)は17位という最終成績で、2020シーズンを終えました。

「期待外れでがっかりした」。それが正直な気持ちです。また、チームへの貢献度が高かったベテランの契約満了、甲府にレンタル移籍していた武田将平選手の京都サンガへの完全移籍など、しょんぼりする出来事も続いています。

ただ、2018年から全試合を見るようになって、今回の17位という成績を罵る前に「ファジの現在地」を少し整理しておく必要があると思いました。

チームにはいい時も悪い時もある。今回の17位は、そんなに酷い成績なのか。一方2019年の9位は、すごく良かったと言えるのか。はたまた2016年の6位はどうなのか。

うにがしらは、Twitterでファジの試合の感想を知った風につぶやいていますが、サッカーはド素人。プレーの良し悪しは、正直なところよくわかっていません。

そこで、今回は数値をもとに、どんなことが見えてくるのかを整理したいと思い、こんな表を作ってみました。

2020_2021データ

今後の応援・批評の参考になれば幸いです。

■2019年で、選手にどのくらいのお金をかけられたのか?
Jリーグから公開されている2019年度の人件費などをもとに計算すると、ファジは2020シーズンJ2参加チームの中で「予算/選手数・・・選手ひとりあたりにかけられているお金の大きさ(仮)」が12位です。
22チーム中のちょうど真ん中ぐらいなので、お金と成績が相関するのであれば、ファジに期待できる成績は基本的に中位。
客観的には、この評価が妥当と言えそうです。

ですので、

・2020年の17位は、やっぱりキツい。

・2019年の9位は、十分あり得た成績。

・2016年の6位は、とても物事がうまく進んだシーズン

以上が、うにがしらの評価となります。

■所属選手が多すぎるのでは?
では、「ファジは所属選手が多いから、人数を減らしてひとりにかけられるお金を増やしたらどうか?」。と、うにがしらは考えました。

そこでデータを見てみると、「ファジの選手の所属人数は、少し多めだが、誤差の範囲」だとわかりました。

・2020シーズン ファジ最終所属:34名,J2平均:33.0名
・2019シーズン ファジ最終所属:34名,J2平均:32.9名

J2平均が、33名程度なので、どのチームも「42試合のシーズンを戦うには30名以上は必要」と考えている様子がうかがえます。

■どうして所属人数が多いと思うのか?
うにがしらも、「ファジは所属選手数が多い」という印象を持っていましたが、これは以下2点の理由からだと思い至りました。
①他のチームより、キャンプインまでにチーム編成を終えている。
②シーズン中に1試合も出場できない人数が多い。

あとは、ネクストの選手を無意識にカウントしているのもあったかも。

まず①について。
エルゴラッソの選手名鑑に掲載されている選手の人数を見ると、ファジは
・2020シーズン 36名:1位
・2019シーズン 32名:4位
で、ほかのチームより多くの選手が掲載されています。
選手名鑑は、例年2月中旬ごろに発売される(=多分1月中~下旬の情報をもとに作成している)ので、

「ファジはキャンプインまでに、きっちりチーム編成をしている」

「結果、他チームより多くの選手が所属している印象を与えている」

と言えます。

次に②について。
仮の数値で(補足で詳細を説明します。)、各チームにどれくらい1試合も出場できない選手がいるか、またそれらの選手がチーム全体の何割かを見ていくと、以下の通りです。
・2020シーズン 17.6%:5位,J2平均:12.3%
・2019シーズン 20.6%:2位,J2平均:11.8%

この点、うにがしらが印象で多いと思っている可能性もありましたが、数値上で一応裏付けが取れたと言えそうです。インパクトを出すために%で語るというズルいことをしていますが、人数に置き換えると「他のチームより、1試合も出場できない人が3名程度多い」といったところでしょうか。

①と②をざっくりまとめると
「ファジは選手の所属人数は適正だが、試合に出れない選手が多い」
ここ2年は、この状態が続いていると言えます。

なお、②の数値については、2018シーズンは12.1%でしたが、2017と2016は20%程度。それに対し、2015以前は10%以下です。
ちなみにトップチームの所属人数が30名を超えたのも2016以降で、長澤体制2年目から、傾向が少し変わってきた様子がうかがえます。所属人数が増えた一方、出れない人が増えている。ここ数年、ファジはチーム体制を模索している最中にあることを示していると言えそうです。

■おわりに
今回の記事は、ここで区切りとさせていただきます。
noteのファジの一発目の記事から、あまり元気が出ない内容になってしまいました。
ただ掲載した表を見ていただければわかる通り、ギラヴァンツ北九州のように人件費が少なくても好成績を残す例はありますし、その逆もあります。
また優勝した徳島ヴォルティスは、試合に出れなかった選手数がダントツの1位です。検証できていませんが、これは「徳島ヴォルティスは、特定のメンバーの役割がはっきりしている+怪我も多発せずにシーズンを走りぬいた→→→選手を多く試す必要がそこまでないチーム状態だったから」ではないでしょうか。一概に、問題だけを示しているとも言えません。

数字は入り口で、その中身もあわせて考えることが大切かなと。

今回の記事で、まず皆さんと共有したかったことは、

「今のファジは結構フツーのチーム」

だということ。
だからこそ、上位に食い込み、J1に上がるためには。
「フツーじゃない何か」もしくは、「J1レベルまでのチームの成長」が必要だといういことです。

それだけに勝ち負けや選手の活躍だけではなく、2021年のチームどんな取り組みをしていくのか。そこにも目を向けると、より一層シーズンを楽しめるかもしれません。

・・・まずは、無人島キャンプの復(やめれ)

それでは、また次回の記事で。


■数値についての補足ー表の数値にご興味のある方はお読みくださいー

・所属選手数ー名鑑掲載:2020年「Jリーグ選手名鑑2020 エルゴラッソ特別編集編」,2019年「Jリーグ選手名鑑2019 エルゴラッソ特別編集編」より。おおむねキャンプインごろの所属選手数を表すものとして。
・所属選手数ーシーズン終了:2020年はSportsNavi(https://soccer.yahoo.co.jp/jleague/teams/j2),2019年は「サッカーダイジェスト 2019 J.LEAGUE総集編」より。シーズン終了時点の最終所属人数を表すものとして。
・所属選手数ーデータ有≒出場:2020年,2019年ともにFootball Lab(https://www.football-lab.jp/)より。シーズン中に出場した選手の人数を表すものとして。
・所属選手数ーシーズン未出場者:人数は、上記の「シーズン終了」ー「データ有≒出場」から算出。率は、左記の人数/シーズン終了で算出。途中加入と退団を考慮していないため、ここでの数値と実績は一致しない場合があり、おおよその指標として掲載。実績は名鑑などを1チームずつ1人ひとり確認する必要があるため断念しました。
・チーム人件費ー2019予算:Jリーグ 2019年度クラブ経営情報開示資料(https://www.jleague.jp/docs/aboutj/club-h31kaiji_001.pdf)より。

・チーム人件費ー予算/選手数:上記の「2019予算」/「データ有≒出場」(最終所属人数)で求めています。

■補足の補足ー予算/選手数についてー
社会人の方は大丈夫だと思いますが、この数値は「各チームの選手の年俸の平均ではない」はずです。ご注意ください。あくまでも「より年俸に近づけた目安」として掲載しています。そのため、本文中では、「選手ひとりあたりにかけられているお金の大きさ(仮)」という、まだるっこしい表現にしました。
人件費には、監督、チームスタッフのほか、スクールのスタッフのお金も含まれていると、うにがしらは理解しています。したがって各チームの選手の年俸の平均ということになると、今回掲載した数値の半分以下でもおかしくないはずです(30%程度のチームもありそう)。もし、この金額のままだと清水エスパルスに移籍した片山瑛一選手の2020シーズンの年俸1,200万円※が普通に払えてしまいます。
この点、解釈の間違いや読み込み不足などありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

※Jリーグ選手名鑑2020 エルゴラッソ特別編集編より

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