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ショートショート作品まとめ

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【ショートショート】や【掌編小説】など短めの作品をまとめています。
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#私の作品紹介

【ショートショート】忘レ袋

最寄り駅の近くにあるこじんまりしたガラクタ屋で、「忘レ袋」と書かれたボロボロの小さな麻袋を見つけた。なんとなく気になって、手に取ってあれこれひっくり返して見てみたが、どこにも値札がない。奥でふんぞり返って新聞を読んでいる主人に聞くと、こちらに見向きもせず、指を三本立てて見せた。 切り出した木の板をそのまま横たえたような大きな木のカウンターに千円札を三枚置くと、主人は千円だけ抜いて小銭をバラバラとカウンターに置いた。五百円玉が一枚と百円玉が二枚。どうやらさっきの三本指は三百円と

【掌編小説】カバンの中の

カバンにいっぱい詰めたはずの夢や希望が、走れば走るほど零れ出ていってしまった。 軽くなったカバンが悲しくて、私は走るのをやめ、ゆっくり歩きながらカバンの中を見た。そこには、夢や希望の転がりでた空っぽのカプセルがあるだけだった。 私はむしゃくしゃしてカバンをひっくり返した。空っぽのカプセルはとても軽くて、四方八方に飛び出していった。 その中で一つだけ、地面に落ちて大きくはねたカプセルが目に入った。私は無意識に手を伸ばし、つかみ取っていた。そのカプセルの中に小さい青色が見え