ワーク&シュート 第8回
結局いくら布教し求めてもプロレスファンの仲間を作ることは叶わなかったか。ぼくはアサクラさんとの二枚分をチケットぴあで注文し、リングサイド席を買った。しかしこれでもよかったではないか。二十一年生きてきたなかで一人でも同じ趣味で語り合える人に会えたのだ。多くの人を巻き込もうとして「八百長なんておもろない」「弱いくせに嘘ばっかりつきやがって」などといちいち腹の立つことを言われるよりは、雑音の入らないところで二人心行くまで楽しめればそれで十分だ。チケットを買ったことを電話で伝えたら