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ジムで「シェイプエアロ」のレッスンを受けた話

数週間前から、減量のためジムに通い始めた。
いつもはランニングマシン、筋トレマシン、プールを組み合わせて1時間ほど運動するのだが、初めて「レッスン」というものに参加してみた。

入会の時に配られたレッスンスケジュールを眺めてみる。
何やら「エアロ」という文字がたくさん書いてある。

これ?


リズムに合わせて体を動かす系のプログラムらしい。
ちょっとアクティブなヨガみたいな感じだろうか。
その中でも、「シェイプエアロ」は効果的に脂肪燃焼、シェイプアップを目指すクラスらしい。ジム通いの目的に合っている。
強度も難度も中くらい、ということでとりあえず試しに行ってみることにした。


時間5分前に、レッスン表に書いてあった教室に向かう。
男女比は2:8ほどだろうか。40~50代くらいの方が多い。ほとんどの方が近くにいる友達らしき人と談笑している中、一人で黙々とストレッチしていると、黒のトレーニングウェアを着た女性が、こんにちはー!と元気よく入ってきた。彼女が先生なのだろう。

月曜日ずっと天気悪いですね、なんて和やかに世間話を始める先生に、控えめな笑い声や同意が飛び、いい雰囲気に安堵する。アシスタントの女性が、スタジオの隅に置かれたスピーカーを操作し、リズミカルな音楽が流れ始めた。簡単なストレッチが始まる。
手足をぐるぐる回したり、足を伸ばしたり、家でフィットボクシングをやるのに似た感じだ。身体がほぐれて気持ちがいい。

ああ~、と伸びていると、ふと音楽が変わる。
「はい、では1ブロックから始めますよ!」
突如先生がそう叫ぶと、周りの生徒が突然足踏みを始めた。
え?
先ほどのストレッチの余韻から抜け出せないままワンテンポ遅れてついていく。

するとそのまま、左右に動きながらのステップ、手の上げ下げなどの運動が濁流のように進む。事前の説明は一切なく、先生が動きながら一言補足するだけだ。周りの人々はよどみなく先生の動きをコピーして統率の取れた動きをしている。え?なんだこれは?大混乱しながら、教室の中ほどにいるひときわ振りの大きい男性を必死に目で追いながら同じ動きをする。

開始10分で、私はこのクラスに乗り込んではいけない人間だったことを悟った。悟ったはいいが、もうレッスンは始まっていて出られない。完全に一人部外者だということを認識しながら、残り30分のレッスンを受けきるしかないのだ。

「はい、一度水分を補給してください!」
短い休憩が挟まったが、身体は全く温まっていない。
とにかく先生と周りの人の動きを見て、不完全でも群衆の一人として動きを揃えなくてはならない。

「ここから新しい動きやっていきますよ」
新しい動き?

「まずはマンボのステップ」
マンボのステップ!?!?!?!

ここから先の記憶はあまりないが、躾の悪い大型犬くらい適当な動きを繰り返して時間をやり過ごすしかなく、完全にスタジオで一人浮いていたのは間違いない。

レッスンが終わったあと、出口で待つ先生に近づくと、一ミリも既定の動きができていなかった私にも、笑顔でお疲れ様です!と挨拶してくれる。

「あの、今日レッスンというものに初めて来てみたんですが」
先生がわずかに「え?」という困惑の表情を浮かべた気がした。

「このクラスから始めないほうがいいですよね…?」
もう分かりきったことすぎて、確定事項のような聞き方になってしまう。

「エアロビクスの基本の動きを覚えられるクラスから始めていただくと、
より楽しんでいただけると思います!」

あ、エアロってエアロビクスの略なんだ。
出直します。





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