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ときどき思い出すこと

最初の仕事をやめて次の仕事に就くまで、私にはしばらく無職だった期間がありました。

失業手当と多くはない貯金頼みの求職中地方出身独身アラサー女性の一人暮らし。
かんたんに不安に飲み込まれてしまいそうな状況で、とりあえずひとつ決めていたことがありました。それはなるべく落ち込まない、ということ。
そしてそのために心がけていたのが自分を卑下しないことでした。

過去の私は、自分がすでに相当すり減っていることに気付かないまま、誰かの役に立たないと自分には価値がない! とばかりに、人に求められるためにさらに自分を削ってすり減らして…を繰り返して力を失くしていたので、もうこれを期に私はそんなことに時間を使わない。自分で自分を削り取っていくような無駄なことはやめよう、と決めたのです。

加えて、放っておいたら自堕落な生活を送ることは間違いないので、自分を客観的に見るために日々の行動記録をつけていました。
何時に何をしていたのか、朝昼夜何を食べたのか、その日何を考えたのか等々…もちろん何もしない日もあったのですが(「だらだらしていた」の記述の多いこと!)、そんな日もあるよねーと、自分を責めずにただ現状を認識することに努めました。

そんなこんなで日々最低限の気持ちはなんとか保っていました。
が、ぽつりぽつりと転職活動をする中で、そもそもこれから自分はどうしていきたいのか、どこへ向かえばよいのかについては、まるで見当がつかない状態のままでした。

私はどこか自分の外側に「世間の正解」のようなものを求めているのかもしれない…と思い、自分の望みを取り戻そうと、手始めに食事のときに、今、本当は何を食べたいのかを自分に問いかけることからはじめてみました。
いつもは安いからといって選びがちなところを、多少高くても本当に食べたいものを一度ちゃんと考えてみる、とか、そういった些細なことです。
何が食べたいかわからなくてスーパーをうろうろしたり、外食のメニューでさんざん迷ったりすることもしょっちゅうで、妥協することも数知れず。
それでも自分で選んだものを、ちゃんと味わって食べるということを繰り返すうちに、ごはんをおいしく食べること自体にだんだんと幸せを感じるようになってきました。自分が欲しているものは、何倍もおいしく感じられたのです。
そのときの自分の願いを叶えてあげて、大切にしてあげることで、充実感が得られる。幸せは感じるもの、という当たり前のことをそのとき身を以て知ります。

そんなこんなを繰り返していたある日、ふとしたことからベランダから見える夕焼けがものすごく美しいことに気がつきました。
今までこの夕焼けを見逃していたなんて、本当にもったいない! と思うくらい綺麗で、まるで旅先で見るような、非日常の景色。それが自分のとても身近なところにあったのです。

美しいものを「美しい」と感じる心が戻ってきたのか、前よりも敏感になったのか、それからは星を観ても感動し、新緑に生命の素晴らしさを見て、花に感謝の念が湧いてくるほど…以前と比べると大げさなくらいに感動するようになっていました。そうすると周りのあらゆることに感謝の気持ちが湧いてくるようになります。
もちろん、うまく行かないことや怒りを覚えることもありますが、だんだんとどんな私でも大丈夫、と前に進む力を養っていったのです。
そしてそれは今でも私の力になってくれています。

ちょっと元気を失くしてしまいそうなとき、私はこの頃のことを思い出します。

東京は長い梅雨が続いていますねー。もうすぐ梅雨明けのようですが、晴れが待ち遠しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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