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8/10東京大学対慶應大学戦況〜井手采配の妙とあと一歩の超克のために〜

おはようございます。昨日から始まりました東京六大学野球。3000人の制限があるとはいえ、有観客での開催は連盟関係者の努力の賜物でしょう。本当に頭が下がります。1946年以来の一試合総当たり方式が導入される熱い8日間。その初戦は東京大学対慶應大学でした。

まずはスタメンとベンチ入りメンバーから。

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ちなみに事前の私のスタメン予想はこちらでした笑

慶應大学は木澤投手ではなく関根投手が開幕投手に選ばれ、橋本選手が5番に抜擢されました。東京大学は二年生右腕の井澤投手が開幕投手に選ばれました。スタメン予想、メンバーは結構当たっていて我ながらいい線言ってたなぁとw

さっそくですが結果はこちら。

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多くの予想に反して東京大学が九回までリードする展開でしたが、9回裏に二点を入れ慶應大学がサヨナラ勝ち。東大にとっては悔しい敗戦となりました。以下、この試合の見どころを書いていきます。

1、井手采配の妙

この試合、ともに新監督の船出の一戦となりました。東大の監督は井手峻監督。初のプロ出身監督で、中日では一軍コーチとしても活躍していました。

まずはスタメンについて、開幕投手に二年生の井澤投手を抜擢したことは驚きでした。これまで公式戦での出場はなく、フラッシュリーグでもリリーフのみだった井澤投手。調べてみると今年の3月の九州遠征で鹿児島大学との練習試合で先発をしていました。

九州遠征ではチームは3勝2敗と善戦しており、先発投手の見極めを進めていたと思われます。実際、井手監督もこの遠征について次のように語っています(https://www.asahi.com/amp/articles/ASN3M43TQN3GUTQP017.html)

投手を中心とした守りの野球を目指し、今のところはまあ順調です。どの投手も大崩れすることなく、うち4人が5イニングを投げ切った。(東都大学リーグの昨秋覇者)中大戦では守りが乱れて2―5で負けましたが、いい試合はできました。

その井澤投手ですが、今日の試合五回を投げ3失点。ヒットは初回の若林選手のタイムリーと二回の瀬戸西選手のホームランのみ、130km後半のストレートと緩いカーブ・スライダーを中心に、卒業した坂口投手のようなピッチングで強打の慶應打線を翻弄しました。

少し遅れてトップを作るような特殊なテイクバックで、的を絞らせないピッチングは見事でした。そして、二回以降安打を許していない中86球で交代。この思い切りの良さは井手監督のらしさの一つなのかなぁと。昨年まで、小林投手や坂口投手が良い時は8回〜9回まで投げさせてきましたが、今大会は過密日程であること、そしてまだ経験の少ない井澤投手の疲労というものが考慮されたのではないでしょうか。慶應打線3巡目の1〜3番を抑えたところでいいイメージを持ってマウンドを降りることが出来たのは今後の井澤くんの為にも◎だった気がします。

そして、6回表に井澤投手の代打で起用された二年生の中井選手が初出場初ヒットを放ち点に繋がります。

このヒットの直前にも173cm/64kgという体格からは想像もできないあわやの大ファールを放つなど、小兵ですが強く引っ張ることのできる左打者という部分をアピールできました(私のnoteでこれまで毎試合似たようなことを書いてますwヤクルト山崎選手みたいに引っ張れることを見せることでヒットゾーンを広げる重要性)。中井選手は元々の登録メンバーには入っておらず、この日の試合前の入れ替えでベンチ入りをしており、調子の良さを見極めた井手監督も流石です。

そして、今日の東大は犠打の失敗が一つもなかった。これは誇っていいと思います。以前のnoteにもこの点は触れました。

井手監督が掲げる東大野球の戦い方として次のように語っています。

投手を中心とした守備走塁を隙なくやるチーム。三塁走者のゴロゴーの徹底などヒットがなくても1点を取る。難しくないことを全員ができるようにしたい。ランダウン、内外野の中継、カバーリング、ファーストの連係などをうるさく見たいね。東大はミスをしないというチームになれたらいい。教科書に書いていることはできているチームにしたい

まさにバントの成功などもこの範疇で、自分たちの戦い方を実践できた試合となりました。最後はバント処理のミスなどでサヨナラ負けしてしまいましたが、練習再開がリーグで最も遅く守備の連携プレーなどはやはり練習不足が祟ってしまったのかな。守備走塁を隙なくやるチームづくりが見えてくる今後にも希望を持たせる一戦でした。

2、あと一歩のその先へ

さて、今日の試合惜しかった。が、昨年も惜しかった試合はありました。一つは秋の明治大学との初戦。東大小林投手と明大森下投手の投げ合いは延長12回までもつれ、12表に二点取られ負け。

そして同じく秋の法政戦。一時は3点リードしながら、7〜9回で5点取られ逆転負け。

あと一歩で勝つためには何が必要か。今日であればもう1人投手がいれば、はその通りかもしれませんが、私が期待したいのは打撃です。何点リードがあっても勝ち経験の少ない東大はプレッシャーに追い立てられてしまう。宮台康平投手ですら最終回は苦しみました。それを和らげるのが点差です。2017年は宮台投手を擁する一方、その実勝ちの要因となったのは平均5点以上取る重量打線でした。

石元ー岡ー武隈の四年生クリーンアップは当時の楠田ー田口ー山田に劣らない好メンバーで、彼らがいるうちに勝ちたい。ミスを少なく、一点でも多く点を取り優位に試合を進めることこそ最も勝利に近い方法です。

3、さいごに

しかし今日の試合、大健闘だったのは紛れもない事実です。昨秋の王者慶應大学にここまでの試合ができるとは。そして、リードされていてもベンチから大声が出ていましたね。解説の明治OB広沢さんも明治より声が出てる、と褒めていました。

今日の試合、本当に悔しかったでしょうし、やり切った感より次こそはという目つきを各選手が終了後にしていた姿が印象的です。

井手監督のコメントも本気で勝つことを考えていたのが伝わってきます。

耳タコですが、1946年の総当たりでは東大は二位。当時よりさらに他大学のレベルは上がっていますが、昨日の試合を見れば十分勝利は狙えるはずです。

まずは一勝を。頑張って欲しいですね。


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