エプロン休憩中

別になんてことない会話なのだが、ずっと覚えているものがある。

20歳の頃、アルバイト先での事。
雑貨屋さんでのアルバイト。私服にエプロンをつけて作業をしていた。

休憩室で休憩していた時、内線でヘルプに呼ばれた。
休憩中だったこともあり、エプロンを外した姿で店内に出ていき対応をした。
対応は無事に終わり、休憩室に戻ろうとしたところ、たまたまプライベートで店に顔を出していた同僚の女性に声をかけられた。
同僚「お疲れ様。あれ？ユニー君。エプロンは？」
私「お疲れ様です。今、休憩中なんです。」
同僚「あはは。エプロン休憩中なんだ（笑）」
私「？！」

彼女はエプロンを擬人化して休憩している絵を思い浮かべているのか？
ちゃんと伝わらなかった。どう言えば良かったのだろう。

彼女は「エプロンの所在」または「私がエプロンをつけていない理由」を問うていたと思う。
同僚「お疲れ様。あれ？ユニー君。エプロンは（どこにあるの？）」
同僚「お疲れ様。あれ？ユニー君。エプロンは（なんでつけてないの？）」

それに対して私は「私がエプロンをつけていない理由」をちゃんと答えたつもりだった。
「今、休憩中（だからエプロンをつけていないんですよ。）」

だが、彼女は「私がエプロンの今の状態を答えた」と捉えた。
「エプロン休憩中」彼女の頭の中は、常夏の島でビーチパラソルの下、ビーチチェアに寝そべって、ビーチカクテルを飲んで休憩しているサングラスをかけたエプロンの姿が浮かんでいるのだろうか？

「今、（私は）休憩中（で、エプロンを外した状態でいたところ、呼び出されて対応をしていたので、エプロンをつけていない状態なんです。エプロンは休憩室にあります。）」がベストアンサーだったかもしれない。

それと、休憩中にエプロンを外すという行為にも説明が必要なのかもしれない。なぜなら、外さない人もいるかもしれないから。
エプロンを外す理由として、仕事のオンオフを分けるため。トイレに行くため。外出するため。など色々挙げられる。

考えたらキリがない。
ばか丁寧に説明的な会話をして、相手に「ばかにするな。」と思われるかもしれない。伝えることの難しさ。

いや、考えすぎだ。
伝わらないのは当たり前だと考えよう。
伝わらなかった後が大切だったんだ。
同僚「お疲れ様。あれ？ユニー君。エプロンは？」
私「お疲れ様です。今、休憩中なんです。」
同僚「あはは。エプロン休憩中なんだ（笑）」
私「いや、何、擬人化させてるんですか！（ツッコミ）」「私が今、休憩中だからエプロンを外してたってことですよ〜。」
正解はこれか・・・？

人に伝えるというのは難しい。
そして、私も人が伝えていることを全く理解できていないかもしれない。