いいから早く貼れ

祖父が病気の時。
毎日神社にお参りしたが。
奇跡は起きなかった。

もしかすると私は。
自分の心を保つ為に。
手を合わせていたのかもしれない。


今日の夕食の時。
父はいつもの様に。
2階から降りてきた。

様子がおかしい。
いてててて。
と腰を押さえている。

階段を踏み外したようだ。
下から3段目の所から。
落ちたらしい。苦しそうだ。


だから2階はやめろ。
と言ったのに。
危惧していた事が起こった。

湿布を貼ってくれ。
と言われたので。

ぶつけた箇所を触って。
痛むかどうか確認する。

湿布が手に引っ付いて。
剥がすのに手間取ってしまった。

頭は打っていないか?
骨が折れている感じはするか?
などと聞いたら。


いいから早く貼れ。
と言われた。


私は湿布を床に投げ捨て。
テーブルを拳でドンと叩き!

何だよ!その言い方!
と叫んでしまった。

・・・キレてしまった。


父は何も言わずに。
こっちを見ている。

母が慌ててやってきて。
間に入ってくれた。

やってもらっているのに。
その言い方はない。
と父に言ってくれた。


私は。
おかしくなってしまいそうだった。


父は働いていない。
1日中テレビを見ている。
食事の時だけ降りてきて。
10分で食べて上がっていく。
病気なのに酒を飲んでいる。

母は朝から晩まで働いて。
夕食の準備も洗濯もしている。

私はなんで。
父の病院の送り迎えをしたり。
風呂上がりのマッサージをしたり。
昼食の準備と片付けをしているのだろう?


この人は9ヶ月前に。
またこの家にやってきて。
再び一緒に暮らす事になった。

良い未来になる事を願っていたが。

この人は。ただ自分が。
世話をしてもらう為に来たのだ。

家族の事など考えていない。


私が高校に行けなかった時。
父は私の部屋にやって来て。

お前いじめられてるのか?
と聞いてきた。

私がいじめられている。
と答えると。

何だ。だらしねえな。
と言った。


私は今の父に向かって。

何だ!だらしねえな!

と。叫んでしまいたくなった。

でも。そうしなかった。

可哀想だからだ。


母に湿布を貼ってもらい。
夕食を食べて。
2階に連れて行ってもらった父は。

暖房がガンガンに効いた部屋で。
爆音でテレビを見ているそうだ。


昨日。神社にお参りに行った。

家内安全の木札を買ったが。
何が家内安全だろうか。

あと・・・。
何と言って渡したらいいか。
わからなくて。
神棚に置いたままの。
父へのお守りはどうしようか?


多分。父は私に謝らない。
悪いとも思っていないだろう。

私は余計な事を言わずに。
また明日も。
昼食の準備と片付けをするだろう。


私が父を心配している気持ちは本当だ。
家族の幸せを願っている。


なぜ。こんな事を・・・。
家族の事を・・・。
noteに書いているのだろう?

みんなから。君は悪くない。
と慰めてもらう為か?

愚痴を言ってスッキリする為か?

自分の心を保つ為か?

懺悔の為か?

客観的に見て楽しむ為か?


テーブルに。
叩きつけた右の手首が。
まだ痛む。

いいじゃないか。
文学的じゃないか。

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