・芹食めば禊ぎとならむ肉食系
毎年、寒い時期に、仙台出身の句友が、郷土料理の芹鍋を作ってくれた。
今年は叶わず、諦めていたが、スーパーで岐阜県海津市産のものを見つけた。
養老山脈の伏流水で育った水耕栽培だ。
値段は東北産と変わらないが、4束も入手した。
さて、鍋以外に何を作ろうか?
まずは、やっぱり鍋。
友人のレシピをまねて、苦手な鶏肉を豚に変え、醤油味の鍋にしたら、美味しさが止まらない。
具は肉の他に油揚げ、平茸、葱、牛蒡など。
これらは最初から鍋で煮て、主役の芹は、さっとしゃぶしゃぶするだけ。
岐阜の芹は長い根がないが、香りはいい。
昔、山菜採りで摘んだ天然ものとくらべると、
くせがない。
現代人の趣向に合わせた歯触りと香りだ。
鍋を堪能した翌日、セリチヂミをもじって、お好み焼きにした。
芹、キャベツ、豚肉、モンゴイカゲソ、山芋すりおろし、タマゴなど。
芹の苦みが快い。
まさに春の味わい。
最後はスナップエンドウとミニトマトと混ぜて、玉ねぎドレッシングした。
芹のライブ感ありあり。
息遣いまで聞こえてきそう。
競り合うようように生えるので、つけられたネーミング。
平安期、毎日貴重な芹を摘み、恋する皇后に届けた庭師が、成就せず、狂い死にしたという故事。
古今に思いを馳せながら、4束をありがたく食べ尽くした。
インフルよ、さらば!
陸奥の芹の根長し美濃根なし
芹摘みに悲恋の故事やサラダにす
確かむる芹の息吹や芹サラダ
芹の香やお好み焼きでもしたたかに