【OAK】藤浪晋太郎との再契約の可能性を探る
オフシーズンも始まってからしばらく経ちました。大谷翔平の移籍先も決まり、徐々に各球団が補強に動いていく時期になりそうですね。アスレチックスも先発と中継ぎをあと一人ずつ獲得しようとするのではないかと言われており、どんな動きを見せるのかに注目です。
そういう中で間違いなく獲得候補として挙がってくるのが藤浪晋太郎です。藤浪はアスレチックスでメジャーデビューした後、トレードでオリオールズに移籍。契約を満了してFAになりました。本人は現在帰国して競馬の予想に精を出しており、移籍先をめぐる交渉は代理人のスコット・ボラスに一任しているとのこと。
ボラスは選手本人から何か言われない限り一番金額のいいオファーを取ることが多いと言われているため、もし複数球団が獲得を積極的に目指すのであれば、お金を出さないことにかけては誰にも負けないアスレチックスにとっては再契約の実現はなかなか厳しいでしょう。
しかしながら、昨年プレーして慣れた環境であることは藤浪選手にとって大きなアドバンテージになりえます。本人も今年所属した2球団については再契約して元チームメイトと再び共にプレーすることに前向きであることを示唆しており、可能性はないわけではなさそうですね。
藤浪は、シーズン終盤に登板機会がかさんだことによるものなのか、やや状態が落ち気味でした。わずかながら球速が低下していたほか制球も荒れており、その影響もあってかポストシーズンのロスター入りを逃しています。
このことやシーズン序盤に散々だったことを各球団が懸念して、そこまで年俸が高くなることはないでしょう。財政状況が悪く、お手頃価格でなおかつトレードでの転売を狙えるハイポテンシャルなリリーバーを求めるアスレチックスにとっては、安くとれるなら藤浪は有力な選択肢です。
さて、様々な行事があり移籍市場が動くことも多いウィンターミーティングが終わりましたので、今回はウィンターミーティングでのアスレチックスの動きについて書いていきます。
トレード・FA補強
マイナー契約でFAの選手が何人か入団しましたが、特に言及すべきものはありません。
ドラフトロッタリー
前回のドラフトから導入された、ドラフト1巡目6位までの指名順を抽選で決めるというドラフトロッタリーの季節に今年もなりました。アスレチックスはシーズンでの勝率がダントツ最下位だったため当然全体1位を得る確率は全チームで最も高く、以下の記事によれば18.3%でした。仮に大外ししても最高で7位という状況で、より高い順位への期待は高かったところ。
花の全体一位、悪くてもトップスリーにはと思っていたところでしたが、アスレチックスは不運にも4位に終わりました。昨年も勝率ワースト3のチームだったため1位の確率が最も高かったにもかかわらず6位だったのに続いて、制度導入から2年連続でボロ負けです。
より深刻なのは、アスレチックスは収益分配対象チームであるため、規定により来年のドラフトロッタリーに参加できず、1巡目の指名権が10位以下で確定してしまうこと。シーズン112敗を喫するような絶望的なチーム状況のアスレチックスですが、金欠でFAでの有力選手との契約が難しい中で重要となるドラフトでの選手獲得にまで勝てないことが影響してくるというのは残念でなりません。
ルール5ドラフト
プロテクト
前回の記事で候補として挙げた選手のうち、当落線上ながら筆者の逆張り根性によってイチオシとして紹介したスーパーユーティリティーのシューマンはプロテクトされず、代わりに先発左腕のブレイディ・バッソが選ばれるという予想外の動きがありました。
バッソは昨年プロテクトされたホーガン・ハリスと同様にトミージョン手術から復帰してマイナーで優秀な成績を残しており、今シーズンデビューしてしばらく好投したハリスに続く活躍に期待です。ハリスよりも制球はよさそうなので楽しみにしています。
指名選手一覧
メジャーリーグフェーズの全体一位でヤンキースからミッチ・スペンスを獲得。以上です。
チームは今かなりの人材難であるにもかかわらず、なぜマイナーリーグフェーズをスキップして選手を獲得しなかったのはよくわかりません。
ミッチ・スペンスってどんな選手?
スペンスは最速97マイル(156km)、平均91マイル~93マイル(147km)の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップを扱う総合力が高い先発タイプの右腕。今季はAAAで一年間ローテを守り、29先発で163回、防御率4.47で153奪三振でした。
スペンスはサウスカロライナ大学エイキン校から、2019年ドラフト10巡目、全体315位でヤンキースに指名され入団。特別球が速いわけではなく、また所属チームが大学二部リーグに在籍していたため元々あまり注目されていたわけではないようです。
しかし、プロ入り後は安定感抜群の投球を続け、マイナーの階段を駆け上がりました。最大の持ち味は四球が少ないこと。マイナー通算の与四球率は2.87と、かなり低い数字です。かと言って三振が取れないわけではなく、こちらもマイナー通算で奪三振率が9.01と、ずば抜けて高いわけではないにせよ十分な数字。球威はそこまでなのでメジャーで同様の数字を残せるかはわかりませんが、少なくとも自分から崩れていくことはあまりなさそうです。
キャリアを通じてゴロ率が高く、リスク管理にも長けている印象。ただ、打球速度を抑えることに成功しているわけではないため注意が必要かもしれません。
次に、投球の特徴を見てみましょう。まずは、投球割合などのデータから。
速球の平均は90マイル台前半。きれいなフォーシームはほとんどなく、それぞれ左右に曲がるシンカーとカッターを合計で半分と少しになるように投げ分けています。抜いて投げるチェンジアップ以外は回転数が高く、興味深い投手です。球速を見た感じでは、ストレートとして分類された球はおそらくカッターのつもりで投げたものだろうと思われます。
右投手のシンカーは左打者にはあまり有効ではないという統計によるものか、シンカーは左打者には全く投げず、そのかわりにカッターを増やしています。右打者相手にはスライダーを多投しており、とても現代的な球種構成の投手と言えるでしょう。
次に変化量を見てみましょう。
カッターとシンカーはいずれも一般的なストレートと比べてホップ成分が小さく、ゴロを打たせる球として機能しています。スライダーはスイーパー系の横スライダー、同じ横変化量で縦に落ちるのがカーブ。チェンジアップはシンカーと変化量が近いものの、球速が大きく下がります。
球種構成や変化球の動きなどは同じヤンキースのクラーク・シュミット投手が今年から採用したスタイルに類似していますが、シュミットのスタイル変更が成功したかについては判断の分かれるところです。ですので、アスレチックス移籍後に球種構成がガラッと変わっている可能性もなくはありません。
懸念点・改善点
まず、今シーズン突然ホームランを打たれることが多くなりました。データがないため原因はわかりません。しかし先述のシュミット同様のスタイルチェンジがあったことが原因ならいますぐ戻すべきでしょう。
また、速球系がどちらも空振りを狙いにくい球種であるため空振りが欲しいカウントで変化球に頼りがちになりそうという問題もあります。
特に根拠はないのですが、おそらく普通のストレートを投げた時の球速はシンカーと同じ93マイル程度でしょう。そうすると決してパワー不足というわけではないため、他球種を生かすためにも普通のストレートを再び投げてみるというのも手かもしれません。
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございました。今後もアスレチックスを中心にMLBに関する記事を投稿していきますので、スキとフォロー、Twitterのフォローもよろしくお願いします。それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
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