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【OAK】4割打者候補がメジャーデビュー!

 オールスターブレークが終わり、後半戦が始まりました。プレーオフ進出を目指す買い手の皆様や売れそうな選手をお持ちの方はトレードデッドラインに向けてソワソワし始めるころでしょう。

 しかし我々アスレチックスには、現状売れない選手と売りたくない選手しかいません。そういうわけでしばらく暇になりそうなアスレチックスファンに、一つの朗報が入ってきました。

 そう、昨年のドラフト1巡目で指名したトッププロスペクトのジェイコブ・ウィルソンがメジャー昇格を果たしたのです。この記事ではウィルソンについて軽くまとめるとともに、今後への期待を書いていきます。


どんな選手?

 この章ではウィルソンのAAAでのトラッキングデータを基に、選手としての特徴を持ち味と懸念点の両面から解説します。なお、データの取得にあたってはa.na.nさんの以下の記事を参考にさせていただきました。

強み

 ウィルソンの最大の持ち味はコンタクト力です。ほとんど空振りをすることがなく、AAAでの空振り/スイングは驚異の2.6%。昨年打率3割5分で首位打者を獲得したルイス・アラエズが7.8%であることを考えるといかに凄まじい成績なのかがわかるかと思います。

 以下、AAAでのウィルソンの主な成績です。(注:スイング率は投球数、コンタクト率はスイング数を分母としています。)

AAA 19試合 90打席 306球
打率 .398 4HR 三振率3.3% 四球率7.8% OPS 1.083
ボール球スイング率 29.9% ボール球コンタクト率 93.5%
ストライクゾーンスイング率 70.4% ストライクゾーンコンタクト率 99.1%
xBA .314 

FanGraphsより

 正直言って選球眼はあまり良くないのですが、バットに当てる能力が高すぎてあまり問題になっていません。ツーストライクになっても1割しか三振しないというレベル、といえばすごさが伝わるでしょうか。

 野球という競技では、三振せずにインプレー打球を飛ばせば一定の確率でヒットになります。逆に一定の確率でアウトになることを意識した「打球の結果は運要素が大きいので、三振を嫌がらずにホームランとフォアボールを増やそう」というセイバーメトリクス的な考えとは逆行する打撃とも言えそうですね。

 しかし、これでヒットになるからいいのです。

筆者作成

 上の図はウィルソンの打球速度を打球角度と組み合わせて描画したものです。赤丸で示した部分はフレア/バーナーと呼ばれる「内野の頭を越えて外野の前に落ちる打球」、およびそれに近い打球です。ほかの場所よりもここに打球が多いことがわかりますでしょうか。

 イチローさんも意図して打球を詰まらせてここに打球を入れていたというエピソードがあるなど、長打は少ないながらもヒットになりやすく、先述のアラエズもよく同じような打球を打っています。

 ウィルソンは単に当てるのがうまいだけでなく、ヒット性の打球を飛ばすことに長けた選手だということが言えそうです。

 また、守備面でもスピードは平均程度ながら技術と肩、積極プレーで平均以上の守備ができるという評価を受けており、メジャーでこれから見られるのが楽しみですね。

弱点

 ウィルソンの弱点は、何と言ってもパワー不足です。当てるのがうまい選手にありがちなことですが、打球速度が足りていません平均打球速度メジャー最低級の84.3マイルハードヒット率もメジャー下位15%相当の32.5%です。

 打球速度が足りなくてもなんとかなる方法はないものかと思い下のもーさんの記事のようにハードヒット以外の打球速度を調べると77マイル。微妙な数値です。ウィルソンの天才的なコンタクトスキルをもってすれば問題ではないのかもしれませんが、球界を代表する選手になるためにはもう少し頑張ってほしいところです。

 しかし、AAAでは打高環境とはいえ4HRを放っており、全く期待ができないわけではなさそうです。これからの改善を祈りましょう。

 もう一つの懸念点が走力です。マイナーではあまり盗塁をしておらず、その実力は未知数。守備力にも直結してくる要素だけに、少し心配です。後述する負傷箇所が太ももだということも不安を増幅させる要素。

 しかし、有力なプロスペクト評価媒体は軒並み平均以上と評価しており、それを信じたいところです。

初出場の結果

 ウィルソンは後半戦初戦に合わせて昇格し早速8番ショートで先発出場しました。昨季同じタイミングで昇格したタイラー・ソダーストロムザック・ゲロフと比べてもマイナーでの成績が良かったことを考えると妥当と言えそうです。

 初回からゴロ処理を問題なくこなし、3回にはダブルプレーの起点にもなりました。3回の先頭で回ってきた第1打席では2球目のスライダーをヒットにしました。

 この打球も先ほど挙げたフレア/バーナーに該当するウィルソンらしい打球でした。

 しかしこの後、ローレンス・バトラーのタイムリーで、ホームに向かって三塁を回ったところでハムストリングの肉離れを起こしてそのまま途中交代し、後日故障者リスト入りしました。

おわりに

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。ウィルソンが無事に復帰して活躍するのが楽しみですね。もしよければスキフォローTwitter(旧X)のフォローもしていってください。モチベになります。それではまた次回の記事でお会いしましょう。

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