【OAK】メイソン・ミラーのトラッキングデータ

 この記事は本編で忘れたので書いていない内容を中心に構成しています。本編はこちら↓

 AAAのパシフィック・コースト・リーグ(以下「PCL」と呼びます)の各球場にはStatcastでデータを出すことのできる計測機器が用意されており、選手個人のページはありませんが試合の画面はメジャーリーグとほぼ同じものを見ることができます。(アクセス方法は、「https://baseballsavant.mlb.com/gamefeed?gamePk=」の後にGamedayの試合ページURLに書いてある6桁の数字を入力するだけ)

画面の例

 ということで、今回はこのページの「SCOREBOARD」タブから打球速度・角度、「PITCH VELOCITY」タブから球速・回転数・変化量の表を取得してデータを用意しました。(データ取得方法の詳細は割愛しますが、面倒なのでクローリングで取得できる方はその方がいいと思います。)

球質

縦変化は小さい方が上向き、横変化はグラブ側がプラス


変化量チャート

フォーシーム

 平均球速の99.6マイルという数字はメジャーの250球以上投げたピッチャーのフォーシーム平均球速ランキングにおいて5位に相当します。また、縦変化はこの球速帯での平均程度、横変化は平均より1.8インチシュート成分が大きいです。スピンレートはだいたい2022年のゲリット・コールと同じくらいになっています。

 今でも十分有効に使えそうな球ですが、欲を言えば、平均球速が同じライアン・ヘルズリーほどとまでは言いませんが、少しホップ成分を増やしてほしいところですね。

チェンジアップ

 平均球速91.4マイルはかなり速く、あのサンディ・アルカンタラ(91.8マイル)より少し遅いくらいの値です。縦変化は平均より控えめで、22年のジェイコブ・デグロムと同じくらいの数値になっています。横変化もデグロムと同じくらいですね。そもそもあまり数を投げておらず、また今後も改良が続く可能性も高いためあまりここでの評価はあてにならないと思います。

スライダー

 メインの変化球として使っているスライダーの平均球速85.9マイルは、ほかの2球種がメジャーでもかなり上位に位置していたのと比べるとややおとなしめな印象を受けます。速球との球速差は24マイルにも及び、打者からするとかなり大きな差に感じることでしょう。それ故に見分けられやすくなる可能性もあり、このためミラーは封印していたカッターを再び投げ始めるようです。

 変化量の面では、縦、横ともに平均よりやや大きく曲がります。今手に入るデータを見る限りではこのままで良さそうな感じです。数値が普段よく扱っている重力の影響が取り除かれたデータではないのでよくわからないというのが正直なところですね。

被打球等


全体

 xwOBAは防御率ベースに変換したxERAでは4.84になります。なんとも微妙。いくら小さいサンプルサイズの中で痛打された打球の影響が大きいとはいえ、xwOBAcon.540の投手をメジャーで見ることはなかなかできません。被打球管理は今後の課題となりそうです。なお、xBAは推定打率なので、三振を多くとるミラーには有利な指標になっています。

フォーシーム

 軌道がフラットだと指摘する声がたまに聞かれるのが頷ける被打球成績の悪さで、投球コースや使い方を工夫したり球質の向上に取り組んだりする必要がありそうです。そのスピードゆえか、Whiff%(空振り/スイング)はかなりの好成績を残しています。

チェンジアップ

 数が少なくコメントのしようがありませんので、省略します。

スライダー

 三振をとる決め球として機能しているためxBAは低いです。また、xwOBAconも(これでも相当高い値ではありますが)3球種の中で一番良いですね。速球のスピードを活かす意味でも、このスライダーと先述のカッターは鍵を握りそうです。


おわりに

 データを見ても空振りは取れているミラーが被打球管理を覚えて怪我も減らしたらどんな選手になるのか、今から楽しみで仕方ありません。今後もたまにこのような野球データオタク的な記事を出していく予定ですので、ぜひフォロースキをよろしくお願いします。




おまけ(パーセンタイルランク)

こういうやつ(画像はA.J. Puk)

出せるものだけ書いていきます。

Avg Exit Velocity: 95
HardHit%: 30
xERA/xwOBA: 14
xBA: 61
K%: 99
BB%: 83
Whiff%: 99
Fastball Velocity: 100
Fastball Spin: 92


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