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【OAK】もう一人のショーヘイを知っているか?

 大谷翔平選手が国民的どころか世界的スターとして君臨しているのは、この記事の読者の方にはわざわざ説明するまでもないと思います。テレビを点けたら毎日彼の活躍が報じられ、番組内でのCMにもしばしば登場。ネットニュースでもよくネタに使われていることもあり、大谷翔平の名を聞かない日はないという方も多いでしょう。

 そんな感じですから、「アメリカで野球をしているショーヘイといえば大谷」となるのは無理もありません。しかし、アメリカで野球をしているショーヘイは彼だけではないのです。

 今回紹介するのはその「もう一人のショーヘイ」こと冨岡聖平選手です。冨岡選手は今春のメジャーのキャンプに招待選手として参加しており、ブルペンの層が薄いことから開幕メジャーも夢ではありません

 オフシーズンを中心にYouTubeでの動画投稿も行っており、マイナー生活についてのことなどとても貴重な情報を提供してくださっています。閲覧時点で1000人少々しかチャンネル登録者がいないのはおかしいと思うので、この記事をお読みになった方だけでも登録していってください。


どんな選手?

 冨岡選手は1996年2月29日(!)生まれで、現在27歳。最速150km台後半、平均150kmの速球を軸に、120km台のカーブ130km台後半のチェンジアップを投じます。ほかにもいくつかの球種を持っているようですが、割合は少ないので見る側としては今のところ把握しなくてもいいでしょう。

 ちょっと詳しく知りたい方は、英語にはなりますが以下のサイトを参照してくださいね。内容でわからないことがあったら僕でもいいですし、周りにいるわかりそうな人にでも聞いてみてください。

 特徴はゴロを打たせる能力の高さで、FanGraphsによれば、2023年のAAを除くすべての階級で打球に占めるゴロ率が50%を超えるというかなり高い値を示しています。渡米後はある程度三振を奪うことにも成功しており、奪三振力とゴロ率が高いというのは、リスク管理的な考え方においてはかなり優秀な要素です。

これまでのキャリア

アマチュア時代

 富山県黒部市の出身である冨岡選手は、富山県立桜井高校時代の2013年夏にはエースとしてチームを牽引し県大会決勝まで勝ち進みました。プロからも複数球団のスカウトが視察に来るなど注目されていましたが、プロ志望届を提出せず東洋大学に進学します。

 大学では故障などにより試合に出場すること自体が少なく、目立った活躍はほとんどありませんでした。社会人のバイタルネットに進んだ後は主力投手の一人として活躍。株式会社omyu technologyさんが運営している一球速報.comの情報によれば、主な大会での通算成績は以下の通りです。

22 2/3回 防御率8.74 三振率17% 四球率7% 

一球速報.comより

 防御率が著しく高いですが、これは1試合メッタ打ちにあった試合があったからのようです。全体としては、三振がやや少ないという印象を受けます。

プロ入り

 2019年の11月に、アスレチックスは日本でトライアウトを開催。冨岡選手は当時の最速であるとされる95マイル(約153km)を記録して合格し、翌1月にマイナー契約を結びました。契約初年度となる2020年はコロナ禍の影響でマイナーリーグが中止になり、日本でトレーニングしていたようです。

 21年、22年はA+でプレー。ケガや成績悪化などはありつつも、確実に進歩を見せていたように思います。この間も含めて、たまにアメリカでの暮らしをブログで発信したりもしていました。ここ1年半ほど更新がなく残念です。

 昨年は冨岡選手にとって大きな一年となりました。春先にはマイナーリーグキャンプに招集されて、マイナーリーガー中心の試合だったとはいえメジャーのオープン戦にも登板しています。初のAAでは多くの指標で軒並み自己ベストを記録し、シーズン後半にはAAAにも昇格しました。

 昇格後は、AAで滑りにくいボールの試験運用が行なわれておりAAAではメジャーリーグと同じボールが使われていた関係で、その違いによって対応に苦労したようです。その様子はAAAでの成績からも見て取れます。

8月:3登板 4.1回 防御率14.54 三振率17.4% 四球率21.7%
9月:5登板 6.1回 防御率2.84 三振率14.8% 四球率14.8%

Fangraphsより

 相変わらず四死球は多いですが減っており、サンプルサイズは小さいものの適応が進んでいると言えそうです。

 冨岡選手は、ペースはほかの選手と比べて特別速いとは言えないながらも順調にマイナーの階段を上っており、ついにメジャーまであと一歩のAAAまで来ました。ここまで来たからと言って必ずメジャーに昇格できるかといえばそんなことはないのですが、先述の通りアスレチックスの中継ぎ陣の間に割って入るチャンスは十二分にあると言えそうです。

今後どうなる?(ルール解説付き)

 スプリングトレーニング(春季キャンプ)に招待選手として参加している冨岡選手。今後送るシーズンがどうなるか、考えうるパターンをルールの面からいくつか考えてみました。

①-1:開幕に合わせてメジャー昇格

 本人としてもひとまず目標としているのは間違いなくここでしょう。

 メジャーリーグ球団のキャンプに招待選手として参加するということは、文字通りメジャーリーガーと共に練習し、更には共にオープン戦に出場するということです。

 球団からメジャーキャンプへの招待が来る選手は、開幕メジャーを目指して挑戦するレベルにあると球団から判断されていると考えていいと思います。実際、2021年には2人、2022年には4人のリリーフがマイナー契約から開幕メジャーの切符を掴んでいます。

 ただ、昨季の開幕にメジャー昇格を果たした招待選手は、アスレチックスのリリーフではいませんでした。実現しなくても悲しまないようにしましょう。

①-2:開幕メジャー昇格後、定着

 こうなればもう言うことはありません。故障なく投げ続けるだけですね。

①-3:開幕メジャー昇格後、マイナーとメジャーを往復

 メジャーリーグのベンチ入り枠に入っている選手を、メジャーの40人枠(日本の支配下枠みたいなもの)に残したままマイナーに降格させるには、その選手がマイナーオプションを持っている必要があります。マイナーオプションは、1回発動されるとそのシーズン中は何回使っても1回のままで、合計3回(3年分)まで使えます。

 最初からメジャー契約である多くの日本人選手は、契約にマイナーオプションを拒否する条項が入っていることが多いです。しかし冨岡選手はマイナー上がりなので、普通の選手と同様にオプションを使われる可能性があります。

 もし冨岡選手がメジャーであまりパフォーマンスが良くない場合は、このマイナーオプションで降格し、メジャーでけが人や不調の選手が出て枠が空いたら昇格する、という扱いになることも考えられるでしょう。もしそうなっても、メジャー当落線上の選手にはよくあることなのであまり気にすることはありません

①-4:昇格後、結果を残せずDFA

 あまり考えたいシナリオではないのですが、もしメジャーの舞台に立つことは叶ったものの成績が思わしくないとなると、メジャーの40人枠から外す措置であるDFAになることもあります。

 DFAになると選手は一定期間ウェーバーにかけられ、ウェーバー経由もしくはトレードで獲得したいという球団が現れなかった場合はマイナー契約に戻る、もしくはリリースされるということになります。

 DFAは日本メディアではよく「事実上の戦力外」なんて書かれ方をしますが、マイナーに降格しても程なくして再昇格という例は十分多く、実際は「戦力外」という言葉ほどの重みはないです。

②開幕メジャーを逃す

 僕はこうなる可能性は十分高いかなと思っています。ただ、決して招待選手がメジャーに上がれなかったからといって、即クビになることはないのでマイナーでプレーして昇格機会を待つことになります。

 アスレチックスのチーム状況を見るに、大きな故障や目立った負傷などがなければシーズン中どこかで昇格する可能性は高いと思うので楽しみですね。昇格したあとどうなるかは、①で紹介した通りです。

終わりに

 いかがでしたでしょうか。冨岡選手がメジャーに昇格し、素晴らしい成績を残すことを願ってこの記事を終わりにしたいと思います。良ければスキフォローTwitterのフォローもよろしくお願いします。それでは、また次の記事でお会いしましょう。




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