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【OAK】今オフ獲得した選手たち(投手編②)

 記事二つ続けてヘッダー画像を入れ忘れた運河です。この記事は先日アップしたものの続きです。そちらがまだの方はぜひお読みください。

トレード加入

ロイバー・サリナス

 マーフィーのトレードで加入した選手の最若手。21歳で最速98マイルの質のいい速球とプラスのスライダーの組み合わせで空振りを奪うことができ、22年シーズンに23イニングを投げたA級ではK%が55%以上、FIP1点台と向かうところ敵なしの状態で、A+級に昇格後も防御率は4点台に乗るくらい、K%も33%と優れた値を出しています。チェンジアップも悪くないとのこと。70マイル台後半のカーブも使うことができ、球種だけ見れば先発で十分やっていけそうに見えます。
 一方で課題ももちろんあります。腕を大きく使うフォームからか制球が不安定で、プロデビュー以来どのシーズンのどこの階級でもBB%が10%と超えており現状ではメジャーで先発をするのは厳しいでしょう。ここが劇的に改善されればエース級も目指せるスペックはありますし、現実的な最終形を考えてもクローザー級のリリーフにはなれるんじゃないかと思っています。

マイナー契約のFA

リコ・ガルシア

 公式のトランザクションページによればA'sの今オフ最初の補強はこのガルシアの契約だったようです。もしかしたらけっこう高評価だったりするのかもしれませんしそうじゃないかもしれません。
 ガルシアはハワイのホノルル生まれ、ハワイパシフィック大学から16年のドラフト30巡目でロッキーズに入団した、先日29歳になったばかりの選手です。19年のシーズン終盤に大学史上二人目のメジャーリーガーとして昇格しました。その後ジャイアンツに移籍し、21年はトミージョン手術で全休しました。22年はオリオールズとマイナー契約を結び7月に昇格。6試合に登板し、オフにアウトライトされFAとなりA'sとの契約に至っています。

 ガルシアの速球はデビューした時の先発登板では90マイル程度でしたが、22年はリリーフで90マイル台中盤から後半になっています。スピンも十分でホップ量に優れ、武器となるボールです。おそらくA'sはここに目をつけてガルシアと契約したのではないでしょうか。
 一方で変化球は平凡で、あまり落ちないし曲がらないけど球速差はあるというチェンジアップと22年はメジャーで一回も空振りが取れなかったパワーカーブを投げます。チェンジアップは20年に空振り率52%をマークするなどタイミングを外す球としてそれなりに機能しているようなのですが、カーブはあまり有効ではありません。このためカウントが不利になると速球に頼りがちになり(22年B-Sが2-0, 3-0, 3-1のとき計10球全て速球)、結果としてフォーシームを狙われがちな状態になっています。先述の通り質のいいフォーシームを投げるため、決め球となる空振りの取れる変化球が1つでも見つかればトミージョン手術からの回復も相まって化けることが期待できます。逆に言えばそれがなければこれまで同様速球を狙い撃ちされるという結果が待っているということです。


ジャッシール・デラクルーズ

 ブレーブスからマイナー契約加入した右投手。25歳と若く、21年まではMLB公式のプロスペクトランキングに載っていました。しかも10位とかなり高順位です。その秘訣はなんと言ってもパワー。リリーフ転向後は90マイル台後半を平均球速としており、100マイルにも到達しようかというスピードを持っています。アウトピッチとして使っているスライダーも高評価です。
 一方で制球には2015年の契約当初から課題を抱えており、これが不安定さを生んでいます。また、ここ2年は怪我により登板機会が減っているのも懸念材料です。投げられなければどんな優れた球を持っていても意味がありません。
 さらに心配なのは22年シーズンは少ないイニング数ながら奪三振率を大きく下げていること。BB%が高いタイプなのにK%が20%にも乗らないようでは相当しんどいです。このためか、契約後はAAのミッドランドに配置されています。

ギャレット・ウィリアムズ

 ウィリアムズはフォーシームとカーブのコンビネーションが特徴の左投手です。2007年の12歳の時にリトルリーグワールドシリーズに出場し、初戦で初回の先頭から17人連続で三振を奪う快投を見せた選手で、ドラフトは16年にジャイアンツから7巡目での指名となっています。もしかしたら19年12月にジャイアンツがエンゼルスからザック・コザートの契約を引き取ったトレードの対価として移籍したことで名前を知っている方もいらっしゃるかもしれません。
 ウィリアムズはキャリアを通じて不安定な投球を続けてきました。フォームの再現性が高くないことによる球質、制球のバラつきが大きく、良い時は90マイル台中盤の浮き上がるような速球と質のいい80マイル台前半のカーブで打者を制圧できますが、悪い時は90マイル台前半の速球と打ち頃のカーブという感じになります。この不安定さが克服できればもしかしたら左の中継ぎとしてメジャーに昇格することもあるかもしれません。

ジェイク・フィッシュマン

 フィッシュマンは左の変則リリーフです。三塁側低いアングルで変化量だけで見ればチェンジアップのような最速90マイル程度、平均87マイルのシンカーと曲がりの大きなスライダーのツーピッチ構成となっています。特筆すべきはプレートの三塁側を踏んだところから大きく一塁側に踏み出して投げてくるフォームで、アームアングルもかなり低く、190cmを超える身長であるにもかかわらずリリース高さは150cm程度。参考までに、同じ左サイドハンドであるA'sのサム・モールは身長175cm程度ですがリリース高さはだいたい160cmです。いかにフィッシュマンのアングルが低いかがわかる値かと思います。(ちなみに、フィッシュマンと比べてエクステンションの長さからかマリナーズのポール・シーウォルドのほうが10cm以上リリース高さが低いです。やばすぎ。)
 フィッシュマンは球速も遅く、速球スライダー共にスピンレートはあまり高くないですし、特に打球速度を抑えるのに長けているわけでもない選手です。しかし常に及第点以上の奪三振力を披露するほか変則リリーフ左腕にありがちな制球難による四球量産があまりなく快適に見ることができるようです。個人的にはSTでうまくいけばロスター入りする可能性はここまで紹介した4人のマイナー契約した選手で一番高いのではないかと見ています。

終わりに

 このオフに加入した選手を前編と合わせて一気に紹介しました。次回は野手編…と言いたいところですが、僕に野手を分析し評価するという経験や必要な知識があまりないのとこれから多忙になることが予想されるため(というか受験生なのに暇そうな振る舞いを見せているのがおかしいのですが)あまり書く可能性は高くないです。期待せずにお待ちください。


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