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【OAK】今年のアスレチックスのここを見ろ!

 ついにドジャースとパドレスの開幕戦がソウルで行われ、それに続いてアメリカ本土での開幕までも残り少なくなってきました。今回は、112敗を喫した最悪のシーズンからの巻き返しを図る、もう上がり目しかないアスレチックスの何に注目すべきかを戦力分析を交えながら解説します。


若手野手の成長

 アスレチックスのような再建期のチームにとって最大の楽しみは何と言っても若手がメジャーで活躍することです。昨シーズンはアスレチックスから14人の選手がメジャーデビューを飾り、うち11人が今シーズンもアスレチックスで戦います。

 特に野手陣では内野コーナーのJD・デービスを除けば頼れるベテランがいない一方期待したい若手が多くいるという状況です。

 彼らを中心とした若手選手の中から、特に私が注目すべきと考える人を挙げてみました。

ザック・ゲロフ:昨季の大ブレイクは本物か

 昨季夏にデビューした二塁手ザック・ゲロフは、デビュー後打ちに打ちまくり、8月の最優秀新人賞も受賞。69試合の出場でホームランと盗塁はともに14個でした。これは、フルシーズンでなら30-30を達成するペースです。

 2年目となる今季は更なる飛躍が期待されますが、一方で期待と同じくらい課題も山積みです。ゲロフはスイングに占める空振りの割合が33.7%と、メジャー下位10%相当の数字を記録。特に左投手の変化球に対して苦戦しています。

 アスレチックスはゲロフに代わるセカンドがこれと言っていない状況です。ゲロフは左肩の故障を何度か繰り返しているため、派手な活躍の前にひとまずは怪我無くシーズンを終えることが最優先でしょう。

 さて、その派手な活躍の話をしましょう。昨季のゲロフは69試合でfWAR2.9を記録しました。単純計算が当てはまるなら今季は少なくともWAR5.5以上の活躍が見込めます。

 しかし、有力な成績予測システムは軒並みゲロフが成績を落とすと予想しており、シーズン通算でWAR2~2.5ほどに落ち着くとされています。確かにマイナーでも飛びぬけた好成績を出したわけではないゲロフの昨季の成績は上振れと言われても仕方ないですよね。

 どのシステムでもゲロフの打撃は平均程度に落ち着くとされていますが、ぜひ予測を裏切る活躍をしてファン投票でオールスターに出られるくらいを目指してほしいものです。

タイラー・ソダーストロム:変化球対応向上で目指せ不振脱却

 昨季アスレチックスのマイナー最高の若手として、MLB公式のプロスペクトランキングでは最高で全体34位に位置した打撃型捕手タイラー・ソダーストロム

 昨季オールスター休み明けにメジャーデビューを果たしましたが、打率は1割台、OPSも5割にすら乗らず、同時昇格だったゲロフとは対照的な成績を残しました。

 スプリングトレーニングでも結果が出せずマイナースタートが決定しましたが、腐らず頑張ってほしいところです。捕手は現在レギュラーにシェイ・ランガリアーズが座るものの攻守両面において頼りなく、控え捕手に至っては層が金箔並みに薄い状況。ソダーストロムが打撃を向上させてDH兼控え捕手にハマってくれればチームとしては大助かりなのは言うまでもありません。

 立場的にソダーストロムが1年間マイナー漬けになることはなさそうなので、昇格時にどんな進化を見せてくれるか楽しみにしています。

ジェイコブ・ウィルソン:今季デビューの可能性は?

 昨年のドラフト1巡目、全体6位で指名され入団した遊撃手のジェイコブ・ウィルソンは、昨季のうちに傘下High-A級ランシングまで昇格しました。

 今春のオープン戦でもメジャーの投手を相手に一定の出場機会を得て打率4割超え、三振も少なく抑えるという活躍を見せています。実力的には今シーズン中にもメジャー昇格を果たすという予想は全く的外れではありません。

 メジャーのキャンプにも招待選手として参加していましたが、早い段階で登録上はマイナーに再配置されたので開幕メジャーという可能性はないでしょう。あまり早く昇格させるのも良くないのでこれには一安心しました。

 しかし、アスレチックスのショートの選手層に目を向ければ、開幕スタメンが有力視されるニック・アレンはここ2年打撃で結果を出せておらず、今オフにメジャーの枠に入ったダレル・ヘルナイズは攻守共に未知数です。

 後述するベテランのアレドミス・ディアズも昨季ショートでの出場がありましたが守備面で不安を露呈し、打撃でも不満なパフォーマンスでした。今年彼がショートを守るとすればよほどの緊急事態でしょう。

 そういうわけで、アレンとヘルナイズ(と2021年ドラ1のマックス・マンシー)の成績次第ではウィルソンにお鉢が回るという可能性も十分考えられます。当てる能力はかなりのハイレベルなので、全く刃が立たないという事態は考えづらいというのは強みになりそうです。

 一方で、かなりパワーレスである点は要注意。今のところマイナーでも長打の量産は期待できず、メジャーに上がると球威に押されて内野ゴロばかりになる恐れはあります。

 身長は180cmあり決して低いわけではないため、多少バルクアップしてパワーを付けてからの昇格としたほうが活躍の確率は上がると思います。

投壊の再来は防げるか

 投手陣は、少なくとも昨季よりはマシな状態で開幕を迎えそうです。先発陣をローテ4番手まで実績十分な選手で埋めており、開幕ローテが皆メジャー経験の少ない選手だった昨季と比べると大幅に改善していると思います。

 一方でブルペンはと言えば、あまりいい状況とは言えません。クローザーのメイソン・ミラーはここまでとても順調ですが、中継ぎ転向の経緯を考えるとたくさん投げさせることはできず、あまりあてにしてはならないのは間違いありません。(詳しくは以下の記事をご覧ください)

 昨季活躍したルーカス・アーセグも打者を制圧するのは得意な一方で制球に難があるため安定感に欠け、ほかの選手も実績不足だったり怪我がちだったりと不安要素が多くここぞという時に頼れるリリーバーがいません

 改善されたと思われるとはいえ、個人的にはかなり危機的な状況だと思っています。先発が崩れればブルペンが力不足で昨年のようになる、というのは十分考えられるシナリオです。

 一方でここ数日で他球団で開幕ロスターを逃したベテランを続々と獲得しており編成側も現状を良しとしていないことが伺えます。昨季も開幕後にウェーバー経由で優秀な選手を発掘しており、序盤悪くてもそこから更に悪くなることはないと信じたいです。

その他

 仮にも戦力分析を標榜した手前、扱わなかったポジションがあるのは良くないと思うので書いておきます。

一塁手

 昨季ブレイクしたライアン・ノダがレギュラーを務め、ほかにセス・ブラウンやサードのレギュラーのJD・デービスが守る見込みです。安定してある程度の好成績を残してくれそうな面々ですね。

三塁手

 先述のデービスがメインで守るほか、トレード加入のエイブラハム・トロと先述のダレル・ヘルナイズがサブで入りそうです。これだけでも十分充実している感じはしますね。

 デービスが打撃である程度の成績を残すでしょうし、故障者リストにいるアレドミス・ディアズやマイナーにいるジョーダン・ディアズなどのことも考えると心配なさそうです。

外野手

 主砲のブレント・ルーカーと古株のセス・ブラウンはある程度出場機会を得るでしょう。センターを争うJJ・ブレデイローレンス・バトラーエステウリー・ルイーズはどれくらいのパフォーマンスを残すかが未知数で、これは右膝半月板の損傷で離脱しているミゲル・アンドゥハーにも言えることです。

 全体として天井が高い一方で底が低い選手が多く、結果を予想するのが難しい状況です。控えレベルの層が薄いのが心配なところ。

おわりに

 最後までお読みいただきありがとうございました。アスレチックスが見ていて素直に楽しいと言える試合をしてくれるように心から願っています。

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