ピクセルの行方

Webサイトの長さの代表的な単位にピクセル(px)が存在します。
しかしこのピクセルも将来的に扱われ方が変わってくるような気がしてなりません。

ピクセルとは

ピクセルというのは、映像の最小単位の事です。
現在多く普及しているFull HDの場合、1920×1080pxですが、これは1920個の粒が横に並び、それがさらに縦に1080本並ぶ事によって映像を作り出しています。
画面を構成するための、ほんの1粒がピクセルです。

ディスプレイの解像度が低かった時代、640×480pxや、1024×768pxのVGA画質のモニターが主流であった時代は、ピクセルという単位で幅や長さを指定するのは当たり前でした。
Webサイトにおいても、1ピクセルの線もまだ太く見えた時代、フォントもMS ゴシックでカクカクのレトロゲームのような見た目。
この頃は1ピクセルが目に見えて大きかった時代です。

4K解像度が当たり前になってくると…

Macは早い段階でRetinaディスプレイという高画質なモニターを搭載し、現在ではMacでなくても4Kディスプレイが登場し、高画質が当たり前になってきています。

4Kディスプレイになってくると、なめらかで繊細な表示が可能になりますが、当然それだけ1ピクセルの大きさが細かくなってきます。
もし今後ディスプレイのコストダウンが可能になって、4K以上のディスプレイが主流となってきたら、1ピクセルは視認する事すら困難な値となり、ある程度の拡大を行われた上で出力される可能性さえあります。

さらに言えばスマホではとっくの昔に高画質なディスプレイが当たり前となっており、HD以上の画質が手のひらに納まるサイズになっています。
そのような端末で1ピクセルと言えば、もはや視認できるレベルではなく、実解像度で16ピクセルのフォントサイズを表示しようものなら、読めるか読めないかの、きわどい大きさとなります。
だからこそWebブラウザでは、機種ごとに定められたビューポートサイズを基に、ある程度拡大表示されています。

Webの最小単位が変わりつつあるかもしれない

このように、ピクセルをもはや実際のピクセルとして扱われておらず、ある程度の拡大表示が伴っている状況もあるため、画素の最小単位をWebサイトの最小単位として扱うのにも、限界があるのかもしれません。
もしかしたら「画素の最小単位」ではなく「Webの最小単位」というものが定義される可能性もあるかもしれません。

未だにピクセルという値は使われていますが、おそらくは互換性を維持するために、ピクセルの値は廃止しないと思います。
しかし、高画質化してゆくディスプレイ、手のひらに納まるスマホの高解像度を目にし、ピクセルという単位に疑問を感じなければ、Webサイト制作者としての将来も暗いのではないかと思います。
ましてや、フォントサイズには特定のピクセル数を入れるのが常識だからと、可読性よりも何ピクセルが設定されているかどうかに目をやるようでは、閲覧者の事を何も考えていないでしょう。

Webサイトの技術は、明らかに閲覧者の事を考えて進められていると思われます。
デザインを組むのも、コーディングするのも、全ては様々な端末でWebサイトに訪問する閲覧者のためである事を忘れてはいけません。

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