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U-NEXTには「人」がいます。

皆さんはじめまして。動画配信サービス「U-NEXT」の林です。「配信サービス」というものは、どうしてもデジタルな顔つきをしているので、サービスの中に生身の人間がいる気配をあまり感じられないのではないでしょうか。僕自身がいちユーザーだった時も、そんな印象を抱いていました。

でも、そんなことはないんです。生身の人間がゴロゴロいるんです。…という「生身アピール」をするために、ここではU-NEXTの中で映画コーナーを担当している部員たちが、生の映画情報、生の業界情報…などを生臭く投稿していくつもりです。

今回は一発目ですので、僕たちU-NEXT映画部がどこを目指しているのか、という大枠のお話をしたいと思います。

ロールモデルは「伝説のレンタル店」

プロの目利き力でこだわりの映画を仕入れ、眺めるだけで知恵が付きそうな棚を作り、ディープな映画知識に溢れた滋味深いフリーペーパーを毎月手作りするお店。

常連さん一人ひとりの映画の好みはおろか、その日の天候やお客さんの表情から気分や体調を読み取って、ベストな1本をオススメしてくれるお店。

かつてそんな「伝説のビデオレンタル店」とも呼ぶべき存在が、日本中にポツポツと点在していました。その1店1店が、エリアの映画ファンを育て、映画偏差値を高め、ひいては日本の映画文化を支えてきました。

恐れながらも僕たちは、そんな存在になれたらいいなと思って毎日を過ごしています。

間口は広く、奥行きは深く

そこを目指す上でまず必要なのは、当然ながら品揃えです。U-NEXTでは昨年から見放題作品を急速に充実させていて、今ではライバルと比べても断トツの作品数を誇るようになりました(2018年10月15日現在、配信中の見放題映画は5,880作品)。

もちろん、大切なのは本数ではなく、ラインナップの中身です。誰もが知っている超大作は当然のこと、小粒だけどエバーグリーンな良質作や、パッキパキのコアファン向け映画も、どこにも負けないつもりで増やし続けています。キーワードは「間口は広く、奥行きは深く」。

正直な話、売上金額や視聴UUなど目の前の数字だけに囚われていたら、小津も黒澤もベルイマンもちゃんと揃えようとはなりません。香ばしい未公開サメ映画を大量に並べようともなりません。

でも我々は揃えます。だって、小津や黒澤やベルイマンやサメのいない「映画のお店」なんて、信頼できませんよね?

…などとエラそうに言いながら、我々の品揃えの旅は、全くもって途上です。これからも駆けずり回って、ラインナップを強くしていきます。

確信犯的非効率という戦い方

品揃えと同じくらい大切にしているのは、特集です。レンタル店におけるいわゆる「棚組み企画」(=ひとつのテーマで複数の作品を括る企画)というやつです。

U-NEXTでは、社外にいる映画のプロたちにも手伝ってもらって、毎月たくさんの特集を生み出し、それぞれの作品に各特集用のコメントカードも付けています。3年前から作り続け、その数、映画ジャンルだけでも既に1,500以上。この特集によって、さまざまな切り口から新しい映画に出会えるチャンスを作り出しています。

画面上ではこの特集を、お客さんの視聴履歴によって並べ替えて表示しています。つまり、100万人のお客さんがいたら、100万通りの好みに合った店頭が作られる、ということです。

目先のデータだけをヒントに仕入れを行い、それらを人気順や粗いジャンル別に並べるのは簡単です。でもそれだけでは「お店」として、「場」として、何か物足りません。配信サービスが得意とするデジタルさと効率性に、確信犯的アナログさと非効率を織り交ぜることによって、「伝説のレンタル店」の次の形を生み出せないだろうか?この国発のサービスとして、そこを目指すのは使命であると同時に、「資本力ドッカン」以外の正しい戦い方なのではないかと考えています。

というわけで…

アナログと非効率の流れから、冒頭の「生身」に戻りますが、我々のサービスは、生身の人間が、ああでもないこうでもないとブツクサ呟きながら、売り場を作っています。

毎日、お客さんに喜んでもらえる映画を仕入れに出かけているし、カウンターに立ってレジの売上データとにらめっこしているし、スタッフルームで棚組み企画を考えてコメントカードをこさえているし、棚は乱れていないか、お客さんはどんな表情をしているか…と店内をうろついています。

僕たちがどんなことを考えてその映画を仕入れ、特集を組んでいるのか。その目論見がハマって嬉しいとか、スベって切ないとか。次回以降、そんな生身の体温を届けつつ、読者の皆さんが今夜見る映画を気楽に見つけられるような、そんな場にできたらと思っています。