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【新しい経済】世界的トレンドの「ゼブラ企業」とは?

2月も3週目で今年度もそろそろ終わりが見えてきましたね。
周りを見渡せば、確定申告でバタバタしている友人が多い、河合です。

そういえば、弊社の太田が作成してくれた採用ページからメンバーを募集していますので、ご関心ある方々はぜひお申し込みくだいませ。
スタートアップか、ソーシャルセクター(事業型NPOなど)での実務経験がある事が条件にはなっていますが、行政とのお仕事や、地域のあらゆるステークホルダーの方々との協働、日本では事例が数件しかない事業など、UNERIという箱を用いてゴリゴリ事業を動かしていこうという気概のある方々や、そんな会社を支えるバックオフィスを募集しています。

①ビジネスには3つのタイプが存在している
②認知度6.1%「インパクト投資」が導く未来
③SIBで訪れる資本主義の再定義
米国で注目!ゼブラ企業の存在(⭐️本日はここ⭐️)

世界的トレンド「ゼブラ企業」とは?

皆様は、「ゼブラ(Zebras)」と呼ばれる存在を聞いた事がありますか?

「ゼブラ企業」とは、自社の利益を第一義とするのではなく、より良い社会を作る事を目標に、緩やかな永続的な成長を遂げる会社群の総称です。

2020年の10月に日本経済新聞に掲載された直後、一気に様々なメディアで取り上げられ、2019年よりウォッチしていた自分としては日本市場での明確な反応の変化にとても驚いていました。

記事の中にもあるように、成長と社会課題の解決の両立を目指す企業=「ゼブラ企業」という表現がされています。
ゼブラ企業が誕生した背景には、既存産業を破壊してでも急成長を追う「ユニコーン企業」への反発があります。大型の資金調達や新規株式公開(IPO)だけがスタートアップではない、という課題意識がアメリカの中で生まれ、現在では世界中に広まりました。
では、ユニコーンとゼブラは具体的に何が異なるのかを次は解説していきます。

ユニコーン企業?ゼブラ企業?それとも??

今、日本社会においては「ユニコーン(時価総額10億ドル以上の未上場企業)」を賞讃する風潮が強いです。

ユニコーン企業とは:
評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業
「創業10年以内」「評価額10億ドル以上」「未上場」「テクノロジー企業」といった4つの条件を兼ね備えた企業を指す。
ですので、上場をすればユニコーン企業では無くなります。
例)過去のユニコーン企業には、メルカリなどがございました。

筆者は名古屋拠点で仕事をする事が多いのですが、地方都市であれば東京と比較して尚更その傾向が強いですし(スタートアップ支援=次の産業政策の重要課題という文脈で始まっている為)、ユニコーンを何社輩出するか、そのためにはどのようなKPIを立てるのか、という議論に上がることは多々あります。
せっかくなので、内閣府の「スタートアップエコシステム拠点」に採択されている、愛知県・静岡県の「Aichi-Nagoya Startup Ecosystem Consortium」の概要をご覧下さい。

記事の中を見て頂けたればわかるように、愛知県は「企業評価額1,000憶円以上企業創出を5社以上/10年間」というTOPの目標が設定されており、事実的に10年間でユニコーン企業を5社輩出する、というのがKPIになっています。

では、反対にゼブラ企業とは、ユニコーン企業と比較してどのような企業群なのでしょうか?

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出典:Tokyo Zebras Uniteの公式noteより引用

この表をみてみると、起業家、ないしは起業家支援をする立場にいる方々の中で、もしかしたら「ゼブラ企業に該当するかもしれない」と思うかもしれません。
スタートアップは、VCから資金調達をすることで赤字を掘って急成長を目指して(=Jカーブを描く)、破壊的イノベーションで急拡大を目指していきます。そして、VCから得た資金源の多くはエンジニアの人件費に投資して、より多くのユーザーに広げるWebサービスである傾向が強いため、ゼロサムゲームになりがちです。

例:株式会社タイミーなどは、スタートアップの中のスタートアップだと私は思っています。参考記事はこちら

しかしながら、SDGsという言葉に代表されるように、有限である地球をよりよくする事業、受益者負担では成り立たない社会課題に挑む起業家こそが求められている一方で、既存のVCの力学ではファンドの運用期間が5年や〜10年という期限がある為、投資先が遅くとも10年以内にEXIT(IPOかM&A)してくれないとビジネスモデルが成り立たない制約付きなため、ゼブラ企業志向の起業家に資金的リソースが流れない構造になっています。
だからこそ、無意識にユニコーンを目指すことを促進して良いのか、という問題意識が生まれ、Zebras Uniteという団体がアメリカで立ち上がりました。ゼブラ企業は、Zebras Uniteという世界的な団体が提唱をしてから、世界中に支部が出来る形で広まっており、日本には東京に1つ支部が存在しております。

Tokyo Zebras Uniteとは?

Tokyo Zebras Uniteは、世界的なムーブメントであるZebras Uniteのローカルチャプター。日本のゼブラ起業家やゼブラ起業家へ投資を検討されたい方、その他ゼブラに関わる支援者、研究者、政策関係者等のコミュニティです。

Tokyo Zebras Unite公式noteがまとめたゼブラ企業とは、という記事はこちらに詳しくまとまっているので、ご覧ください。

振り返ってみると、私(河合)の親しい起業家の多くはこの「ゼブラ企業」に該当し、「ユニコーンを目指していない自分たちは一体なんて呼ぶのだろうか。スモールビジネスでもないし、第三者に説明しても理解してもらえない。」という悩みを抱えていました。
ユニコーンを目指すTHEスタートアップ企業の方々の出口戦略や資本スキームは整ってきており、それはとても嬉しいことです。
IT系スタートアップで上場したり、東証一部の大企業まで育てあげたりした敏腕経営者の方々がエンジェル投資家やメンターとなり、次世代の起業家へバトンを繋ぐ姿は非常に美しいです。

その反面、ゼブラ企業寄りの起業家にとっては、EXITまでの道筋がほぼ存在していない、一歩先を歩く先輩起業家が明確ではないという状況であります。

全国の若手ゼブラ企業とZebras Uniteを囲む会

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そのような課題感を持っていた弊社では、2020年9月28日、Tokyo Zebras Uniteを囲む会を開催しました。

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当日は、東京・京都・北海道・石川・名古屋で会社を経営している起業家にご参加頂きました(多すぎると濃密な議論が出来なくなるので人数を限定)。
当事者だからこその踏み込んだ悩みや、課題感を整理できる時間は大変有意義であり、資金調達に関する相談はとても盛り上がりました。

ユニコーンを目指すスタートアップであれば、基本的にVCから資金調達し事業を大きくしていきます。
ゼブラを目指すスタートアップであれば、資金調達の手法は様々です。
傾向としては、MVPに近い場合は購入型クラウドファンディングを実施しているケースが多く(7人中5人が実施済みで数100万円の調達経験がある)、スケールさせるために、レベニューシェア型の資金調達や、当座繰越という手法で銀行から資金調達するケース、伝統的な補助金や、融資を用いているケースなど、本当に様々です。
株式投資型クラウドファンディングというのもここに該当するケースが多いです。
私としては、このような企業群の為と最も相性が良いのが地銀・信金だと思っているのですが、現状の構造としてはそのような取り組みを行っている企業は数社のみです。

このように、ゼブラ企業を目指す起業家の多くがロールモデルが存在しておらず、VC目線でいうとスケールメリットが比較的少ないために投資しない、という力学が働いています。
弊社としては、この現状を正しく理解して上で、ゼブラ志向の起業家にも適切に資金的リソースが流れる社会を実現していくため、現在新しいサービスを開発中です。

4週連続【新しい経済】は今回で終わりです

皆様、いかがでしたでしょうか?
ソーシャルインパクトボンドや、社会的インパクト投資、ゼブラ企業。
おそらく、どれも聞きなれない言葉ばかりで初めてしる概念だった、という感想を持つ方々が大多数なのではないでしょうか?
ご感想や、今後の要望があれば、お教えくださいませ。

弊社のVisionでは「つくる人の可能性を耕し、豊穣な生態系をつくる」という言葉を掲げています。ユニコーンを目指すスタートアップのような起業家(つくる人)には資金的リソースが周り始めている一方で、ゼブラのような起業家や社会起業家には依然として構造的に資金的リソースが流れにくい構造になっています。
我々はその壁を取り払い、適切な資金が流れ、社会の構造に新しいうねりを起こすサービスを現在準備中です。特に、金融の実戦経験をのある方々を募集しておりますので、もしご関心のある方はご連絡、お待ちしております。
次週も、お楽しみにしていてください!

P.S.
また現在UNERIでは、スタッフを募集しています!
一度話を聞いてみたいという段階でももちろんOKですので、お気軽にお問い合わせ/ご応募いただけると嬉しいです。


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