🐉衣装歴史学 其の一、坂本龍馬　七十一

七十一、

第二の征討戦で東は大山、だけではなかっただろうが兎も角も便宜上指揮者の筆頭を大山として、作戦が曰く“神がかり”的に的中して戦果を上げる。まあ筆者としては幕府軍事機密漏洩、つまりダダ漏れだったとし、陣頭指揮を採る方としては赤子の手を捻るレベルだったのでは…と一石投じて。戦とは、作戦の巧拙次第で、例えば近代の朝鮮戦争、軍事力の差が天と地の米軍を中共軍・金系朝鮮軍の連合がひっくり返した事もあるぐらいだから。と当方も逸脱をしてはいられない。先へ、と。

西の所謂“四境戦争”、これも資料を見て甚だ語るに足らなく。というのは徳川方の将軍が急死。この急死前後も西側徳川連合軍と長州側はどっこいどっこいの押し合いを見せていた様だが、ここら辺は諸説ある。例えば小倉は九州諸藩、見捨てた？等。こういう戦況分析は軍事好きの方に譲って。まあ結果の結果は将軍の死で、それを境に元から消極的、ざっくばらんにこんな戦に参加する義理なんてねぇよ、な九州諸藩が一気に手を引き。

戦争は長引かなかった。初戦段階で長州が奮闘し、幕府側の統率がにっちもさっちも行かなくなって収束した。簡単に記述すればこんなもんだ。

ここで少々気になるのが、坂本の参戦…

火事場のどさくさ紛れに船で幕府軍を砲撃している…

何をやっているんだか…

まあ西側の総督の一人に高杉もいて。
こういう悪さするからよう…

と大人視点。だが付点を打ちたいのは、幕府軍に海から砲撃した、海戦に参加した、とは坂本龍馬、いよいよの討幕思想活動に振れ切った第一の証拠、と指定出来る。

そもそもの曰く“坂本龍馬”にとっての“討幕”とは？

また改めて再考してみたくもなるが、進まなくなる。故に次へ。

戦の期間であるから、長州国内はフル回転で。何もかにも収集付けられない状況ではあっただろう。そしてその長州“贔屓”の軍需物資の物流面に関わる各関係者、これもしっちゃかめっちゃかであっただろう。

意外と西で一進一退…まあ高杉苦戦説も…兎も角もの情報の混線で。

中岡・坂本のバディ。舞台は四境、つまりは下関の海一帯の移動。中岡はどうか…戦に参加してた？もう一押しのつまりで、謂わば高杉の指揮下、であったか？管轄内、と言った方がしっくりくるか。そして少し上記に話を戻し、坂本が海戦に参加した形跡がある、という事は…

よく伝わる…勝や春嶽との手切れ、と見る事も出来る。

方や幕臣と徳川の家柄。徳川幕府の最重要要職者。

ある意味、坂本にとっての数少ない強み、といえばか細い様な昵懇密な様な“江戸コネクション”であっただろうに、これと事実上切れる、少なくとも帳面的には。筆者は勝ー坂本間の師弟関係をかなり穿って見てるので、上の様に判定する。

翻れば、“江戸コネクション”より強い界隈に踏み込んだ、という事だ。そしてそれはこの“明治維新”のドラマを彩る主人公達との連なり、と。言わずもがな、そう解釈して。

残酷に言えば、“志士・坂本龍馬”にとって“江戸コネクション”が不要になった、と。長州の勝利が、悪い言い方で“末端”も“末端”、お国を脱藩した行き場のない浪人達の心理も、“討幕一色”へと染まった、と。そう見地を付けよう。

余計かも知れない付け加えとして、大山達東部戦線に招集されていた兵士達は大方身分の低い、敢えて乱暴に言ってしまえば“被差別”者達だった。これは上手い。桂なのか聞多なのかそれとももっと上の長州上層部だったのかは知らない。だが血の熱い曰く“長州志士”達は晋作・山縣の方へ。身分制下のやる方ない憤懣を抱いた男達は、新しい身分で振り分けられない世作りを目指して、新参の大山がいる所に参じた。東西、両パートで思う存分戦えるな、とこれは。こんな機転の効いた配備を思い立ったのは？誰であるのか…