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29. 空港での出来事(その4:成田空港で)

最近は羽田の国際便が増えて、近い方が便利なのでほとんど成田に行くことはなくなりましたが、10年位前までは国際便と言えば成田空港を利用していました。
 
そんな何度も行った成田で一番印象深い出来事と言えば…。
 
湾岸戦争勃発の日にLAに出発するため成田空港にいたのですが、通関後に会社から呼び出しが。
 
当時は携帯なんてなかったので、搭乗口前のベンチにいた我々のところに空港の職員の方がやってきて「K社の方、いらっしゃいましたら会社までご連絡ください。」
そこで、我々の一人が公衆電話から会社に連絡すると
「『皆さん、出張は止めて帰ってきてください。』だってさ。」
え?でも航空券は払い戻しされないですよ。
「社長が『キミたちを危険な目に合わせるわけにはいかない』とおっしゃっている。」
 
まさか搭乗直前で出張取り止めとはね。
 
こっちもテレビでニュースを見て、渡航禁止にはなっていないものの不安には思っていたのですがねぇ。
 
でも、搭乗口付近はいつもと変わりない様子で、それほど乗客の多いフライトではなかったためか、その時渡航をやめたのは我々だけでした。
 
空港職員の方について戻る途中で
「ああ、皆さんの中で免税店で買い物をされた方、いらっしゃいますよね。」
問われるまでもなく、我々のほとんどが免税店の袋をぶら下げているのを眺めて
「それ、返却してください。あ、もちろん料金はお返しします。」
えぇぇ。そうなの?
ということで、せっかく買ったUS支社へのお土産や、向こうで飲もうと思っていたお酒などを没収されて(まあ、お金は返してもらったものの、なんだか損をした気にはなりましたのでね)、また夕刻のラッシュ時にかなりの時間をかけて会社に戻りました。
 
事務所で我々を待っていた社長が
「ん?なんだキミらは戻ってきたのか?オレは明日から行くぞ。誰か一緒に行くヤツはいないか?」
 
…。
そんな冗談を聞かせるために我々を待っていたんですね、さっき成田で聞いたハナシとはずいぶんとちがいますけど。
 
はるばる成田からトランクを抱えて満員の通勤電車(と長い通路を歩いて東京駅で乗り換えて)で帰ってきた我々は、脱力して「…。ハハハ。」とタメ息交じりに笑うしかありませんでした。
 
実はその時準備のため日本から一人だけ先乗りしていた同僚がおり、我々がやる予定を押し付けられて大変だった由。
 
でも帰国後に一番文句を言っていたのが同室になったUS支社のヒトがズボラだったこと。
「あいつ、先にチェックアウトしたのはええねんけど、パンツと靴下🧦置いてきよった。」
 
成田ではもう一つビックリしたことがあり、これももう20年以上前のことになりますが、帰国時に入国審査で日本人の列に並んだら、ボクの後ろに金髪碧眼のバックパッカーがいたので、
 
“This line is for Japanese.”
(ここは日本人の列だよ)
と教えてあげたら
 
“I am Japanese. But, I don’t speak Japanese so that would you help if I will be in trouble.”
(僕は日本人なんです。でも日本語は話せないので、もし困るようなことがあったら助けてもらえますか)
 
へぇぇ…。
そんなヒトもいるんだと思いましたが、まあこれも人助け。
彼を先に行かせて後ろから見ていたのですが、特に何かあったわけでもなく、無事審査をパスしてこちらに手を振って通過して行きました。


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