生まれたてのキーボードを連れて駆け回った1年
この記事はキーボード #2 Advent Calendar 2024 7日目の記事です。
前の記事は is_wateringさんの「自設計キーボードまとめ 2024」でした!
じつは、同氏のISWシリーズから目が離せない私です・・・!!
ゲームや様々な世界観にインスパイアされたデザインや、蒔絵調の銅箔層アート、無骨に見せないミニマルなポインティングデバイスの組み込みなど見入ってしまうものばかりなんですよねー^^
さて、毎度ながら最初に簡単に自己紹介をいたします!
YMGWorks(やまG)と申します。
数年前より、自作キーボードのことが毎日頭から離れなくなってしまった者です笑
X(旧Twitter)@ymg_yamagにてキーボード関連のあれこれやをつぶやきつつ、BOOTHにて左右分割キーボードTheEndシリーズの頒布をしています。
今年2024年は年初に設計した、TheEndpointというキーボードが生まれ、生まれたてのキーボードと駆け回る中で、様々な出会いや体験がありました。
気がつけば、人生で指折りの味の濃い1年でしたので、以下に振り返っておこうと思い立ちました。
※本文中、一部、関連する方々のお名前をXのユーザー名(@ユーザー名)の形式で表記させていただいております。
【1月】左右分割ポインティングデバイス搭載キーボード・TheEndpoint爆誕!
2024年は幸先よろしく?キーボードの設計から始まりました。
年始は、23年夏ごろから試作していた、
ポインティングデバイス一体型分割キーボードの最終化を進めていました。
実は、構想はもっと以前に遡ります。
当時は
@aki27kbd氏のMeishiTrackballModuleや@4py1氏のAZ1UBALLなどが登場していました。これらの魅力的なポインティングデバイスモジュールへ対応した基板を設計しよう!というのが、元々のコンセプトでした。
そんな中、トラックボール搭載キーボードReexシリーズの設計者である、@kushima8氏から、PMW3360のブレイクアウトボード(by kbjunky氏)をお勧め頂き、自作モジュール開発を行うことにしました。
公開データの構成を踏襲しつつ、配置位置の制約を考慮して、ケーブルコネクタ式の仕様としました。
この仕様により、人差し指位置への実装などが可能となりました。
同時にReexシリーズでも採用されている、3Dトラックボールのケースデータや試作品などを公開・ご提供を頂けたことが、とても大きな後押しとなりました。
ベアリング式のケースは操作感がよく、組み込みも容易でした。
シンプルな構成でありながら、非常に練られたデザインとなっていると感じました。
@kushima8氏からは、完成後も様々なご支援やアドバイス、公開データのアップデート等を頂いており、改めて御礼申し上げたい次第です。
さて、様々な方々のプロダクトにも刺激を受けつつ完成した、TheEndpointを片手に、特濃…1年が始まりを迎えました笑
【2-3月】 熱狂!盛況!キーボードマーケットトーキョー2024!
前年の天下一キーボードわいわい会で突如、待望の自作キーボード即売会「キーボードマーケットトーキョー2024」(以下、キーケット)の開催が発表されました。
これまでオンラインや委託販売がメインであったこともあり、個人的には大変楽しみなイベントとなりました。
一方で、対面を想定した什器や梱包、商品説明のポップ準備、決済手段の導入、旧正月踏まえた海外への発注スケジュールなど、色々と検討することも多く、手探り感満載で臨むことになりました。
幸い、先述のTheEndpointの設計・頒布の目処はついていたので、準備に専念することができました。
やって良かったことなどは、以下の記事にもまとめております(キーケット2025に向けて、now準備中の私が読み返して、現状の進捗鑑み青ざめておりますが…)
当日はなんと1,000人を超える来場者ということで、急遽整理券が発行されていました。
想像以上の熱狂ぶりでしたが、スタッフの皆さんの対応のおかげで、スムーズに入場が進んでいました。
開場後、どっとお客さんが入ってくる様子が今でも、印象に残っており、自キ界隈の底知れぬ熱量を感じました。
弊サークルには試打コーナーも設けていたので、見て触れて、たくさんお話もできたことが良かったです
ステッカーはまさにそれなのですが、もう一つキーケットを機にやってみたことがロゴの刷新でした。
Xのアカウントの「おじさんマーク」がすっかり定着して、ショップロゴにもしていたのですが、実は長らく、商用可のフリー素材を使わせていただいておりました^^;
かくして量産型おじさん(これも素敵なロゴで気に入っています^ ^)→オリジナルおじさんへリニューアルを遂げることが出来ました。
イラストは大学時代の後輩が描いてくれました。
趣味でPCでお絵描きするよ、ということだったので、QuicqPaintを進呈して沼にお誘いしておきました。
【3月】@dombrick45(t-miyajima)さんpresents~秘境の自作工房 叢華《Murahana》自作キーボード座談会~
キーケットの熱狂も冷めやらぬ頃のことでした。Chavdai40%や総重量8kgのキーボードPonshu70の設計者でもある@dombrick45(t-miyazima)さんより連絡を頂いたのです。
兼ねてより施工を進められている自作工房にお招きいただき@alco_ramuhさん、@TatekawaYouさん、@geek_rabb1tさんと座談会をやってみましょうという、とても楽しみな内容でした。
実は、本件については、心当たりがありました…
「元凶は私でした 笑」
去る12月ごろ、@dombrick45(t-miyazima)のポストを見て、薪ストーブのあるとても魅力的な雰囲気を感じて思わずコメントしておりました。
なんとt-miyajimaさんが、すごい速さで現実のものとしてくださいました…!
さらに、キーボード関連の動画やイベント配信でご活躍されている@Daihuku0015さんに配信頂くという、素敵要素もアドオンされ、本当に楽しみな内容となりました。
(私の仕事の関係でお時間帯など考慮を頂いてしまい…改めて御礼申し上げます)
miyajima氏の工房自作の構想や苦労された点、薪ストーブのあれこれの話
縦川氏のデスクにパッと直立させられるキーボード
今やすごい完成度になっている、ぎーくらびっと氏のトラックパッド搭載キーボードfutabaの構想
alco氏の木工ノコでは切れない硬度だったり、切削過程で発火するほど油分のある、すごい木材・加工の話
皆さんの持ち寄り菓子やコーヒー、miyajimaさんが淹れて下さった枇杷の葉茶も頂きながら、随分裾野の広いこだわりトークが繰り広げられて、あっという間の時間でした。
薪ストーブを囲んでキーボード談義をしたというのもさることながら、作り手のこだわりを交流できるというのは、とても良い体験でした。
@t-miyajima氏は今も着々と、工房の施工を進捗されており、毎日とても楽しみに拝見しています!
今回は書き切れませんが、実は帰りにはKeySoundsにも参戦しました笑
【4月】Youtuberデビュー!?@DaihukuKeyboard チャンネルさんと動画撮影
キーボード関連のレビュー動画やイベントのLIVE配信などされている@daihukuさん。
リアルイベント、先述工房座談会、天キースタッフなどで、交流がありましたが、@DaihukuKeyboard チャンネルのレビュー動画制作をお手伝いさせていただく機会を頂きました!
今回は少しチャレンジングなコンセプトで、
AI搭載PTZカメラ((P)・チルト(T)・ズーム(Z))、OBSBOT Tail Air
の性能紹介がサブジェクトでした。
性能をわかりやすくお伝えするために、その最先端機能をガッツリ使い、LT形式の動画を実際に撮ってみよう!!という企画でした。
(LTする人→わたし笑)
LTの内容としては、私が自作キーボードの設計に至った経緯、トラックボール付きのTheEndpointをどのように使っているか?といった内容で話しています。
OBSBOT Tail Airについては、移動する被写体を追尾したり、リモートコントロールのアプリの操作感、ジェスチャー検知、複数の接続チャネルなど、機能の紹介、実践での活用イメージを伝えています。
いつも@daihukuさんが動画制作をされている過程に触れられたことも、とても興味深い経験となりました!
【5月】キーキャップを煮込み…?いざ天キーVol.5! 前半
柔らかな、いや季節の割には少し強めの春の日差しの中、庭にカセットコンロと鍋を置き、私はせっせと樹脂を煮込んでいました(笑)
きっかけは、以下いろいろとありました。
先述、TheEndpointのトラックボールモジュール、@kushima氏のボールケースの一部パーツには、M3のネジ、ナットを使用しており、3Dプリントの筐体で構成されています。
ちょうどホームセンターを物色していたところ、M3サイズにはクリア樹脂製のネジやナットがラインナップされているのを見かけており、装飾的なワンポイントの活用ができないかなと考えていました。
同じ頃、にちた屋さん(@nichitayasan022)という方が、非常にきれいに染色された樹脂ネジのお写真をポストされていました。
上記リンク先にポストを貼っていますが、クリアカラーが美しく、まさに求めていたニュアンスで感激していました。
感激していると、リプライまで頂いてしまい、「プラ染め太郎」(染料)を用いているとのことでした。
自分が想像していたよりも手軽に染められそうです。
以前キーキャップの染色などは、TLで少し見た記憶がありました。
染色道具は以下のものを100円ショップで買いそろえました。
深鍋
染色用のざる(ラーメン用(笑))=熱された鍋の底面にパーツが直接触れるのを防ぐ
水洗い用の水切りトレイ=ネジなど細かいパーツの水洗い用に
菜箸=樹脂製だと溶けて、染色物と癒着したりするので木製が良い
注意点としては、透明レジン造詣のパーツは、レジンの融点が低いという点です。約50℃程度ということで、初回はパーツがぐにゃりとなって焦りました(笑)。
Amazonで購入した透明キーキャップも染めてみました。
【5月】キーキャップを煮込み…?いざ天キーVol.5! 後半
染め上げたパーツを取り付けた、TheEndpointと共に、天下一キーボードわいわい会(天キーVol.6)に参加しました。
今回は、「キースイッチ総選挙」や「ちょっと気になる鍵盤トーク」など今までとは違ったお楽しみ企画があったことも、ポイントだったと思います。新しい試みで、少し文化祭のような雰囲気が出ていたのではないかと思います。
そして、私事として振り返っておくと、今回は「自作キーボードの楽しみ方」ということで、自作キーボードを始めたい方向けに、楽しみ方をお伝えするための、LTをやったという点も思い出深いです。
キーボードのリアルイベントに登壇させていただくのは初めてで、恐れ多いな・・・と思いつつ、どんな内容にしようかといろいろ悩んでいました。
やはり、何より、カッコいい・お洒落なキーボードの世界をお伝えしたいなと思い、ビジュアル多めの内容にしようということにしました。
ありがたいことに、何名かの界隈の皆さまに、お写真のご提供の協力・許諾を頂き、実現することができました。
以下一覧化にしていますので、是非覗いてみてください。
気が付けば、今年は画面に映ってお話させていく機会が多い一年でした。
毎回なかなか緊張しますが・・・好きなことについて、色々とお話できるというのは、ありがたい経験だなと振り返っております。
Daihukuチャンネルさんにもsessionをアーカイブいただきました!
【6月】快適に出会ってしまった…!@kepeooさんのすごい3Dトラボケース
そんな天キーで出会ってしました・・・いや、正確にはキーケット以来の再開というべきですが、TLでも度々お見かけしていた@kepeooさん。
実は3月のキーケットでTheEndpointを手に取っていただいており、なんと天キーにTheEndpointのトラックボールケースを自作して展示してくださっておりました!
親指位置の実装時に、よりボールが扱いやすくなるよう数度のチルト角がつけられていました。
さらに、マグネットによる上蓋が着脱式ケースとなっており、ボールの飛び出しを防ぎつつ、曲線的で無駄のない見た目にくぎ付けになってしまいました(笑)
キーボード設計を始めるにあたり、いつかオリジナルのケースを作ってもらうことが、一つの夢だったこともあり、夢が叶った瞬間でした。
なんと後日データも公開してくださり、本当にけぺおさんには大感謝です。
【7月】創作意欲の源泉・キー部8%
早速、けぺおさんに公開頂いたケースデータを活用して、JLCPCBへ3Dモデルを発注してみました。
実はやりたいことはすでに決まっていて、着弾を心待ちにしていました(笑)
そのままでも十分、良い感じなのですがこれを・・・・
しっかり染めてみましたが、これもまたいい仕上がりに!この春培ったプラ染めスキルの応用です。
満足すぎる仕上がりになったところで、いざキー部8%です!
参加されていた、ケースの設計者の@kepeooさんにもしっかりとお披露目させていただくことができました!
キー部8%は天キーと同じく、素晴らしいキーボードが集まる、リアルイベントですが、より設計や開発などコアなお話も聞ける、とてもありがたい機会です。
私にとっては毎回、創作意欲の源泉、モチベーションを頂く機会になっており、設計に必要な栄養が詰まったイベントなのだと、勝手に思っています(笑)
今回も気になるキーボード、野心的なデザインのキーボードに多く触れることができました!
【9-12月ongoing】THE End of the begining...「The Epilogue」開発進捗
去年の同じ時期にはTheEndpointの構想、ファームウエアと格闘していましたが、今年もやっぱりキーボードを開発していました(笑)
実は先述、座談会の際にも作りたい宣言をしていましたTheEndシリーズの新作。Kicadでお絵描きをしつつ、妄想を温め続けていたら、季節は巡って、すっかり秋めいてしまいました(笑)
個人的にあまり打鍵感や音にはこだわらない方ではありますが、ガスケットマウント構造を取り入れ、より打っていて楽しいものに仕上げがるとよいなと思っています。
設計上、少し高さがでそうです。モックアップを触ってみた感じも見て、パームレストも設計、今までのTheEndシリーズを踏襲して一体型設計としてみました。
もう一つのコンセプトとしてポインティングデバイスのモジュール基板対応を目指します。剣のような見た目になったので、@alco_ramuh駆らネーミングを頂き、Excaliburと名付けることに。
ロゴですが、私は絵心0点なので、羽を広げて球をもっている不死鳥というリクエストを生成AIに投げて、お絵描きしてもらいました。
THE End of the begining、終わりの始まりは、終わるのだろうか。
めざすは、キーケット25です!!!
おわりに
長文、駄文にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
今年うまれたキーボードを携えて、いろいろなところに行ったり、話したり改めてよいキボ活の年でした!
この記事はTheEndpointで書きました。
お休みは進捗させながら、アドカレ読むぞー
明日のアドカレは「ぱぱパンダ」さん【来年の抱負を語ります】です!!
お楽しみに!