メモ よくあるご質問:電子情報の保存 国立国会図書館

Q

デジタルカメラの画像を孫の代まで保存するにはどうしたらいいですか?

A

画像をデジタルデータとして保存し、孫の代まで長期にわたって見ることを可能とするには、そのファイル形式が将来にわたって使用できることが必要です。現在、一般的なデジタルカメラの画像の保存形式は、規格化された標準的なファイル形式であるJPEGやTIFFに準拠しており、将来性は比較的有望であるといえるでしょう。ただし、いつ時代遅れのファイル形式になるともしれません。そのファイル形式が利用可能かどうか、将来にわたって注意し続ける必要があります。また、画像ファイルを記録する記録媒体の問題もあります。記録媒体が寿命により読めなくなってしまう前に画像ファイルを新しい記録媒体へコピーしなければなりません。また、時代が変わり記録媒体の規格が古くなってしまった場合はその都度新しい種類の記録媒体へコピーすることも必要でしょう。このように、デジタル画像の保存には継続したコストと手間がかかってしまいます。

他に考えられる方法として、デジタルカメラの画像を写真店等で銀塩写真用の印画紙にプリントして保管する方法があります。銀塩写真とは、フィルムに記録する旧来からのカメラ写真のことをさします。銀塩写真用の印画紙の寿命は、適切に保管すれば100~150年ともいわれています。また、適切な保管場所さえ確保できれば特別な措置が不要というのも利点です。ただ、この方法ではどうしても物理的な劣化はさけられません。

まだまだ、個人レベルでデジタルカメラの画像を保存するための最良の方法は確立していないといえます。

Q

光ディスク、ハードディスク、フラッシュメモリーは何年くらい使い続けられますか?

A

CD、DVDなどの光ディスク、ハードディスク、USBメモリー、メモリーカードなどのフラッシュメモリーは、時間の経過や使用にともなって劣化するため、適切な環境で保管したとしても媒体としての寿命があります。これらの電子情報の記録媒体は歴史が浅く、その寿命に関して確かなところはわかっていませんが、加速劣化試験(製品を過酷な条件下に置き、意図的に劣化を進めて製品寿命を検証する試験)の結果などをもとにして、一般的には以下のような寿命が推定されています。

光ディスク(CD、DVDなど)

10年以上。保管環境やディスク品質によって左右されますが、条件が良ければ20~30年は使えるとされています。

ハードディスク

5年程度。精密機械なので、故障により使えなくなることもあります。衝撃や振動を避け、適切な温度管理をすることが必要です。

フラッシュメモリー(USBメモリー、メモリーカードなど)

データ保持期間は10年程度、データの書き換え可能な回数は1~10万回程度。

Q

電子メールやパソコンで作った文書を永久に保存するには、どんなファイル形式で、どんな媒体に保存したらいいですか?

A

紙に書かれたものの場合、何百年も昔の人が書いた書、手紙等が、今に至るまで保存されていたりします。しかし、紙なら当たり前だったこのような長期保存が、電子情報では大きな課題となっています。ここではファイル形式と記録媒体について、簡単に見ていきます。
パソコンで作った文章は、最も単純なテキストデータで保存しても、文字コードの違いにより文字化けしてしまって読めなくなることがあります。現在広く使われているWord文書やPDFファイルのような特定のアプリケーションに依存しているファイル形式についても、百年後も同じように読める環境があるかどうか、誰も保証できません。
また、電子情報の記録媒体の寿命はまだまだ短く、永久に保存できるというレベルではありません。
一方で、マイグレーションやエミュレーションのような対策を、個人で行ない続けることは大きな手間とコストを伴います。
現在の段階でどんなファイル形式と記録媒体が最も保存に適しているかという答えは出せませんが、このような問題の解決を目指して、国立国会図書館は調査を進めているのです。


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