南へ急ごう(on the atrantica)

地球が唐突にバグったのか、ファンタジーが侵攻してきた。
 なぜこうなったのかは誰にも分からない。各国軍は奮闘してはいるがどうにもこうにも膠着状態っていうわけよ。
 もうこうなると、新聞もテレビもネットも役立たずになり下がり、俺の商売も上がったりだ。三文記事を送る場所が見当たらないのだ。
 風の噂では俺の住む街にもファンタジー軍がもうじき攻めてくるらしい。ファンタジー軍が攻め込んだ街は略奪の嵐が吹き荒れて、ぺんぺん草一つ残さないと言われている。ヤバいぜ!

「市長、俺たちも早く逃げましょうよ」
「逃げると言ってもどこに逃げるんだよ」と市長は苦笑いをする。市長はあだ名で別に市長ではない。ただのライター仲間だ
「いずれファンタジー軍にとっ捕まえられるのがオチだぞ」
「じゃああいつらが手の届かないぐらい遠くに逃げればいいんじゃないですかねぇ、例えば南極とか」
「南極って簡単に行ける場所ではないだろう? 少しは地に足をついた考えをしろよ、バカ!」
「とりあえず南方に行きたいです」
 そんなことを言ってもしょうがないので俺と市長は持ち出せる物を持ち出してミニバンに向かってひたすら南の方向へ逃げ出すことを決定した。

【続く】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?