マガジンのカバー画像

小説牴牾 みんなおなじ

5
今を生きる”社畜先進国『日本』の現実”を書いてます。 きっと、多くの人は心当たりがある気がします。
運営しているクリエイター

記事一覧

小説牴牾(もどき) {みんなおなじ #5}

あらすじ爺さんから俺が面接を受けようとしていた会社の求める、 人材の実態を知った。 俺は恐ろしく思った。 4章 回想録<1> 「少し倅の話をしよう。」 少しばかりの沈黙の後、爺さんが発した。 倅は小学生の頃から、優等生じゃった。 それ故に、人に従い、反抗することはなかった。 先生の言うことを聞き、真面目に勉強し、みんなと仲良くしておった。 中学校になると、学級委員となったが、クラスの中心的な存在ではなかった実際のクラスの中心人物から排除された。 じゃが、誰にも相談しな

小説牴牾(もどき) {みんなおなじ #4}

あらすじ入社面接に行くはずだった俺だが、突然爺さんに話しかけられた。 爺さんが話したいことがあると言って… 喫茶店に行く道中、爺さんの悲しい過去を知ってしまった… 3章 求めるもの「まずはお主に質問じゃ。」 「お主は、あの会社がどういった人を求めていると思う?」 (ああ、確かホームページに書いてあったような…) 「確か、自分で考えて行動できる、会社の未来に貢献する人、だったような…」 「まあ、そう書いてあるがな。」 「これを見てくれないか。」 爺さんは徐ろに鞄からノ

小説牴牾(もどき) {みんなおなじ #1}

序章 俺とジジィ「はああああぁぁぁぁぁぁ~↓」 俺は”株式会社Infinitely”の面接に向かうべく、 次も満員であろう電車を待っていた。 (ったく、俺もあんなふうになるのか) 俺の周りは皆、屍で溢れかえっていた。 皆、社畜と化したのであろう。 「すみません。通していただけますか?」 (んだよ…回り道すれ…ば…いいだ…ろ?) そこには魔道士が立っていた。 いや、正しくは『魔道士みたいな老人』が立っていた。 「お主は今、『回り道をすればいいだろ』と思ったな?」

小説抵牾(もどき) {みんなおなじ #2}

あらすじ電車を待っている間に老人と出会った俺は 老人のせいで電車に乗り遅れ、面接の時間に間に合わなくなる。 「おいジジィ!どうしてくれるんだよ!」 1章 ジジィの能力「もしもし?儂じゃが。」 「此の後、面接をする予定の――」 「お主、名は何といったかな?」 「…八意…八意 幽生…」 「――八意君じゃが、面接は明日にしてくれぬか?」 「おお、有難い。また、後で連絡する。」 「ジジィ、面接の日程をずらしてまでして、俺に何がしたいんだ?」 「お主は、あのようにはなりたく

小説牴牾(もどき) {みんなおなじ #3}

あらすじ駅で出会った老人には、生まれつき心を読む能力があった。 彼は俺に話したいことがあると言って面接の日程をずらしてしまった。 俺は、少し心を開き、喫茶店に行くことを提案した。 2章 道中~爺さんの過去~ ***「爺さん。何で俺に話したいと思ったんだ?」 「お主が…儂の息子に似ててだな…」 「つい…話したいと…助けたいと…」 ――悲壮―― とは、このことだろう。 爺さんは強かに、悲しんでいた。 「何か息子さんにあったのか…?」 「倅は…」 「就活生だった頃…」