仮面ライダーゼロワン 第30話感想

飛電インテリジェンス買収

 前回、ZAIAがお仕事勝負に勝利し、飛電インテリジェンスを子会社化しました。それに伴い天津社長はヒューマギアをすべて停止リコールし、代わりにZAIAスペックを提供する発表をしましたが、どうやらうまくいっていないようで、ヒューマギアが不法投棄されているようです。

 ヒューマギアとZAIAスペックでは得意な領分が異なり両者がパイを食い合うような存在でないことはお仕事勝負が始まった当初から感じていたことではあるので、自分の目線から見ればこれは当然です。ZAIAスペックで人間の処理能力が上がっても人手不足や力仕事に関してはヒューマギアの方が得意でしょうし、そういった目的でヒューマギアを使っていた人たちからしてみればZAIAスペックをもらっても何の意味もないわけです。

 正直この点について天津社長がどう考えているのかがよくわからない。ヒューマギアは自我が芽生えたり暴走の危険性を抱えている点が問題だというのは分かりますが、ZAIAスペックでそれを代用できるという思考は理解できません。

 そもそもヒューマギアが暴走する発端は、天津社長自身が仕込んだアークによるハッキングが主であったので(チェケラのような例外もいましたが)、アークによるハッキングや自我の発生を感知して、強制停止等をするような処置を施したZAIA製ヒューマギアを売り出す方が、企業活動としては自然なように思います。そもそも飛電インテリジェンスという会社自体、ヒューマギア事業以外の事業が一切描かれていないため、ヒューマギア事業をやめてしまうと「車を作らないトヨタ」「家電、電子機器類を作らないPanasonic」「航空機を作らないボーイング」のような状態で、ただの不良債権にしかならないのではないでしょうか。

 ただ天津社長は以前にヒューマギアを踏み台とした兵器産業を成り立たせたいといった発言もしており、こちらを本当の目的とすると、今度はリコールを発表した意味がよくわからない。彼がそもそも何故飛電を買収したのか、本当は何がしたいのか、いまひとつ一貫性がないというか、不明瞭だなと感じます。


迅と或人

 買収により飛電を追われた或人はかつて敵対していた迅と会い、対話を試みます。ここで迅が或人を問い詰める内容が正論過ぎる。或人はヒューマギアを道具だとは思っていないと言いますがこれまでの経緯(お仕事勝負での匠親方増産、ヒューマギアに笑いは分からない発言等)を見ると、説得力が弱いと感じてしまいます。

 しかし結局、或人がヒューマギアに育てられ、人の死とヒューマギアの死(バックアップの消失)を等価と思っているというところに共感したのか、迅は或人に協力することを決めました。元が無邪気だったせいもあるのか、割とチョロいところがある。


不破と唯阿

 唯阿さんはヒューマギア残党を探していて、迅と或人の対面現場に遭遇。しれっとAIMSがZAIAの指揮下に入っていましたが、AIMSって国の機関だったはずでは…。一企業の手先になっていていいのかな。割と力技な展開な気がします。レイドライザー付けたZAIAの社員とかでもよかったのでは…。

 深く疑問について考えるまもなく、無線を傍受していた不破さんがランペイジバルカンに変身してレイダー3人を撃破。AIMSを辞めたらしいですが、AIMSのものであるはずのショットライザーを持っているのは何故…。

 ランペイジバルカンの戦闘はてんこ盛りフォームらしく、様々なプログライズキーの力を使いこなしていて面白いです。これが状況に応じての使い分けとかだと個人的には理想ですが、今回は量産型レイダー2人とすでに倒したことのあるジャッカルレイダーなので、その必要もなさそうな感じでした。

 戦闘後、不破さんは或人に自身と唯阿さんに埋め込まれたチップについて話しました。こういう登場人物間のやり取りが自然にできるようになったのも、二人がそれまでの飛電、AIMSといった所属を離れ、自由な立場になれたのが大きいですね。今後はこうしたシーンが増えていきそう。


イズ復活

 迅が強奪してきたイズを、或人はヒューマギアプログライズキー内のデータを使用して復活させます。シャイニングホッパー登場の頃、イズにはバックアップが無いという設定が出てきていたはずですが、ヒューマギアプログライズキーが実質バックアップの役割を果たせるようなので、これで復活できるならワズが身代わりになったのは何だったのか…。ゼアによるバックアップからの復元とは手順こそ若干違うとはいえ、出てきている結果は同じもののように見えます。ヒューマギアプログライズキー自体がホッパーブレード回で突然出てきて、開発経緯も何も分からないものなので、この辺りははっきりさせておいて欲しかった…。

 復活したイズに、「ゼアからもアークからも縛られない自由意思で生きろ」と説得する迅。しかしイズはこれを拒否。まぁ説得して「はい分かりました」と伝わるならシンギュラリティ云々の話にはならないのでこれは当然かな。

 しかし(多分)イズが復活したことで居場所を察知した天津社長がAIMSを従えて登場。或人はイズを破壊しようとしたAIMS隊員の銃撃からイズを庇い銃弾を受けますが、服の内側にヒューマギアプログライズキーを仕込んでおいたおかげで無事でした。(大事な社員だったヒューマギアたちのプログライズキーを弾除けに…!?)

 ゼア内のヒューマギアのデータは全てプログライズキーに移されており、現状ゼア内にデータがないということは、既存のヒューマギア全員分のバックアップデータ(?)をプログライズキーにして持って来たという意味だと思いますが、それにしては劇中で見えている数は非常に少ない…。複数体分圧縮とかしてるのでしょうか。ヒューマギアプログライズキー、謎の多いアイテムです。

 或人は天津社長のやり方に対し、「社長ってそれでいいのかよ!」と問いますが、半年通して社長らしい活動もほとんど描写のなかった或人が言ってもやっぱり説得力には欠けてしまうのが残念なところ。でも或人のスタンスとして「ヒューマギアの心、自由意思を認める」というのが少しだけ具体化できたのは良かったところ。しかしそれはやっぱり飛電インテリジェンスの社長でいるうちは無理でしたよね。


何故飛電或人は仮面ライダーゼロワンに変身できたのか

 或人はイズが持ってきたゼロワンドライバーとライジングホッパーキーで変身しようとしますが、変身できず。何度も試すうち、ぎりぎりのところでゼロワンへの変身に成功、レイダー2体とサウザーを撃破。メタルクラスタのキック技を披露するのは、暴走克服後では初かな?

 変身できた理屈は「衛星ゼアが人工知能の未来を切り開くゼロワンであることを認めた」「イズがインターネットで新会社を立ち上げた」からだとのこと。変身できるの、そんな理由でしたっけ?少なくとも先代社長の遺言では飛電インテリジェンスの社長であることが必要だったはずですが…。

 また、「衛星ゼアが人工知能の未来を切り開くゼロワンであることを認めた」というのは、ゼアが或人を「人工知能にとって都合のいい存在」と認識したのではないか、とも思いました。ゼアはこれまで強化アイテムを作ってくれたりヒューマギアの管理統制をしていたりと基本的に善の存在として扱われていますが、ゼア自体にも人工知能が搭載されている以上ゼア自身がシンギュラリティに達し、アークが滅に様々な指示を与えているように、ゼアも自身の描く人工知能にとって都合のいい世界を実現するために動く可能性もあるのではないかと思っています。

 「ゼロワンドライバーの横領=飛電の所有物の横領」との訴えに対しては、「ヒューマギアとゼロワンに関するテクノロジーの特許権は先代社長から或人に受け継がれている」ため、横領には当たらないとのこと。いやぁ、さすがに強引すぎないかな。

 自分は特許に関して詳しいわけではありませんが、基本的には「開発された技術などを他社が同様に使用して利益を得たりすることを制限する」くらいの認識です。或人たちが新しくゼロワンドライバーを作ったなら話は別ですが、既存のゼロワンドライバーを無断で持ち出し使用することに正当性を与えてくれるような性質のものではないかと。番組の都合上やらないとは思いますが、これで天津社長に裁判吹っ掛けられたら負ける気がします。

 天津社長曰くイズはシンギュラリティに達したらしいですが、正直滅亡迅雷とやりあってるあたりから既にそういう雰囲気は感じていたので、じぶんとしては今更?という感じはありました。確かに今週はいつもより耳のところがいつもよりピコピコしてたけども、それ以外は割といつも通りのイズだったので。

 敗北後の天津社長の「1000%有り得ない」「覚えていろ」は非常に小物くさく、かつ悪役っぽかったので良かったです。お仕事勝負からずっと続いたサウザー戦も終わりが近いのかな?

今後はどうなる?

 今週は色々と話が進み、アクションも多かったので見ていて結構楽し肩のですが、一方でかなり展開の強引さを感じたというのも事実。不破さんがショットライザー持ってたり、AIMSがZAIAの下についてるのはこの感想書くために見直してる途中に気付いたことですが、イズ復活やゼロワンに変身できる理由付けなどは最初の視聴中でも無理矢理感が拭えませんでした。

 迅が或人を認めたり共感する描写もあったことから、迅が仲間になるのも近いかな。でもベルトはZAIA製だし、修理したのが誰かもわからないので、謎が多いキャラなんですよね。しかし「友達になったつもりはない」発言といい、予告のセリフといい、仲間になってしまうフラグにしか見えないという。

 新しく発足した会社は飛電製作所らしいですが、ここがフリーになった不破さんたちの集まってくる場所になるのか。仕事内容としては次回予告にフレイミングタイガー回の漫画家さんが登場しているので、まさに前述の「ヒューマギアが停止されて困っている人たち」を助けていくお話になるのでしょうか。

 また、これは本編外の話ですが、同じ東映で制作しているキラメイジャーのレッド役の俳優さんが新型コロナウイルスに感染し、ゼロワン関係も撮影が止まっているというニュースは耳にしています。既に撮影が終わっている話数分は放送できるでしょうが、撮影中止が長引いた場合、本編の短縮などもあり得ます。撮影が再開できたとしても、ロケ地の選定、エキストラの使用など、撮影には少なくない影響が出るかと思います。今後どうなってしまうのか、心配なところです。

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