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アフリカ14ヶ国に流通する共通通貨CFA Franc(セーファーフラン)とは何か?

UNCOVERED FUNDの寺久保です。UNCOVERED FUNDではアフリカのスタートアップに投資を行っており、我々としても起業家と話すことで多くの学びを得ています。こちらの公式noteでは皆さんにとっても有益となるアフリカ市場、スタートアップ情勢等を共有します。

第2回目のnoteは、CFA Franc(以下CFAフラン)という西・中部アフリカで発行・使用されている通貨についてです。現在UNCOVERED FUNDでは6社を支援させて頂いておりHP Portfolio参照、このCFAフランが使われる国を対象に事業を展開するモビリティスタートアップGOZEMにも投資をしております。

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また前回のnoteで紹介したYC Demo dayに参加したアフリカスタートアップでも、Djamo (コートジボワール)というCFAフラン市場を対象としたFintech企業も採択されております。


CFA Franc(フラン)とは?

それではさっそくCFAフランの実態について確認していきましょう。

【概要】
・導入:1945年
・レート:1EURO≒657 CFA Franc (固定)
・使用国家:合計14か国
  - 西アフリカ諸国中央銀行の配下:8か国
  - 中部アフリカ諸国銀行の配下:6か国
・対象国合計人口:約2億人

CFAフランは以下の図でわかる通り、西部アフリカ・中部アフリカで広く使用されている通貨です。アフリカの国々は1960年代を皮切りに独立を果たしますが、CFAフランはフランスが植民地支配をしていた国をメインに使用されています。もともとはCFAフランは仏フランに固定され、仏フランの値動きに連動する形で流通してきました。詳細は割愛しますが、1994年に世銀とIMFによる構造調整計画という仕組みの下で通貨の切り下げを行いましたが、それ以外は仏フランに合わせた動きをしています。また1999年に欧州でのEURO導入以降は、CFAフランはEUROに対して固定され、現在に至っています。

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アフリカとフランス

旧宗主国とアフリカの国々は、現在においてもビジネス・芸術等様々な分野で深い関係を持っています。その中でもフランスは旧植民地国に対しては援助も行っている一方で、ビジネス的な関係性を継続したいという思惑もありました。1999年の欧州におけるEURO移行後も、フランスがCFAフランの価値を担保する形で、EURO加盟国にCFAフランとEUROの相場固定を説得しています。想像いただける通り、アフリカ諸国は地政学的にも経済構造的にも不安定な国が多く、CFAフランとEUROを固定させるに対してはフランス以外のEURO諸国からの抵抗が多くありました。そんな状況にも関わらず、フランスの財務省が「CFAフラン加盟国の有事の際は、全面的にフランスとして対応する」という約束の下、現在のCFAフランとEUROの固定相場ができています。

なぜ少し詳細に書いたかというと、この”CFAフランがEUROと固定相場である”ということが、不確実性の高いアフリカという市場で非常に重要な役割を持つからです。ご存じの通りアフリカ諸国では、資源価格に依存した経済体制、政治不安、紛争や疫病等、いわゆるカントリーリスクが高い国々が多いとして知られており、通貨価値が大きく変動することもあります。例えばジンバブエでは、2007年~2009年頃また近年でもにスーパーインフレが起こっており、一日にして紙幣が紙くず同然になっています。またコロナ禍において2020年にはザンビアもデフォルトするなど、国家体制としても脆弱な国が存在しています。


CFAフランの強さ

そのような中にあってCFAフランを使っている国では、万が一デフォルトなどによる国家破綻を期した場合においても、EURO固定相場であるため貨幣価値を失うことなく換金可能な状態となります。その後ろ盾としてフランスが大きな役割を担っているという背景があります。前述したDjamoはこのCFAフラン流通国をメインに展開するチャレンジャーバンクというカテゴリーに属するスタートアップです。以下の記事では”Francophone Africa(フランス語圏のアフリカ)”として書かれていますが、個人的には言語圏というくくりに加え、この通貨圏という考え方も、スタートアップが対象マーケットを検討する際には重要になると考えています。

World Bank stating that the region will have 62.5% of Africa’s fastest-growing economies by 2021, there’s bullishness around its growth in the coming years.

記事の中で上記のような記載がありますが、世銀としてもアフリカの中で成長する地域として注目されています。この後は、少しデータをまとめた内容とともに”地域”を見てみたいと思います。


地域共同体と通貨圏

アフリカにおける地域共同体の一部を抜粋したイメージが以下です。前述のFrancophone AfricaおよびCFAフラン利用国は、ECOWASとECCASの加盟国となっています。(後ほど比較でEACにも触れるため、図中に表記しています)

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CFAフランを発行しているのは、西部・中部のそれぞれCFAフラン流通国の通貨発行を束ねる西アフリカ諸国中央銀行と中部アフリカ諸国銀行という2つの国際中央銀行です。そしてこの通貨圏はそれぞれ、西部:西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)、中部:中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)として分かれます。それぞれの銀行による紙幣(デザイン)は異なるものの、通貨価値はCFAフランとして統一されています。参考までにECOWAS、ECCAS加盟国の使用言語(ローカル言語を除く)と、通貨圏と経済圏を表にしてみましたので、参考までにご覧ください。以下の表中でUEMOA、ECMACに属していない国は、基本的にはその国の独自通貨を発行・使用している国です。そして、このCFAフラン使用国の人口を合わせると、なんと約2億人に上ります。スタートアップが他国展開を考える際に、デジタルといえども言語や通貨変更を入れるには追加投資も時間もかかります。その際に、通貨圏が大きいことは一つのメリットになるとも考えています。

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補足として、ご覧いただける通りフランス語国家すべてCFAフランを使っているとも限らず、またCFAフランを使っているからフランス語国家ではないことがわかります。また実は構想としてはECOWAS内では、”ECO”というとという統一通貨の導入の検討も長年にわたり行われていますが、2020年にも独自通貨を持つ西アフリカのナイジェリア、ガーナをはじめとする6か国が導入を見送りました。このように様々なところで、通貨や言語の入り混じるアフリカの複雑さが見えるのではないでしょうか。我々としては、この複雑さも含めてアフリカの面白さと感じており、スタートアップがとる地域展開や戦略の話を聞くことは非常にエキサイティングだと感じています。


地域共同体と経済指標

若干話がそれました。地域共同体の概念がわかったところで、該当する国々の状況を少し観てみましょう。CFAフラン対象国、各地域共同体ごとに人口(2016-2019年)と実質GDP(2016-2019年) をまとめてみました。パッと見てわかることは、まずはCFAフラン対象国では中部に比べ西部の方が数値的にはよさそうであること。そのうえで個人的に面白かったのは、UEMOAがECOWASに比べても、人口成長率およびGDP成長率でも高い数値を示している点です。先入観で西部アフリカの雄ナイジェリアを有するECOWASの方が高くなるだろうというような考えを持っていましたが、上記の結果となっています。イメージだけではなく、データを見ることの大切さも感じます。また他の地域共同体ではEACの成長率が高いこともわかり、改めて現在のスタートアップの盛り上がりも反映されていることが確認できます。

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まとめ

今回は通貨の不確実性が高いアフリカにおける、CFAフランという有事に強い通貨について学んできました。またCFAフラン流通国の成長も観ることで、当該市場への期待も生まれたのではないでしょうか。ちなみにUNCOVERED FUNDの投資先GOZEMは、ライドヘイリングやコマースを軸としたコンシューマーアプリを提供しており、西部・中部それぞれの国際中央銀行から正式に認可を受けたCFAフランに価値が連動された独自のデジタル通貨を発行しています。GOZEMが提供するサービスの中で流通する独自経済圏を作ることを目指しており、現在急成長中の支援先の一つです。今回改めてCFAフラン流通国でのビジネスの興味深さを認識することができ、引き続き注目していきたいと思います。

余談ですが、今回は地域共同体について触れたので、もう一つだけ追加共有です。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)という枠組みを聞いたことがある方もいるかもしれませんが、これはアフリカ連合(AU)がアフリカ全土での経済活動を促進するための関税撤廃・通貨統合を図ろうとするものです。長年にわたり検討が続けられており、昨年も運用開始という報道もありますが、実質的な運用は現在でもまだ目途が立っていません。もちろんこの枠組みは本格的に動き始めると13億人(2021年時点)マーケットとして更なるアフリカのポテンシャルを示していくことになりそうです。


最後に

ご拝読いただきありがとうございました。最近Francophone Africaで事業を展開するスタートアップからの事業相談も増えており、改めて現地調査を行ったのですが、起業家の方、そして市場・ユーザーから常に多くの学びを得させてもらっています。アフリカのスタートアップは日本では想像もつかない課題に取り組んでいたり、また日本では知られていない多くの面白いサービスを提供している企業も多く存在します。

投資相談をはじめ、アフリカで起業したい日本人起業家の方、現地で事業作りをしたい事業会社の方、どんなご相談でも弊社までお気軽にお問合せ下さい。
https://uncoveredfund.com/

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UNCOVERED FUNDについて
UNCOVERED FUNDはアフリカ大陸はじめ新興国の産業創りをリードするベンチャーキャピタルです。2050年に向けて新興国の人口増加と経済成長はここから急加速し、世界経済の中で重要な役割を担っていくことは間違いありません。特にその中でもラストフロンティアと呼ばれるアフリカ大陸は、2050年には世界人口の25%を占める25億人の巨大市場になります。その成長を牽引する最先端のデジタル技術を活用し、既存の枠組みに捉われることなく産業・社会基盤を一から構築していく新興国には、 日本が学ぶべきイノベーションの発想が多く存在します。UNCOVERED FUNDは、まだ十分な起業家支援が行き届いていない『アンカバード(un covered)』な世界で 未開の才能を発掘し、事業を作り、雇用を生み出し、世界100億人が共存する未来へ大きな価値を共創します。
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UNCOVERED FUNDは、日本発アフリカを拠点とするベンチャーキャピタルとして、アフリカのシード・アーリーステージのスタートアップ企業へ投資をしています。