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2017.05.14/2017.09.09 ルバーブジャム

ルバーブの見た目は、茎野菜、という感じである。というか茎野菜なのである。

色は緑色のもの、真っ赤なもの、根元は赤く先は緑のグラデーションになっているものなど、さまざま。緑のものは特に、セロリやフキみたいな外見だ。しかし分類的には全く異なる。

セロリはセリ科オランダミツバ属。
フキはキク科フキ属。
ルバーブはタデ科ダイオウ属。

そして味も性状も全く異なる。ルバーブは生食ではとにかく酸味が強く、繊維が固い。和名でショクヨウダイオウ(食用大黄)というそうだが、どう考えても生食向きではない。

食用を標榜するのに生食できない。ということはつまり、加工すると美味いのだ。しかもほとんどの場合、甘く加工されるというのも、フキやセロリとは違う点。コンポート、タルト、パイ、砂糖漬け、ジュースなど様々な食べ方をされるが、やはりジャムである。

ルバーブジャムを煮るのは、様々なジャムの中でもかなり簡単な部類。洗って、ザクザクっと刻んで煮るだけ。皮を向いたり種をとったりの作業もない。ほんとに刻んで煮るだけ。

2cm程度に刻んだら砂糖をまぶして水分が出るまで少しおく。火にかけるとすぐに繊維がほどけてトロトロになる。煮る時間はせいぜい15分、全部合わせても1時間程度の仕事。

ルバーブジャムを食べたことのない人に、ルバーブジャムについて説明するのは難しい。他のどの果物のジャムとも違うからだ。

爽やかな酸味はレモンのようでもある。砂糖と一緒に煮たときの香りはあんずを思わせる。ペクチン豊富でトロトロの食感はりんごジャムに似ている。そしてその中に、ハーブのような独特の風味がある。クセがある、と敬遠する人もいるが、クセになる、という人も多い。これはとにかく食べてみて、としか言いようがない。とにかく食べてみてね。

また、ルバーブは見るからに食物繊維が多いし、また有機酸やカリウムの含有量も多い。便秘、疲れ、むくみに良さそうである。

そう、ルバーブジャムは、こんなにも簡単で、すぐにできて、美味しくて、身体にいい。ならば世の中にはルバーブジャムが溢れていても良さそうなものだ。しかしそうはなっていないのは、ひとえに手に入りにくいからだ。

もちろん、長野、北海道、福島などの生産地に出向けば、比較的簡単に買うことができる。しかし都内のその辺のスーパーなんかには、まず置いてない。生産量が多くはないし、そもそもたくさん売れるとも思えないので、致し方ないとは思う。

ありがたいことに、最近は都内で週末に出るマルシェなんかで出品が増えている。僕も今年はじめて、青山のファーマーズマーケットで買ってみた。冒頭の写真がそれである。

こういうとこに出てくるのは「ブランドルバーブ」が多いように思う。赤色が濃くて香りが良く、新鮮、という高付加価値のものだ。真っ赤なルバーブは不思議な光沢があり、とても美しい。ジャムにすると鮮やかながらなんとも深みのある赤色に仕上がり、見ていてウットリする。

僕は長野の直売所でも買うのだが、こちらはだいたい緑で根元だけ赤いもの。たまに、ほぼ完全に緑のルバーブも見る。真っ赤のものとは品種が異なるので、香りや風味も若干違ったりする。個人的には、緑のルバーブで如何に美しい緑のジャムを作るかも、楽しみのひとつである。緑色の材料は少ないうえに、緑は加熱で褪色しやすく、きれいに色を残すのが少し難しいので、ジャム作り熱を煽る。

なお、赤と緑の混ざったものは煮ると茶色くなり、あまり美しくはない。

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こちらは、どうせ色が悪くなるのならと、三温糖を使い、長めに煮詰めてみたもの。狙いは成功し、ルバーブの風味を残しつつコクのある味わいとなった。それにしても色は悪い。

今年のルバーブはたぶんもう終わり。きれいな緑のルバーブが手に入らなかったのが心残り。来年のルバーブの出荷を待つ。だいたい5月半ば過ぎからそわそわしている。

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